スキップしてメイン コンテンツに移動

シーズンレビュー)来年も継続して欲しい戦術~攻撃編~

J1リーグ全体の総括

私は、得失点差がチームの能力を示していると思っています。

2018J1シーズン終わってみれば、得失点差上位の4チーム中3チームがALCへ進み、得失点差が下から2番目の磐田がプレーオフに回ることになりました。

その意味で、得失点差0の札幌はALCに見合うチームではなかったため、出場権を獲得できなかったと言えます。

川崎フロンターレとVファーレン長崎を除き、勝ち点差18点の中に16チームが入るという大混戦でした。

世界的に見て、個人能力差をチーム戦略が凌駕するトレンドがあり、元来コレクティブな日本は、遅ればせながらその流れに乗ろうとしています。そのため、来シーズンも、個人の能力差の付きにくい団子状態が続き、チーム戦略の有意性が際立つ川崎の一人勝ちになるのではないかと予想しています。

勝ち点18点というと6勝分です。名古屋の2018シーズンは以下の通りでした。

  • 勝:12
  • 分:5
  • 負:17
  • 得失点差:ー7

この負け17試合をどうやって6試合勝ちに転換するか、得失点差ー7点をどうやって+10点に変えるかが2019シーズンの命題になると思います。

奇跡の残留

グランパスは、シーズン前半戦17試合の結果を考えると奇跡の残留を勝ち取ったと言えます。なんせ、前半戦の成績は以下の様な有様でした。

  • 順位:18位
  • 勝ち点:10点
  • 得点:15点 / 失点:33点 / 得失点差ー18点

一方の後半戦17試合(=当ブログを始めてからのw)の結果はというと、大きく改善して以下の通りでした。
  • 順位:4位
  • 勝ち点:31点
  • 得点:37点 / 失点:26点 / 得失点差+11点
はっきり言って、奇跡的な改善で残留を勝ち取っています。守備が弱いと言いつつも、後半戦の平均失点数は1.5点(下から8番目)なので、後半戦に限っては悪くはありません。

得失点差+11点は、川崎の+18点に次ぐ2位なので、この状態を維持することが、来年の目標となります。ジョーの得点王など維持をするのが大変な事柄もいろいろあります。







そこで、来年も継続して欲しい事、来年は修正した方が良いと思う事を2018シーズンの総括としてまとめていきたいと思います。

来年も継続して欲しい戦術①サイドからニアポストのスクリーンを使ったグループ戦術

今年1年のグループ戦術の連携は来年にも持ち越したいですよね。そこで一番に思い付いたのが19節仙台戦の1点目(下の動画の2:20~)の様な崩しの形です。



サイドで受けたジョーが、ニアポストに入った前田直樹に強めのグラウンダーパスを入れます。強めにいれることで、前田直樹が背負った相手がインターセプトを狙えません。ジョーは、前田直樹に向かってスプリントして、マークを外します。前田直樹は、スクリーンしながらボールをキープします。近づいたジョーにフリックし、ダイレクトでシュート。非常にきれいなゴールが生まれました。

変形パターンとして、フリックすると見せかけて前田直樹がそのままシュートした形もありました。(Vファーレン戦の動画2:40~)


次は2連続パターンです。最初は玉田圭司がジョーに向かって突進し、玉田はジョーにフリック、ジョーはシャビエルにパスして突進して、シャビエルはフリックフェイントでDFを外し、最後は前田のゴールになっています。名古屋攻撃陣がどんどん近寄っていくので、柏DFは誰に付いていいのかアタフタです。(下の柏戦の動画2:53~)


この形はたびたび見られ、玉田圭司やジャビエルやジョーや前田直樹にはグループ戦術が浸透していると思われます。サイドのマーカーは、真後ろへのスプリントを強いられるため、確実に振り切ることができ、瞬間的に2対1の状況を確実に作り、ブロックされている相手DFも無効化できるという、必殺技レベルの破壊力です。来季も5点ぐらいこの形を見たいです。

来年も継続して欲しい戦術②CB間に入った選手にダイアゴナルな足元のパスを入れて裏に抜けるグループ戦術

仙台戦からもう一つ。2点目(上の仙台戦の動画の3:25~)の様な崩しの形です。前田直樹は、オフサイドラインぎりぎりのCB間に立ち、パサーである和泉竜司の方向を向いて半身で待ち、和泉竜司は前田直樹の足元へ強めの斜めパスを入れます。そのパスを、ゴール方向にトラップし、そのままゴールに向かって余裕のあるシュートでゴールを陥れました。

パスが強い事と角度をつけて半身で待つ事が重要で、相手DFのアタックの時間を与えず、ワンタッチで裏に抜けるトラップを可能にします。

スペースが無くても点は取れるという風間理論の真骨頂というべき戦術です。開幕戦でもありました(ジョーのゴール集1点目、ジョーへの八反田康平のアシストがこの形)。この形も相手DFの人数がいても無効化できる崩しです。

来年も継続して欲しい戦術③前田直樹の右サイドからのカットイン

前田直樹は加入後、FW→右SH→右WBとポジションを下げていきました。この采配は、走力のある前田を下げて、守備を安定化する意図が風間監督にはあったと思います。

しかし、前田直樹を使うなら、右SHより前がやっぱりいいと思います。前田直樹を前目で使いたい理由は、裏抜けをして欲しいからです。終盤の3トップでは、ジョー、シャビエル、玉田圭司の3人ともが下がって受けるため、全体的に裏を狙う意識が薄く、DFラインを押し下げれませんでした。

名古屋の7連勝時は前田直樹が常に裏を狙い、深さを取っていたので、間受けを狙う、シャビエルやジョーとの全体のバランスが優れていて得点も量産できたと思います。

また、前田直樹がサイド深くに侵入した後は、個人戦術でシュートチャンスに持って行ってくれます。特にカットインからのクロスやシュートは再現性良くフィニッシュに持っていけてました。(下のFC東京戦動画の0:50~や2:53~、上の長崎戦の動画の0:30~)



前田直樹の話ばかりになってしまいました。前田がトップフォームの走力を維持しながら、前目のポジションで起用できると、ジョーやシャビエルの守備負担を軽減しつつ、深さを取った多彩な攻撃ができます。グランパスの攻守に安定した戦いは前田にかかっていると言っても過言ではないでしょう。


↓クリックすると
↓みなさんのグランパスブログが見れます
にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスへ
にほんブログ村

コメント

このブログの人気の投稿

2024名古屋グランパス 編成の妄想

2024.1.14新体制始動ということで、今年のスカッドについて好きなように妄想を書けるのは今だけなので、久しぶりにブログを更新したいと思います。 今年の編成の感想 今年のスカッドを見て、違和感を感じた。その違和感の正体は、3か4か分からないこと。 以下にミルクボーイ調で4バックなのか3バックなのか考えてみた。 監督が昨年やり方を踏襲すると言っている。3バックで決まり。 フィジカルに長けた上下動できて守備も信頼できる名古屋風WB(相馬、森下、豊)が1人もいない。なら3バックちゃうか。 右SB適任者が、再レンタルも想定される成瀬しかいない。やっぱり3バック。 ただ、獲得したサイド選手(山中、小野、成瀬、山中)はみんなWB未知数。ほな3バックじゃ無いか。 3バック維持するとしても丸山、藤井、中谷の移籍で作り直しは必至。ほな3バックじゃなくてもよいか。 1枚目2枚目過多でDF枚数を減らしたい。ほな3バックじゃ無くてもよいか。 去年、後ろに重たかった。ほな3バックじゃない方がいいか。 福岡、日本代表など4と3を併用するクラブが出てきた。 新体制発表会、長谷川監督「3も4も様子を見ながらやっていきます。」4バックやるって言ってるやんけ! とミルクボーイ調もかなり崩れているが、4バックをやるっぽい。てか、やって欲しい。 どうも、 フォーメーションをシーズン・時間帯を通して使い分けると考えて間違いなさそうだ。 ちなみに4231に当てはめてみたのがこちら。我ながらまんざらでもない。理由は、 エルボーバック(SBの片側を上げ、逆側にCBのできるSBを置く)の4231をベース に妄想しているからだ。 左上がりエルボーバック もう少しエルボーバックを掘り下げよう。一例として、左SBを上げ気味にしたエルボーバック4231を示す。右SBに野上が入ることで、 試合中に3バックにも可変できる というわけだ。 この場合、久保と山中で幅を取り、左WGの森島を内側に絞らせることで、森島、山岸をSTとする3421的にも振舞える。森島がいい感じにライン間で仕事をしたり、下りてきたりが可能になる。この形は森島が活きる。ちょっと守備の怖い(失礼)、トージロー君を前目に残せて活きる。上下動の運動量に不安のある(失礼)、山中の負担も減り活きる。 昨シーズンは後ろに重たいことが課題 としてつきまとった。試合序盤など...

レビュー)柏 vs 名古屋~プラン通り想定外、負けたけど強い名古屋~

名古屋(H)0-1 柏(A)/豊田スタジアム/2020.8.1 得点者(柏):オルンガ 「プラン通り想定外、負けたけど強い名古屋。」 そんな印象を受ける試合になりました。 プランとは、もちろんオルンガ対策です。想定外とは名古屋のボール保持においてスイッチを入れる選手が少なかったことです。負けたけど強いと思ったのは、今年の名古屋の戦い方を、以下のように再確認できたためです。 その名古屋の戦い方とは、『5局面(保持、非保持、ポジトラ、ネガトラ、セットプレー)を高次元で両立させていて、それに伴い対戦相手に合わせて相手の得意局面を減らす戦略でゲームを進めても、残る局面の差で勝てる』いうものです。そう、名古屋が目指しているサッカーは、全局面コンプリートなのです! ということで、オルンガ対策のプラン、および、名古屋の強さについてレビューしていきたいと思います。 基本情報 柏は4-2-3-1。ビルドアップ時の陣形は名古屋と同じようなCB-CH4枚のボックス形で、SBが名古屋より低い。江坂やボランチ1枚が降りてくる場合も。守備時は、4-4-2。 明治安田生命J1リーグ 第8節 名古屋 vs 柏 スタメン GK 中村航輔 DF 古賀太陽、山下達也、大南拓磨、三丸拡 MF ヒシャルジソン、大谷秀和、仲間隼斗 FW 瀬川祐輔、オルンガ、江坂任 サブ GK キムスンギュ DF 高橋峻希、川口尚紀 MF 戸嶋祥郎、三原雅俊 FW 山崎亮平、呉屋大翔 pic.twitter.com/b4cASmwLqp — 柏レイソル公式試合速報 (@reysol_sokuho) August 1, 2020 名古屋もいつもの4-2-3-1。米本拓司、阿部浩之、シャビエルの代わりに、太田宏介、青木亮太、石田凌太郎が入った。(負傷者と疲労の蓄積が心配だー('Д'))余談だが、山崎凌吾と石田凌太郎で凌2トップという日が来るかもしれん。祝!怪我から復帰の太田、青木! 明治安田生命 #J1 第8節「vs #柏レイソル 」(@豊田スタジアム 18:00 KICK OFF ) #grampus スターティング11⚽️ @DAZN_JPN ▶️ https://t.co/cVsObR4KWL クラブ毎に数値化される視...

レビュー)松本 vs 名古屋~何が起こったんだ?~

名古屋(H)0-1松本(A)/豊田スタジアム/2019.5.26 得点者(松):杉本太郎 まずは、13節 松本戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます。 多くの人が「負けるならこういう負け方だろうな。」という、”あるある”な負け方をした松本戦。 ジョーの不在、ルヴァンの疲労、トラップが収まらなかった、気の緩みなどなど、ふわっとした原因はいろいろ挙がりますが、実際に何が起こっていたかという事を私なりに解釈してレビューしたいと思います。 松本の守備の狙い 松本は守備時5-4-1、リトリートメインでいつも通りです。その中で名古屋用にチューニングしてきた最大の点は、5-4のライン間で受けさせないことの徹底だったと思います。 そのため、5-4のブロックをコンパクトに作ります。名古屋はブロックを広げようとSBを目掛けたサイドチェンジをしますが、松本はDFラインの端に位置するWBが前に出て対応します。そして、松本のMFラインがスライドを完了すると、出てきたWBはDFラインに戻ります。 この動きで、MFラインがスライドすることにより間延びすることを防止できます。また、名古屋はボールサイドの逆側に2人いることがないので、松本WBは後ろ髪を引かれることなく、名古屋SBにチャレンジできるという構図を利用しています。 また、松本はボランチにパウリーニョではなく、藤田息吹をスタメン起用し、名古屋の間受け対策を徹底させていたことも、影響大でした。名古屋の選手をイラつかせながら、黙々と仕事をこなす感じ、嫌でした。 前線の動きが少ないといった解説がありましたが、動く場所がない印象の方が強かったです。 このような状況で、最もボールを引き出していたのは赤崎秀平でした。しかし、上手くボールを収めることが出来ませんでした。(もう少し見たかった気が・・・)前半途中からシャビエルとポジションを入れ替え、真ん中ではシャビエルが頑張り、赤崎はダイアゴナルに走りこむというような工夫もしていました。一つでも合っていれば違った展開になったのも事実だと思います。 後半から、前田直樹を入れサイドに張らせて、単純に1対1の質的優位で勝つ方針に変えてから名古屋の攻撃は改善していきました。(SB相馬勇紀を使うなら、今でしょ!って思ってましたが......

レビュー)FC東京 vs 名古屋~積み重ねと微修正による好ゲーム~

名古屋(H)1-0FC東京(A)/豊田スタジアム/2020.11.15 得点者(名):マテウス FC東京戦は、”際どいジャッジ”、”前田アウトサイドトラップ”、”ジェソク一人でアダイウトンのカウンター阻止”、”マテウスAT弾”などエモーショナルな試合になりました。そんな、シーズンべストの一つである今節を、前段はFC東京目線から、後段は名古屋目線からレビューします。 グランパスのスタメンはこちら。↓ 明治安田生命 #J1 第27節「vs #FC東京 」(@豊田スタジアム 19:00 KICK OFF ) #grampus スターティング11⚽️ #AllforNAGOYA で、 #grampus に関わる全員で、闘いましょう🤜🤛🔥 📺 #DAZN ▶️ https://t.co/4VPpK6UXib — 名古屋グランパス / Nagoya Grampus (@nge_official) November 15, 2020 FC東京のスタメンはこちら。↓ 🔵🔴 #STARTINGXI   #TokyoNagoya   vs  #名古屋グランパス スターティングメンバーが発表されました!!🔵🔴 #AiR #STAYWITHTOKYO   #fctokyo   #tokyo   pic.twitter.com/zGtNIRGeIQ — FC東京【公式】🔜11.18(A)仙台戦 #STAYWITHTOKYO (@fctokyoofficial)  November 15, 2020 ダイジェストはこちら。↓0秒でスタメン出ます FC東京の状況 FC東京の状況については、事前に直近の試合を見返していなかったので詳しいことはわかりません。結果だけ見ると、直近5試合で1勝4敗、直近11試合で複数得点が1回と、得点力不足で勝ち点が伸びていないと思われます。 その得点力不足解消のためか、レアンドロを中心に据えた戦略を取ってきたと思います。レアンドロは、意外性のあるパス、推進力のあるドリブル、正確なシュート、多彩なキック、強靭な体を活かしたキープと攻撃の選手に必要なものを何でも持っている選手だと思います。一方守備は、なんというか波があるというか、ムラがあります。(マッシモに預けるとマテウスの...