スキップしてメイン コンテンツに移動

東京五輪サッカー男子 メダル届かず・・・に寄せて

「サッカーを知らなさすぎる」 


私自身のこのツイートに対する、セルフリプライwとして今回のブログを書いています。今回は久々に代表ネタです。


東京五輪サッカー男子は、3位決定戦に力なく敗れ、メダルに届きませんでした。私自身も大いに期待し、ロンドン五輪よりも良い成績を修める能力も環境も整っていたと思っています。そのため、メダルに”届かない”という表現よりは”逃した”に近い感情を持ちました。


そんな折に、田中碧のコメントを載せた報知の記事を見ました。表現的には自己への批判と共にチーム・監督・日本サッカー界への提言とも取れる内容になっています。また、内容が原理的というか、基本的というか、原始的というか。そういう意味で聞いていて痛いコメントになっています。

「チーム一体となってどうやって動いて、勝つかに変わってきている」(田中)

「2対2や3対3になるときに相手はパワーアップする。」

「彼らはサッカーを知っているけど、僕らは1対1をし続けている。」


一方でツイッター上のサッカークラスタの論調では、特に攻撃における配置や組織がないこと、その裏返しとしてイマジネーションに頼っている事に対する不満が多かったと思います。強化の過程で最初からこうじゃなかったと思うので、「どうしてこうなった?」にも興味があります。


3決メキシコ戦後の久保の涙を見ていると、込み上げてくるものがあります。しかし、それとは別に、もっとできたはずという”もどかしさ”も同時に感じている人も多いのではないでしょうか。



3つの疑問

チーム内のことは素人にはわかりませんので、本ブログでは3つの疑問を置いておきます。

  1. このチームは守備のチーム。守備だけなら世界のトップレベルだった。しかし、それを押し通さなかった。なぜか?
  2. 3位決定戦は消耗が激しく力なく敗れた。それはスカッドの固定の影響が大きい。スカッドは固定を招いたのはなぜか?
  3. 攻撃は親善試合の方が組織的であった。本大会になるにつれて即興感が強くなった。なぜか?


疑問1

  • このチームは守備のチーム。守備だけなら世界のトップレベルだった。しかし、それを押し通さなかった。なぜか?
オリンピック6試合で流れの中での失点は、準決勝スペイン戦115分のアセンシオに喫した1点だけです。(ちなみに、セットプレーからはメキシコに4失点している。)

守備陣にOAを配し、チームの出世頭はCB冨安で、SBは地上戦も空中戦も強く、GKは守備範囲広くハイボールにも安定感を見せ、CFのプレスは奪取の臭いを感じさせ、引いて守ることも前から行くことも変幻自在でした。

守備なら今大会No1のチームでした。

しかし、2列目の機能性を堂安久保のコンビネーションに求めたため、守備における機能性の一部を失っていました。前から守備に行ける能力を持ちながら、準々決勝のニュージーランド戦以降、そのような戦いはできなかった、もしくは空転しました。逆説的ですが、守備の特徴を押し通すことで、ショートカウンターから得点を奪うといった戦略はとれなかったのでしょうか?2列目を守備力の高い順にだし、後半にテクニカルな選手を出すようなカードの切り方をする試合があっても良かったと思います。

チームの最も優れた特徴である前からの守備を押し通さなかったのは、なぜでしょうか?世界の強豪と伍していく上で、「サッカーを知らなすぎる」のではないでしょうか?


疑問2

  • 3位決定戦は消耗が激しく力なく敗れた。それはスカッドの固定の影響が大きい。スカッドは固定を招いたのはなぜか?
日本はスペイン・メキシコより消耗が激しかった印象です。中2日の6連戦を戦うつもりだったのに、固定した主力メンバーの疲労と共にチームのパフォーマンスも下がり、3位決定戦では力なく敗れました。

想定外と言えば、冨安・上田のケガがあったかもしれないし、前田・三笘のコンディション不良があったのかもしれません。たらればで言えばニュージーランドに90分で勝っておけばよかったのかもしれません。

特にCHの消耗は激しかったです。板倉が望外のトップフォームであったので、もっと負荷分担できたのではないでしょうか。また、久保堂安を引っ張ることが多かったですが、サブのメンバーは何故出せなかったのでしょうか。

決勝のブラジルースペイン戦では、途中から入った選手の特徴を生かし、攻撃がどんどん加速していました。準決勝のアセンシオもそうです。もちろん個人の能力も日本より高いかもしれませんが、チーム全体で途中交代で入った選手を活かして盛り返そうという戦いがブラジルやスペインはできていて、日本はできないのはなぜでしょうか?

3位決定戦の日本は、三笘が入っても効果的な配球はできませんでした。常に2~3人に囲まれ、縦に抜けるスペースはありませんでした。(それでも1点取った三笘って!)チーム全体で三笘に1対1とスペースを与えるような展開にできなかったことは課題です。

交代選手を活かせないこと、その裏返しとしてスカッドが固定化したことは「サッカーを知らなさすぎる」のではないでしょうか?


疑問3

  • 攻撃は親善試合の方が組織的であった。本大会になるにつれて即興感が強くなった。なぜか?

今大会の攻撃は即興感が強かったです。久保堂安のコンビネーションで崩しても、そこでブロックされることが多かった。久保はチーム1シュートを打ったかもしれませんが、囲まれた状況でシュートブロックされた数も多かったです。酒井の攻め上がりを活かすことも、逆サイドで1対1を作るような大きな展開も、スルーパスも少なかった。相手とのマッチングで優位に立つところをしつこく狙うというようなことも無かったです。


一方の国際親善試合(6/5 U-24日本 6-0 U-24ガーナ)は、ほぼ同じスカッドでありながら、組織だった攻撃をしていました

フォーメーションとしては、3421と4231の中間、もしくは、右上がり4231と言ったイメージの攻撃をしていました。この攻撃組織は、すべての選手の特徴を生かし・補う形でした。

右SHの堂安は内に絞り、STの久保との距離を近づけショートパスを主体として右でゲームを作ります。右より2シャドーにも見えます。このポジションに2人がいることで、色々なご利益があります。

  • シューターとしての能力が高い久保堂安をゴール近くに置くことができる。
  • 頻繁にポジションチェンジすることで、守備負担をシェアできる。
  • 右に作った密集内でカウンタープレスをかけやすい。
  • 右のショートパスでゲームを作っている間に、酒井が大外をオーバーラップする時間ができ、攻撃力を活かせる。
  • 右に密集ができるので、左でアイソレーションの相馬に素早くサイドチェンジすれば、スペースのある1対1を提供できる。
  • 幅取り役を相馬に任せることで、中山は酒井の攻め上がりをサポートすること、アーリークロスを上げることを役割とできる。駆け上がってクロスという本来の特徴ではない役割を免除できる。
このように、堂安久保の位置関係が、酒井相馬中山の特性を引き出しています。親善試合で本来の実力ではないガーナとは言え、6点挙げる良い攻撃組織だと思っていました。しかし、このイメージで本戦が戦われたことはありませんでした。(残念)

あくまで一例ですが、強化の段階で組織が垣間見られた試合もありました。それが、本戦では即興に見えてしまいました。チーム全体としてどのように攻撃しようというデザインがないことが、「サッカーを知らなさすぎる」のではないでしょうか?

ちなみに、このガーナとの親善試合は横内監督だったという”オチ”があるのですが、そこを論点にするつもりはありません。


さいごに

まぎれもなく東京五輪代表は世界に最も近づいた代表でした。一方で、ニュージーランド相手に配置の変更について行けず、後手を踏むという一面もありました。

ファン心理としては、上記の疑問がある中で、どのような過程で今回の決断に至ったのか非常に気になります。

負けないことを最優先にしつつ、久保と運命を共にするという戦略も、久保がリーグ戦3得点挙げた事を考えればあと一歩の戦略だったかもしれません。後日談として納得できなくてもよいから、理解できる説明が出てくる事を期待します。「守備ブロックを崩さない前提を置いて、少数でゴールを奪える可能性の最も高い形がこれだった。」、「他国に比べ強化時間が長くとれたので、選手間の意思疎通で優位に立てると考えた。」などなど。

1ファンとしては田中碧の言葉にもあるように、「チーム一体となってどうやって動いて、勝つか」にフォーカスした個人に依存しにくいチーム作りを進め、次のW杯予選に臨んでくれることを期待したいと思います。


最後に、オシム監督の記事も論点が近いので引用します。強化の過程で最初からこうじゃなかったって思いがあるので、その過程に非常に興味があります・・・



トップページのブックマークをお願いします。
更新情報をツイートします

↓クリックすると
↓みなさんのグランパスブログが見れます
にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスへ
にほんブログ村

コメント

このブログの人気の投稿

鹿島 vs 名古屋~平常運転で新エース始動~

名古屋(H)1-0鹿島(A)/豊田スタジアム/2023.8.13 得点者(名):野上結貴 まずは、23節 鹿島戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます。 サマーブレイク後、優勝に向け、まずは守備の引き締めから・・・ってな監督からの指導が入ったのか、入っていないのか、いや入っているにちがいない、 公式戦3試合連続のクリーンシートで勝利を飾った鹿島戦 。 試合経過に沿ってレビューしたあと、森島司についても少し書いていきます。 開始から飲水前はセットプレーべた引きから 鹿島戦の名古屋の守備の何が硬いって、 セットプレーからは絶対やらせないマンと化した名古屋 でしたね。 そらそうしますよ、なんせ今季鹿島の得点は、 セットプレーとクロスから20点、優磨と関川と植田で14点 。これは完全な想像なんですが、横からのハイボールに顔面ド迫力ヘディングで決めたに違いない。怖い怖い。 クロスからのヘディングゴールの復権を狙っている鹿島の好きにはさせられないと、“現代サッカーの雄”名古屋も対抗します。「ヘディングでゴールさせなければ勝てるやろ」と言わんばかりに、開始15分までの自陣CKやFKのセットプレー時は、FP10人で守る人海戦術に出ます。「普通は1~3人カウンター要員を攻め残りさせると思うんですけど・・・」試合開始から健太監督の強い意志を感じずにはいれない、終盤の様な序盤です。 案の定、セカンドボールは鹿島のもの。そして、飲水まではシュート数も3-7で鹿島ペースですorz・・・とはいえ、鹿島はブロックを広げる意図の濃い戦略ミドルシュートが多く、ユンカーのヘディングなど名古屋も鋭いカウンターを差し込みつつだったので、決定機的には五分の印象の序盤戦でした。 森下を中継点としたサイドチェンジ 29、32、36、39分と 森下を目がけたサイドチェンジを起点に攻撃します。 前節の森下のゴールもそうでしたが、WBを起点にインナーラップ→低いクロス→フィニッシュという再現性のある攻撃で、36分の野上の先制ゴールを当然のごとく獲得しました。すばらしい。 一方の鹿島の攻めはというと、先ほど横からのハイボールのヘディングが怖いと言いましたが、基本的にビルドアップのバリエーションが多く、どこからでも攻め込める強敵でした。 遅攻になると3-1-6 的な形で、ピトゥカが下りて、両SBが上がり、SHが絞ると...

レビュー)C大阪 vs 名古屋~追い回せる布陣~

名古屋(A)1-0C大阪(H)/キンチョースタジアム/2018.11.6 得点者(名):相馬 得点者(C): まずは、28節 C大阪戦のダイジェストから。 今節の プレビュー記事 はこちら。 〈雑感(良いところ)〉 名古屋は3-4-3に戻し、神戸戦のスタメンから相馬・和泉・秋山・青木といった守備で追い回せるフレッシュなメンバーに入れ替えた。代わりに入った選手だけでなく、ジョーもネットも守備で追い回し、クリーンシートを達成することができた。全選手のハードワークに感謝!! 前田・相馬がFWに入ることで、ファーストディフェンダーが決まりやすく、全体的な守備の連動をもたらした。 名古屋は、和泉・相馬・秋山のテクニカルな左サイドでゲームを作って、右サイドは前田か青木をアイソレーションさせて突破させるという攻撃をしていた。青木にはなかなか良いサイドチェンジが回ってこなかったが、幅を取る意味で必要なポジションだった。 相馬は得点はもちろんのこと、ドリブルからのクロス、プレスバックしてのボール奪取、スプリント数29回、シュート4本、(あわやPK)などMVP級の活躍をしてくれた。 秋山は、攻撃面では得点時の仕掛けで結果を出してくれた。守備での貢献も大きかった。良く走った。 名古屋は敵陣ポゼッションで押し込んで、クリアボールをすぐ回収したり、ネガトラのハイプレスでボールを奪回したりといった、本来目指しているサッカーで長い時間攻撃する時間帯があった。今季一番かも。 高い守備意識で、中盤で潰し合うという名古屋には珍しい試合展開にできた。そのため、両チーム共に決定機の比較的少ない試合展開に持ち込めた。こういう決定機の少ない試合展開も、ゴール前の精度に長けるグランパスに向いているかも。 ネットがタックルしてボール奪取したのを見たのは初めてな気がするのは、俺だけ? 風間監督は、前田を1列前で使ったこと、守備で追い回せる若い選手を起用したこと、全員に守備の意識付けが浸透したこと、3-4-3でC大阪のサイドに先手を取らせなかったこと・・・など采配が的中。 〈雑感(今後に期待)〉 ハイペースがたたり、70分頃に疲れていた。途中出場の玉田にも、もっと追い回してほしかった。 和泉が攻撃参加してボールロストしたのを散見。積極性は買うけど、CBだよ。...

レビュー)名古屋 vs 広島~一発勝負仕様のグランパス~

名古屋(A)2-1広島(H)/エディオンスタジアム/2018.11.24 得点者(名):ジョー、小林裕紀 得点者(広):柏 まずは、33節 広島戦のダイジェストから。 今節の プレビュー記事 はこちら。 一発勝負仕様のグランパス 残留争いの中1試合も負けられない名古屋は、志向するサッカーとはかけ離れた、勝負に徹した戦いをしました。前半と後半で、さらには時間に応じて明確に戦い方を変えながら戦って勝ちをもぎ取りました。他会場の結果により、今節での残留は確定せず、入れ替え戦の16位のままですが、最終節の湘南戦につなげることが出来ました。(グランパスの入れ替え戦回避条件は最後に。) シンプルに圧力をかける攻撃で得点した前半 名古屋は、前節の清水戦で見せた極端に選手を左に圧縮した攻撃から、相馬勇紀を右アウトに入れるマイナーチェンジをしてサンフレッチェ戦に臨みました。名古屋の左でのポゼッションに対し、広島の選手がスライドして空いた右サイドに相馬をアイソレーションさせて、1対1の勝負をさせる戦略を加える意図でした。 戦略としては、左のポゼッションにも好影響が出るはずなので正しいことです。しかし、この試合では、広島の左SBの佐々木に相馬勇紀がマッチアップして、勝つことが出来なかったため、効果を上げられませんでした。縦を切られた場合のカットインの技術が相馬勇紀にあれば、もっと良かったと思うので今後に期待です。 この試合では、上記の組織的攻撃ではなく、陣地を回復するためのロングボールからの攻撃で2点取りました。この部分が最近のグランパスには不足していたので、その部分でも勝負に徹して修正していました。 1点目は、センターライン付近の遠目のFKからでした。これまでのグランパスはセンターライン付近のFKは、”ショートパスでポゼッションを再開…”という場合が多かったのですが、この日はゴール前のジョーに入れてきました。ジョーの落としを、小林裕紀が受け、サイド方向に流れながら中央のジョーに戻しゴールにつながりました。 2点目も、丸山祐市から裏に抜けた秋山陽介へのロングボールのこぼれ球を、玉田圭司→和泉竜司→シャビエルとつなぎ、小林裕紀がコントロールしたボールでゴールを奪いました。 相馬勇紀のアイソレーションや2点を取った...

私的サッカー用語集

正しい意味か分かりませんが、ブログ内で使っているサッカー用語の説明です。訂正あればお願いします。 偽サイドバック (追記2018/10/7) 攻撃のビルドアップ時にサイドバックが、ボランチの位置に入ること。サリーダ・ラボルピアーナのメカニズムでボランチがCBの間に入った時に、ボランチの位置でSBがボールを受ける。この時、SHやウイングがサイドライン際で幅を取りパスコースを作る。SBは、ボランチの位置からハーフスペースを駆け上がり(インナーラップ)、そのSHからリターンパスをもらう・・・などの攻撃につなげることが出来る。ネガティブトランジションでは、中央に絞っているためにカウンターを受けにくくなる。 サリーダ・ラボルピアーナ (追記2018/10/2) 4バックにおける攻撃のビルドアップおいて、CBの間にボランチが下がって、SBを前に押し上げるメカニズム。2トップの相手に対し2CB+1ボランチの3人で数的優位を保つことでビルドアップを安定させる。2017年は、小林がCBの間に下りる形が強直化しており、効果的ではない場合もあった。一方、2018年W杯中断後は、ネットが主にCB間に下りる役割をしているが、小林が下りる場合や、CBとSBの間に下りる場合や、下りない場合を織り交ぜてビルドアップすることで柔軟性が出ている。また、玉田と小林がそれぞれハーフスペースに入り、相手の第1プレッシャーラインを通過する受け手として機能している。そのため、ビルドアップ時のボールロストが減っている一因になっている。 パッキング・レート (追記18/09/29) パスやドリブルで相手選手を何人通過することが出来たかという指標。同じく、相手DFを何人通過したかという指標はIMPECTという。 footbllistaのコラム で紹介されていた。勝敗との相関係数の高い指標だそうだ。 サッカーが陣取りゲームである以上、もっとも本質を突いた指標だと思った。さらに言うと、敵陣に押し込んでポゼッションしても、相手選手を通過出来なければ、陣地を取ったことにならないことにも気づかされた。重要なのは、ボールの前に何人相手選手がいるかで、0人であればそれはゴールを意味する。”ポゼッション”や”縦に速い攻撃”や”ハイラインハイプレス”などのゲームモデルは手段であり...