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4月, 2019の投稿を表示しています

レビュー)広島 vs 名古屋~広島の守備戦略を上回る~

名古屋(H)1-0広島(A)/豊田スタジアム/2019.4.28 得点者(名):前田直樹 まずは、9節 広島戦のダイジェストから。 (0秒でスタメン出ます) 今節のプレビューはこちら。 (はずれてますが、気にしない!) 今シーズンを占う「矛」「盾」対決と言われたこの試合。勝敗を分けるトピックとして広島の守備戦略と、それを上回った名古屋の右サイドについてレビューします。 広島のゲームプラン 広島の今節のゲームプランとしては、守備から入り(前半30分まで)、それ以降はオールコートプレスも使いながら攻撃をして、後半勝負のつもりでいたのではないかと想像しています。 ホコタテ対決と言われつつも、今シーズンの広島はカウンターだけではなく、遅攻でショートパスを主体とした攻撃も比較的できるチームになっていると見ています。 その上で、名古屋相手には、守備から入って、名古屋のプレスが弱まってから攻撃の強度を上げるプランだったように思います。そういう柔軟さが今年の広島のストロングポイントであり、去年と違うところでしょう。 広島の守備戦略 守備時5-4-1で、ディフェンシブサードにプレスラインを敷き、リトリートしてきました。特に前半30分までは、ほとんど前に出てこない感じ。ここで気になったのは、リトリートでありながら左右の守備の仕方が違ったことです。 名古屋左サイドに対しては、MFのラインに侵入してきたタイミングでプレスをかけるのに対し(待ち伏せ)、右サイドに対しては、CB中谷進之介との距離を取っておき、中谷にボールが入った瞬間にシャドーの野津田が強めにプレスをかける(迎撃)というものでした。(シーンとしては立て続けに12:30、13:30、16:40、20:20、21:50) これは、 鹿島戦のレビューでもお伝えした名古屋攻撃の右誘導 にも近い形ですが、中谷進之介に縦の矢印で強めにプレスをかけることで、苦し紛れのパスを出させてエラーを誘発し、縦への矢印そのままにカウンターを打つ戦略だったと思われます。 広島の守備戦略を上回った名古屋の右サイド攻撃 しかし、中谷進之介はエラーを起こすどころか、この戦略を逆手に取って攻撃を活性化させました。野津田が出てきて空いた野津田とボランチ松本の間に、パスを送りボランチ松本の

プレビュ)広島 vs 名古屋~広島のカウンター回避策を逆手に取って~

まずは、次節対戦する広島の前節(vsFC東京)のダイジェストから。 惜しくも0-1でFC東京に敗れた広島。しかし、城福監督は敗戦の弁で「FC東京のカウンター対策ができていた」という趣旨の事を言っていました。 このカウンター対策の中身をどうとらえたか、および、それを名古屋がどう生かすのかを中心にプレビューをしていきます。 広島のカウンター回避策 FC東京戦の広島は、非常に手堅い試合運びをしていました。 FC東京の攻撃で一番恐れていたのは、ミドルサードでのプレスからボールを奪われ、DFラインの裏でポイントを作られ、ゴールに迫られるというショートカウンターだと思います。 このカウンター対策として、前半の広島はボール奪取後に、FC東京に再奪回されないことを主眼に置いた戦略を取ってきたと見ています。そのために、ポジトラ後の自らのカウンター機会を縦に攻めるのではなく、早いタイミングでサイドチェンジを入れていました。 ポジトラ後は、敵の密集がいるためロストするとカウンターを受けてしまします(一番危ないやつ)。それを回避するために、サイドチェンジをしていたと思います。通常、自陣でのポジトラ後のサイドチェンジは、カットされると危ないカウンターに直結するので、あまりやりません。 それが可能になる条件として、①見方も用意していないような早いタイミングで繰り出すこと、②FC東京が攻撃時ボールサイドに寄っていること、③広島が5バックなため確実に逆サイドに人がいること、3条件があったため実現していました。 前半に、CHの川辺や松本から、逆サイドの左WB柏、左CB佐々木へ通していたので確認してみてください。強すぎてタッチを割る場合があったり、柏と佐々木の間にめちゃアバウトに入れる場合があったり、、、が見て取れると思います。 以上が、私の考える広島のカウンター回避策の一つです。 広島カウンター回避策を逆手に 名古屋相手に同様の戦略を取ってくるかはわかりませんが、名古屋もボールサイドに寄る所、ネガトラ時に即時奪回を狙うところなどFC東京と共通する部分があります。 さらに、広島リードの場面には「何も起こらない試合」(=所謂、塩漬け)にするために実行される可能性が高いのではないかと思います。(監督が成功と思ってい

レビュー)磐田 vs 名古屋~シミッチ起点の攻撃経路~

名古屋(H)1-0磐田(A)/豊田スタジアム/2019.4.20 得点者(名):ジョー まずは、8節 磐田戦のダイジェストから。 (0秒でスタメン出ます) ウノゼロで勝利!正直、磐田の守備は堅かった。 名古屋シュートの少なさから辛勝と見られがちですが、攻撃経路を工夫して戦っていて、内容は非常にポジティブだと思います。その部分をレビューしていきます。 磐田の守備組織 磐田は守備時5-3-2で、T字型にして中央を厚く、DFは5レーンを初めから埋める形でした。プレスラインは、ハーフライン手前付近で、3ラインをコンパクトにしていました。 しっかりリトリートして、攻撃は2トップのカウンター頼みという割り切った守備重視戦略だったので、勝ち切ったことは本当に良かったです。 この固い磐田の守備を崩すために名古屋の取った攻撃経路の推移を時間を追って見ていこうと思います。 名古屋の攻撃経路 図の①~④の攻撃経路を順に説明していきます。 攻撃経路①HS裏へのロングボール 前半の序盤を中心に、90分を通してHS裏へのロングボールを意識していたと思います。相手3ラインを間延びさせることが第一目的にあったと思います。相手陣内に押し込んだ後の裏へのロングボールなので、そこそこピンポイントで、受け手の動き出しとも合っていて、流石でした。 スカウティングで一番攻めたい部分だったのではないかとも思います。 攻撃経路②2ndラインを釣り出してバイタルエリアにパス 磐田が中央を固めてきたことに対して、中央にスペース生みだす必要がありました。 そこで、前半の中盤から、名古屋はシミッチが2ndラインを引き付けることで空いたバイタルエリアを使うことを意識していました。この攻撃経路は、シミッチのキープ力と縦パスセンスがないとできない芸当で、流石でした。 攻撃経路③CHがサイドに移動してビルドアップ T字型で空いているサイドを使って「相手を動かそうよ」というのが次の狙いです。 前半の終盤から後半の途中にかけての攻撃経路は、CHがサイドに流れて起点を作りそこからビルドアップするものでした。このルートに切り替えていったのもシミッチで、状況判断の良さが流石です。 名古屋のビルドアップ隊が左右に

レビュー)横浜FM vs 名古屋~ニアゾーンへのサイドチェンジ~

名古屋(A)1-1横浜FM(H)/日産スタジアム/2019.4.13 得点者(名):ジョー 得点者(横):マルコスジュニオール まずは、7節 横浜FM戦のダイジェストから。 (0秒でスタメン出ます。) 今節のプレビュー記事はこちら。 ニアゾーンへのサイドチェンジ攻撃 グランパスが横浜FM対策に仕込んできた攻撃として、あまり使わないサイドチェンジをこの試合では多用しました。 状況としては、グランパスが攻撃でアタッキングサードに押し込んだ場面です。マリノスの4バックは、ペナルティ幅に圧縮して構える特徴があります。その敵SBの少し外側(いわゆるニアゾーン)にサイドチェンジの浮き球を入れチャンスを多く作りました。 ボールの受け方も、最初からニアゾーンに入るのではなく、敵SBとほぼ同じ位置に陣取りながらバックステップで距離を取りボールを受けるなど、開けておいてサイドチェンジが入りそうになると先に動くという連携が見られていました。 サイドライン際からのクロスは確率が低いので、グランパスはこれまでほとんど使いませんでした。一方、ニアゾーンへのサイドチェンジはゴールへの距離が近くクロスもピンポイントで入れれますし、シュートにも移れます。この攻撃の実装は、今後に期待が持てます。 ハーフコートマッチ守備の改善点 優っているようで劣っている。グランパス風間監督の理想は超難関だ|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva https://t.co/JA4REFu9qd — フルゐ (@gra_senki) 2019年4月15日 上の記事で書かれている、後半の修正点を私なりに解釈してみました。 前後半を通してハーフコートマッチを狙っていました。ポゼッションでは横浜FMが上回ったものの、プレーエリアはコートを3分割した横浜FMゴール側が多かったことが物語っています。 前半上手くいかなかった点として以下のようなことがあったと思います。 横浜FMのGKも含めたビルドアップにオールコートでプレスをかけて、横浜陣内でのボール奪取を企みます。しかし、名古屋プレスのファーストラインを抜けられると、即疑似カウンターをくらうという悪循環がありました。前半3分名古屋DFライン前でフリーの

プレビュー)横浜FM vs 名古屋~サブテーマとしてのロングボール~

まずは、次節対戦するマリノスの前節(vs浦和)のダイジェストから。 横浜FMのスタメンはこちらを確認してください↑ 今回のレビューは、メインテーマとサブテーマに分けてお送りします。 メインテーマとしてのポジションチェンジの思想 マリノスとグランパスは、オフサイド1位2位対決です(FMダントツ!)。オフサイド数に表れる両チームの特徴としてコンパクト、ポゼッション重視、攻撃的などの共通点があります。 引用:spaia.jp それらの特徴を形作る戦術が横浜FMのポジショナルプレーです。攻撃では、ポジションを移動しながら相手を動かし、動かして空いたスペースに連動してポジションを埋め、芋づる式にギャップを作りゴール前まで運びます。 ビルドアップに下りてくるのは、IH天野、SB広瀬、SB松原、CH喜田で、CB間かCB脇に下ります。多彩です。特に左IHの天野純は、CB間、CB脇、WG、シャドー、アンカーといろいろなポジションに移り、マリノスの攻撃を司ります。 守備においてもポジショナルプレー。攻撃でポジショングルグルしながらも、いるべき場所にフィールド上バランス良く選手がいて陣形を崩しません。 例えば、松原が偽SB化することで中央からのカウンターを受けにくくしています。 横浜FMがオートマチックにポジションチェンジして攻撃するのに対し、名古屋はトレーニングで培ったユニットでの即興ポジションチェンジで攻撃します。オートマチズムvs即興。オートマチズムは、判断スピードが上がり、緊急事態に考えるための余力を残すと言われています。即興は、ユニットとしての成熟が必要な反面、自分たちにしか理解できないコンビネーションを出すことが出来ます。 つまり、横浜FMの方がパターンがあるので対策しやすいといえます。しかし、守備時にやばいバランスでネガトラを迎えにくいという点で長所があります。名古屋の場合、ネガトラ時のバランスの悪さは中盤3人(シミッチ、和泉竜司、米本拓司)のボール奪取能力である程度カバーされているため、チーム全体のバランスとしては成り立っています。 このあたりのポジションチェンジの思想の違いがこの試合のメインテーマになるでしょう。 メインテーマについては、みぎさんが「面白わかりやすく」書かれているので、勝手にご

レビュー)鹿島 vs 名古屋~2つの名古屋対策~

名古屋(A)1-2鹿島(H)/カシマサッカースタジアム/2019.4.5 得点者(名):シャビエル 得点者(鹿):土居聖真、レオシルバ まずは、6節 鹿島戦のダイジェストから。 今節のプレビュー記事はこちら。 試合の流れ 名古屋は攻撃時2-4-4/守備時4-2-4でプレスライン高め、鹿島は攻撃時も守備時も4-4-2で、プレスラインはセンターラインより後ろという形でした。名古屋がボール保持しつつ、ボールロスト後も即時奪還し、鹿島が安西中心にカウンターを仕掛けるという構図でした。名古屋の方が決定機が多くゲームを支配しつつも、終盤に前線の足が止まると共に流れを渡す展開となり、悔しい逆転負けとなりました。 非公開練習をしてきた大岩監督。この試合、名古屋対策として定番になりそうな戦略が2つ出てきたので、その点を中心にレビューします。 鹿島の名古屋対策①右サイド誘導 試合序盤にSH和泉竜司がSB平戸との1対1に勝ち、試合を通しても3度は平戸の裏を取って攻め込む場面が生まれ、完全に左サイドは名古屋が優勢でした。 一方、右サイドもCB中谷進之介がドリブルで持ち上がり、タッチライン際のSB宮原和也に鋭いグラウンダーのパスを付ける場面(前半12分、16分、31分)があり、右のビルドアップもいい感じ・・・と思っていたのですが・・・ どうも、「同じパターンが連続しておかしいな」と思っていたら、どうやら名古屋の右サイドから攻撃させようと鹿島が誘導していることに気づきました。結構、露骨に中谷の前にスペースがありました。右サイドはSB宮原和也が幅を取る役割を受け持っていて、そこから攻めさせようという鹿島の意図です。 後半開始早々、風間監督からの指示もあったと思うのですが、比較的スペースのある右サイドをCB中谷進之介が駆け上がり、シャビエルのゴールをアシストしました。また、DHのシミッチと米本拓司のポジションを入れ替えて、シミッチが右にまわりゲームを作るなどの工夫も見られました。 と、相手の狙いを逆手に取って先制したことで、この試合自体は”やり返せた”ので良いのですが、重要なのは今後です。右に誘導される、つまり、誘導された右にはスペースがあるということなので、そこで攻め切りたいです。 解説の水沼さんも言っていましたが、まず、宮

プレビュー)鹿島 vs 名古屋~ゲームメイカー内田篤人~

まずは、次節対戦する鹿島の前節(vs磐田)のダイジェストから。 鹿島のお勉強のため、磐田戦(5節)、札幌戦(4節)、川崎戦(2節)を見ました。世代交代もスムーズに手堅いチームが出来上がってます。 守備はプレスラインをセンターサークル付近にした4-4-2で、コンパクトなブロックを作る形です。FW2枚はサイドに誘導する程度で、MFのラインにボールが入った瞬間に詰めてきます。逆サイドにいる選手は捨てて、スライドを頑張るやつです。 攻撃は縦に速い攻撃を志向しています。”放り込みに見えて伊藤翔の動き出しの方が早いために収まっちゃうやつ”やカウンターや疑似カウンターなどで手数をかけずにボールを進めます。相手の守備陣形が整ったら、レオシルバを中心に遅攻に移ります。 ゲームメイカー内田篤人 皆さん内田篤人のプレースタイルってどんな印象でしょうか?攻撃的で、コンビネーションを使いながらオーバーラップしてクロスを上げる印象ありませんか?今はそのようなプレーは一試合2~3回程度です。 逆サイドが安西という事もありますが、それほど上がりません。また、ポジショニングも含めた対人守備で、ほぼ1対1で負けません。守備力も高く、だいぶ印象変わってます。さらに、ロングボールを主体にゲームメイクをする選手になっているため、ハイラインの名古屋にとっては要注意人物なのです!! ロングボールの球種が多い! 内田は正確なキックで展開を変えるロングボールを出すことで、ゲームメイクしていきます。チーム全体としてロングボールの後は手数をかけず、フィニッシュを狙います。そんな形を4つ紹介します。 逆サイド敵ブロックの外に陣取った安部や安西にワンステップでストレート系のロングボールを入れて攻撃のスイッチを入れる。 ペナ内DF背後に浮き球の逆回転系のボールを入れる。伊藤翔が背中からくるボールをトラップしてゴールというのが川崎戦でありました。 同サイドのレアンドロやセルジーニョが相手SBの背後に走り、そこに内田がカーブしたロングボールを入れます。その後は迷わず1対1勝負です。 レアンドロがSB-CB間に斜め走りするなどしてスペースがある場合には、アーリークロスがDF-GK間に入ってきます。正確でGKは絶対出れないやつです。 このように、内田の入れたボー