スキップしてメイン コンテンツに移動

レビュー)川崎 vs 名古屋~勝った以外は生き地獄~

名古屋(H)1-0川崎(A)/豊田スタジアム/2020.8.23
得点者(名):金崎夢生

これ以上ない美しいゴール、イタリア流ウノゼロの美学で勝利した川崎戦。

一言で言えば、「最後はやらせなかった」守備の勝利でした。この試合のMOMを挙げるなら、私は吉田豊にします。シュートブロックや、クロスへの寄せや、ゴール前になだれ込む選手へのタイトなマーク。その一つ一つが重なってこの試合の勝利を勝ち取ることができました。

一方、ゴールシーン以外の多くの時間で見た”生き地獄”・・・歯を食いしばり、視界が狭くなっていくのを感じ、胃の痛くなるような90分。

「あなたは前半と後半のどちらの地獄が嫌ですか?」「私は断然、前半が嫌です。」なぜなら、”前半は構造的に崩された”のに対し、”後半はそれを修正して割り切って引いた”と見たからです。

やられた話だけでも何なので、皆さんの語り草となっているゴールシーンについても、気持ち要素多めで書いていこうと思います。

ということで、今回の流れはこんな感じです。

  • 基本情報
  • 生き地獄の前半と割り切った後半
  • 人は何故あのゴールシーンに魅了されるのか?

基本情報

グランパスのスタメンはこちら。強い順にカードを切っていくスタイルの4-2-3-1。ターンオーバー無し。サブに守備陣多めなので、「先制して守り切る」強い意志を感じます。

フロンターレのスタメンはこちら。1週間前の札幌戦からWGだけ変えただけです。ミッドウィークのC大阪戦からターンオーバーしています。名古屋戦の特別仕様なのは、WGの三笘と家長だけということかな?確かに2人とも嫌だな。

ダイジェストはこちら。


今節のプレビュー記事はこちら。どうだろう・・・大体あってるような、あってないような。ちなみに、本ブログでは、プレビューの回収はしませんのであしからず。

生き地獄の前半と割り切った後半

前半に私が見ていた地獄は、チャネル(SBとCBの間の裏のスペース)に川崎SBがどんどんフリーで入ってきてマイナスクロスを上げるやつです。ダイジェストにも山根が2回その状態で写っています。ダイジェストにないものでは逆サイドの車屋のもありました。

この攻撃は、構造的にどうしようもないな・・・(涙)

何故そう思ったかということを順にお話します。

まず、名古屋のSBとSHの守備ですが、ゾーンながらマンマーク要素の強いやり方をしています。例えば、敵SBがサイドのレーンをオーバーラップした場合、名古屋のSHはコーナーフラッグまで下がって追いかけてOKになっています。マークの受け渡しをしないわけです。その際にSBがHSを埋めてCBとSBのチャネルを狭くすることができるからです。

先ほどの地獄絵図の場面では、川崎のWGもしくはIHに名古屋のSBが釣り出されています。そのためチャネルが広がった状態で、川崎のSBは躊躇なくチャンルランを仕掛けてくるのです。HSを上がってくるインナーラップといわれるやつです。川崎のWGといえば、家長と三笘、IHは脇坂と下田。ボールを取られるリスクも、パスがずれるリスクも少ないわけです。そら自信持ってチャネルに入ってこれるわけです。

また、川崎のIHがサイドに出てWGが内に入ると名古屋のSBは内に入ったWGをマークしているので、サイドのIHがフリーになります。ただでさえ数的不利でマークしきれていないのに、川崎のSBがインナーラップしてくるんです。36分のシーン(下図)は印象的なシーンの1つでした。
36分のシーン

名古屋のSHは習性として、サイドのレーンではどんだけでもマーカーを追って下がるのですが、HSのレーンではそれをしないということが見抜かれていたんだと思います。

また、チャネルを埋める係(その2)のDHはどうしていたかというと、川崎のIHに寄せるタスクになっており、マーカーを捨ててチャネルを埋めるかという2択を迫られます。

このSBチャネルラン地獄を嫌がった後半の名古屋は、チャネル埋める係をDHに固定します。ボールサイドのDHがチャネルを埋めに下がって、もう一人のDHが中央に寄せるというツルベの動き方です。

そのために、後ろに重たくなったことも後半にボールを握り倒される一因となりました。その対価として、チャネルラン地獄から抜け出せるようになりました。つまり、後半の名古屋は”自ら”割り切って引いて守る選択をしたといえると思います。

ちなみに、後半の生き地獄は、左サイドで大島、家長、三笘を中心に密集してボールを保持し、逆サイドにサイドチェンジしてフリーになった旗手がシュートなりクロスを仕掛けるというものでした。こちらはこちらで地獄だった。

人は何故あのゴールシーンに魅了されるのか?

この図は、丸山祐市がダミアンからボールをカットしてから、金崎夢生のゴールに至るまで、各選手のボールに触った位置を示しています。非常に美しいゴールでした。

まず、何が美しいかってイレブン全員がゴールに関与していることです。吉田はボールにこそ触っていないものの、マテウスがクロスを上げる時間的余裕を作るために囮になっていました。それ以外の全員が少ないタッチでボールをつないでいます。

ワンタッチパスの軌道の美しさで言うと、前田と稲垣のパスが秀逸でした。。前田は、逆足SHでなければ出せないカーブボールでシャビエルに時間を与えました。稲垣は、シミッチや米本に比べ組み立てへの関与で話題になることは今まで少なかったです。その分、マテウスへのワンタッチのサイドチェンジは驚きでした。

また、ボールに触った位置がみなオリジナルポジションに近い位置で触っています。コートいっぱいに広がって、ボールを速く回すだけで、相手を寄せ付けないボール回しができることに気づかされました。シンプルで力強い攻撃に魅せられました。

マテウスにボールが渡った時にはボールがコートを一周し、みんなで貯金したマーカーのずれにより、マテウスに余裕が生まれました。川崎DFの前でストンと落ちる狙いすましたクロスには、シャビエル、前田、金崎がなだれ込こみました。

金崎は今シーズンゴールがありませんでした。働きは十二分に評価されていますが、本人は不服だった事でしょう。その思いをこの大一番で成就させた所もファミリーが美しく感じたところだと思います。

そして、ファミリーは…


イレブンがつないだボールの軌跡に師匠の面影を見たのではないでしょうか…


おしまい。(作図が下手ですいません。)



トップページのブックマークをお願いします。
更新情報をツイートします

↓クリックすると
↓みなさんのグランパスブログが見れます
にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスへ
にほんブログ村

コメント

このブログの人気の投稿

私的サッカー用語集

正しい意味か分かりませんが、ブログ内で使っているサッカー用語の説明です。訂正あればお願いします。 偽サイドバック (追記2018/10/7) 攻撃のビルドアップ時にサイドバックが、ボランチの位置に入ること。サリーダ・ラボルピアーナのメカニズムでボランチがCBの間に入った時に、ボランチの位置でSBがボールを受ける。この時、SHやウイングがサイドライン際で幅を取りパスコースを作る。SBは、ボランチの位置からハーフスペースを駆け上がり(インナーラップ)、そのSHからリターンパスをもらう・・・などの攻撃につなげることが出来る。ネガティブトランジションでは、中央に絞っているためにカウンターを受けにくくなる。 サリーダ・ラボルピアーナ (追記2018/10/2) 4バックにおける攻撃のビルドアップおいて、CBの間にボランチが下がって、SBを前に押し上げるメカニズム。2トップの相手に対し2CB+1ボランチの3人で数的優位を保つことでビルドアップを安定させる。2017年は、小林がCBの間に下りる形が強直化しており、効果的ではない場合もあった。一方、2018年W杯中断後は、ネットが主にCB間に下りる役割をしているが、小林が下りる場合や、CBとSBの間に下りる場合や、下りない場合を織り交ぜてビルドアップすることで柔軟性が出ている。また、玉田と小林がそれぞれハーフスペースに入り、相手の第1プレッシャーラインを通過する受け手として機能している。そのため、ビルドアップ時のボールロストが減っている一因になっている。 パッキング・レート (追記18/09/29) パスやドリブルで相手選手を何人通過することが出来たかという指標。同じく、相手DFを何人通過したかという指標はIMPECTという。 footbllistaのコラム で紹介されていた。勝敗との相関係数の高い指標だそうだ。 サッカーが陣取りゲームである以上、もっとも本質を突いた指標だと思った。さらに言うと、敵陣に押し込んでポゼッションしても、相手選手を通過出来なければ、陣地を取ったことにならないことにも気づかされた。重要なのは、ボールの前に何人相手選手がいるかで、0人であればそれはゴールを意味する。”ポゼッション”や”縦に速い攻撃”や”ハイラインハイプレス”などのゲームモデルは手段であり...

2024名古屋グランパス 編成の妄想

2024.1.14新体制始動ということで、今年のスカッドについて好きなように妄想を書けるのは今だけなので、久しぶりにブログを更新したいと思います。 今年の編成の感想 今年のスカッドを見て、違和感を感じた。その違和感の正体は、3か4か分からないこと。 以下にミルクボーイ調で4バックなのか3バックなのか考えてみた。 監督が昨年やり方を踏襲すると言っている。3バックで決まり。 フィジカルに長けた上下動できて守備も信頼できる名古屋風WB(相馬、森下、豊)が1人もいない。なら3バックちゃうか。 右SB適任者が、再レンタルも想定される成瀬しかいない。やっぱり3バック。 ただ、獲得したサイド選手(山中、小野、成瀬、山中)はみんなWB未知数。ほな3バックじゃ無いか。 3バック維持するとしても丸山、藤井、中谷の移籍で作り直しは必至。ほな3バックじゃなくてもよいか。 1枚目2枚目過多でDF枚数を減らしたい。ほな3バックじゃ無くてもよいか。 去年、後ろに重たかった。ほな3バックじゃない方がいいか。 福岡、日本代表など4と3を併用するクラブが出てきた。 新体制発表会、長谷川監督「3も4も様子を見ながらやっていきます。」4バックやるって言ってるやんけ! とミルクボーイ調もかなり崩れているが、4バックをやるっぽい。てか、やって欲しい。 どうも、 フォーメーションをシーズン・時間帯を通して使い分けると考えて間違いなさそうだ。 ちなみに4231に当てはめてみたのがこちら。我ながらまんざらでもない。理由は、 エルボーバック(SBの片側を上げ、逆側にCBのできるSBを置く)の4231をベース に妄想しているからだ。 左上がりエルボーバック もう少しエルボーバックを掘り下げよう。一例として、左SBを上げ気味にしたエルボーバック4231を示す。右SBに野上が入ることで、 試合中に3バックにも可変できる というわけだ。 この場合、久保と山中で幅を取り、左WGの森島を内側に絞らせることで、森島、山岸をSTとする3421的にも振舞える。森島がいい感じにライン間で仕事をしたり、下りてきたりが可能になる。この形は森島が活きる。ちょっと守備の怖い(失礼)、トージロー君を前目に残せて活きる。上下動の運動量に不安のある(失礼)、山中の負担も減り活きる。 昨シーズンは後ろに重たいことが課題 としてつきまとった。試合序盤など...

レビュー 横浜FM vs 名古屋

まずは、22節 横浜FM戦のダイジェストから。 4 - 名古屋はJ1では2013年7月~8月以来、5年ぶりの4連勝を記録した(当時は5連勝)。夏風。 pic.twitter.com/TqwAhRj9vw — OptaJiro (@OptaJiro) 2018年8月15日 内容的には、どちらが勝ってもおかしくない試合で、前節の鹿島戦に続き決定力の差で勝つことができました。この1勝は残留に向けてデカい、デカすぎる。 〈雑感(良いところ)〉 名古屋は前半、勝つための大人のサッカーをしていた。先制点後はリトリートしてカウンターを狙う危なげない試合運びであった。横浜FMはサイドからのクロスを狙っていたが、ウーゴヴィエイラ以外にターゲットがおらず怖さが無かった事も幸いした。 後半、横浜FMに追いつかれたあと、和泉・相馬を投入することでチームをもう一度活性化する事が出来た。両選手は仕掛ける意識が高く、横浜FMの流れを名古屋に引き戻した。ジョーのゴールにつながった相馬のクロスは、タッチライン際のサイドをえぐってから、速く精度があり、ファーへという点で難易度の高いものであった。相馬は鬼プレスもチームを助けた。和泉と共にフィジカルに秀でるので安心して見られる選手だと思った。 ジョーが2得点。1点目はDFを背負って反転する技術と股抜きシュート、2点目はDFの栗原の高さを無効にするポジショニングとコントロールされたヘディングの技術があり、簡単なゴールでは無かった。 この試合も丸山は良いところでシュートブロックをしており、集中力の高さを感じた。 ネット・玉田が何回かインターセプトを見せており、守備時のポジショニングのセンスを感じた。 〈雑感(今後に期待)〉 横浜は左側から(名古屋の右側から)、天野と山中を中心に攻撃していた。自陣右側でボール奪取後にプレスの網を抜けれずボールロストする場合が多かった。ここでプレスをかいくぐる事ができれば、ボール保持率も上がったと思う。前田と玉田がポジションチェンジをしてビルドアップを建て直すつもりだと思うが、それほど上手くいかなかった。しかし、プレスを抜けた時は決定機になった。つまり、ゴールと金井のフリーのシュートの時は、名古屋の右サイドから左サイドへ流してのカウンターだった。この回数を増やしたかった。山中には、...

レビュー)柏 vs 名古屋~変幻自在の伊東純也シフト~

名古屋(A)-柏(H)/三協フロンテア/2018.10.19 得点者(名):前田 まずは、30節 柏戦のダイジェストから。 今節のプレビュー記事はこちら。 変幻自在の伊東純也シフトでクリーンシート 3-4-3で臨んだ柏戦。前半の前半は一方的な柏ペースでしたが、伊東純也への守備を工夫しながら試合を進め、結局クリーンシートで勝利することが出来ました。 前半の後半は、3バックにネットが下がって4バック気味にビルドアップすることで、カウンターを受けても4人で残っている状態を作りました。櫛引があらかじめ名古屋の左サイドに張ることで、スペースを消していました。後半に入ると青木に代えて和泉を入れ、和泉と櫛引で挟むように守備をしていました。そのため、スペースのない伊東はポジションをどんどん真ん中に移していきました。終盤には、相馬を入れスピード勝負に負けないようにしていました。 次々にフレッシュな選手をいれ、スペースを消し、カバーすることで伊東純也対策をすることが出来ました。3バックの必死のシュートブロック、ランゲラックのスーパーセーブ、ブラジルトリオの守備意識の高さなど、守備の再建でもぎ取った4試合ぶりの勝利でした。 〈雑感(良いところ)〉 櫛引のカバーリングや、連続的なチェイシングなど闘志の見えるプレーを見せてくれました。 小林裕紀はリンクマンとして、広範囲に顔を出し裁くことで攻撃にリズムを与えていました。守備でも精力的な姿勢が見えました。 相馬勇紀がSUBに戻ってきました。途中出場ながら攻撃ではタッチ数が多く、サイドの1対1の場面が多くみられ、守備では素早い戻りで伊東純也を封じ、クローザーの役割を果たしました。スーパーサブの復帰は心強いです。 ネットは名古屋加入後一番ぐらいの守備意識の高さだったと思います。 懸案だった左サイドの守備に対し、アシンメトリーな3バックとすることで、櫛引がスペースを消し、伊東純也を見ることで解決していた。 前半、ネットがCB間に下りて4バック気味にビルドアップしていた際、前線には両ワイド+3トップの5人が並んだ中盤を省略した形を取ることで、流れを取り返していた。試合中にやり方をいろいろ変えることが出来ていたので、苦境に強いグランパスが今後も期待できそう。 桐畑のナイスセーブもあり1点に終わったが...