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レビュー)浦和 vs 名古屋~浦和の名古屋対策とボコボコの理由~

名古屋(H)6-2浦和(A)/豊田スタジアム/2020.8.8
得点者(名):前田直輝x4、シミッチ、シャビエル
得点者(浦):レオナルドx2

前田直輝の0.5オルンガを含む6得点で快勝した9節浦和戦。

快勝の理由が分かれば、今後につながると思って試合を見返したのですが…ごめんなさい。理由はよくわかんない。しいて言えば、「気持ち」…というレビュワーの端くれなら言ってはならない言葉を発しつつ、スタートです。

試合の大勢が決まる3-0のところまでを、あっさりレビューします。
  • 基本情報
  • 浦和の名古屋対策
  • ボコボコの理由?

基本情報

浦和は、西川、SB、レオナルド以外をきっちりとターンオーバーする傾向があります。結果として敗因の一つであった気がするので、後ほど。

一方の名古屋は、負傷者を除くベストメンバー(=鉄板の監督の哲学)。個人的には丸山祐市の勤続疲労が不安。サブにはルヴァンで結果を出したメンバーが並び、期待が持てます。

ダイジェストはこちら。皆さん何度も見返しているかもしれませんが、もう一度ご覧になる場合は山中に注目して見てください。



浦和の名古屋対策

1点目が入るまでの開始10分間は、確実に浦和ペースでした。浦和の攻撃時の配置を見るに、名古屋の堅い守備に対する対策が見て取れて、「ちょっと大変かも」と思っていました。

まず、名古屋の4-4-2の守備ブロックを左右に動かすため、および、間を広げるために幅取り役はタッチライン際に陣取ります。左SHユル木と右SB橋岡です。名古屋は、幅取り役のマークは基本的にSHがします。

名古屋のCH2枚の守備はなかなか堅いので、山中を遊撃隊的に使って柴戸、青木の両CHと3人で中盤に数的優位を作ります。山中は、最後尾でビルドアップを助けながら、最後はチャネルランで崩しの局面にも参加するなど、活発な動きを見せていました。(上がりすぎるとファイヤーフォーメーション感でてきますが・・・CHがあまり前に行かないから、いいのかな?)

そこで、名古屋CHの脇が空いてくると、中間ポジションに降りてきた杉本への楔のパスが入ります。

最後には、確実なフィニッシャーであるレオナルドが控えています。

全体を通して「いい名古屋対策だね」って思ってました。

しかし、名古屋が得点を重ねるたびに、FWへの一発狙いのロングボールが多くなりました。それに伴い、幅取り役の攻撃への関与が下がり、状況を悪化させました。そのため、丁寧に名古屋の守備の構造をへし折ってやろうという意図は薄くなり、ゲームを通してやりたかった事は見えにくい展開になりました。

ボコボコの理由?

ボコボコにできた理由といえば、名古屋が強いからですね。これに尽きます。

浦和目線で言うと、あまり明確な理由はわからないのですが、強いて挙げるとすると以下のようなことでしょうか。

まず、浦和のプレス位置はかなり高め設定していて、前から嵌めに行ってロングボールを蹴らせて回収するものでした。90分の戦略というより、試合序盤に圧力をかけようという狙いだったと思います。

そのため、DFラインの裏に広大なスペースがありました。これは、名古屋のスピードとテクニックのある攻撃陣にとって、ありがたい展開でした。また、名古屋DF陣のプレス耐性が高いので(清水戦のレビューを参照。)、良いボールも供給できました。(戦術と対戦相手のミスマッチ?)

次に、浦和CB陣と名古屋アタッカー陣のミスマッチです。浅いラインの場合、スピードのあるCBじゃないと苦しいところがあります。例えば横浜FMのチアゴマルチンスとか、川崎のジェジェウとか。その点で浦和のトーマスデンはスピードの点では十分優秀です。しかし、鈴木大輔はどちらかというと高さ強さに特徴のあるタイプです。

では、前半で交代した鈴木大輔が悪かったかというと、どちらかというとトーマスデンや山中亮輔のしわ寄せが鈴木に来た印象で、少し気の毒な感じがしています。

この試合、金崎夢生が左右に流れてポイントを作る場面が多かったのですが、浦和CBはそのまま追っていく約束になっていたと思います。しかし、その金崎のポストを潰すことなく、レイオフなどで簡単に落とされてしまうので、スピードが下がらず、広大なスペースをゴール前のもう一人のCBで守らなければなりません。

金崎がサイドに流れた時点でSBにスイッチする守り方だと、ここまで”わちゃわちゃ”しないと思うのですが、3バックに慣れてきた名残でしょうか?あまり浦和戦を見てないので、深くは言及できません。

また、この時、逆SBの山中は中央に絞らなければなりませんが、守備がかなり緩かったと思います。1,2,5,6点目のダイジェストをご覧ください。前田が4点入れているので、対面の山中が悪目立ちする傾向はあると思います。それを差し引いても寄せが甘い気がするのですが、いかがでしょうか。

セットプレーの3点目を除く全得点で、ディレイがかからない緩さがあり、その割を食う形で最後に鈴木が寄せる失点が多くなっていました。

背後にあるスペースをカバーするスピードが必要であり、かつ、幅取り役への長めのサイドチェンジを蹴れることが必要であるという、今日の戦術の場合、鈴木よりも槙野や岩波がスタメンとしては適任だったと思います。(戦術と人選のミスマッチ?)

また、攻撃のタスクにより帰陣する距離の長かった橋岡と山中の両SBは、ターンオーバーしていないポジションであり(共にリーグ全試合スタメン)、そのためフレッシュな状態で試合に臨めていないようにも見えました。

山中は、攻撃のゲームメイクも任されていて外せないのかもしれません。しかし、攻め上がりは減らすなどして守備に備えたポジショニングをされた方が、名古屋にとっては辛かったかもしれません。(戦術と対戦相手のミスマッチ?結果論ですが。)

几帳面に使っていない選手をターンオーバーで出場させることと、今日の戦術に合う選手を選ぶことの両立が、今日の大槻監督にはできていなかったのかもしれません。(偉そうに。)

なんとなく緩い浦和のディフェンスがあったとはいえ、華麗なターンを見せたシャビエルのキレや、レイオフでスピードを上げる金崎とマテウスのコンビや、シュートがうますぎる前田が、素晴らしすぎるのは言うまでもありません。

浦和がボコられた理由は、なんとなく緩い=「気持ち」なのか、戦術と人選のミスマッチなのか、戦術と対戦相手とのミスマッチなのか、”たまたま”なのかわかりませんが、名古屋にとってはうまく転がった試合展開となりました。


最後に

少し余談ですが、シャビエル良かったですね。大分戦のブログでビルドアップ時のの関わりについて指摘した部分が無くなり、前での仕事が多かったです。稲垣との意思疎通のなかで、GX「降りよか?」稲「大丈夫」みたいなジェスチャーもあったので、チーム内での理解もかなり進んでいるんだと思います。

今節は本当に忘れましょう。試合の流れが良すぎました。

ただ、大槻監督が「3点目が痛かった」と言っていたように、ショートコーナーからのシミッチのヘッドが試合を決めました。名古屋のセットプレーはかなりいい状態だと思います。セットプレーイズマネーって言葉があるように(ない)、名古屋の勝ち点、順位を安定させてくれると思います。


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