スキップしてメイン コンテンツに移動

レビュー)仙台 vs 名古屋~対策される名古屋~

名古屋(A)1-3仙台(H)/ユアテック/2019.6.14
得点者(名):マテウス
得点者(仙):吉尾海夏、長沢駿x2

まずは、14節 仙台戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます

今節のプレビュー記事はこちら。



いやー、きれいに名古屋対策されちゃいました。少し下降ぎみの自チーム事情も相まって、こういう試合もあるかなと。(U-20とトゥーロンで切り替えよっと★)

松本のように引いてカウンターと言う戦略を取れるわけではない仙台は、自分たちの得意な戦略で修正して勝利を収めました。流石、戦略家の渡邉晋監督。

仙台サポ界隈は、戦術ブログが熱い印象があります。渡邉監督がいろいろやってくるので、その解釈をする楽しみがそのような土壌を育んでいる一面があるのかなと。

今回は仙台の名古屋対策を中心にレビューします。

非公開練習で仕込んできたもの

仙台は名古屋戦に向けて非公開練習を実施しました。そこで名古屋の何に対して対策を打ってきたかというと以下の3点であったと思います。
  • 2トップの中央のバイタルエリアでの間受け
  • 前田直輝などの質的優位を生かしたサイド攻撃
  • ミドルゾーンでのトランジション
名古屋のストロングポイントを出させない戦術に上手くハマった印象です。順に見ていきます。

中央バイタルエリアでの間受け

今節のプレビューのように、ショートパスを主体として中央からの攻撃を得意とする名古屋。シャビエル、ジョー、アーリア、和泉、マテウス、前田直輝とクイックで狭いところでターンのできる選手を多く持つという特徴があり、真似することが難しい名古屋のストロングポイントだと思っています。

この部分に対抗するため、CBにこれまでCHで使われていたシマオマテを起用しました。シマオマテはCHらしい前に強い特徴を生かして、間受けをする名古屋の選手を捕まえに来ました。CBとしては比較的ポジションを守らず、サイドへもついて行って、広い範囲を潰しに行っていたためCBとしては変則的なふるまいでした。

普通に考えると裏への不安があるのですが、足元で貰いたい名古屋の前線の選手の特徴をふまえた戦略を取ったと言えます。

名古屋は、サイドの裏はついていましたが、中央やニアゾーンの裏を狙う動き、FWをMFが追い越す動きなどは少なかったので、仙台の戦術を逆手にとるには至りませんでした。しまおの出た裏を使う展開が見たかったなと。

バイタルにて、容易に前を向かせてもらえない、下がって間で受けるタイミングを狙われてボールロストする、という展開が前半15分ぐらいまではかなり多かったです。名古屋は以降、主な攻撃ルートをサイドに移しました。

サイド攻撃対策

仙台はこの日のフォーメーションなんて言ったらいいんでしょう。いろんな局面があったように感じました。

4-2-3-1と表記されることが多いようですが、守備時は、4-1-4-1ぽかったり、5-4-1もあったり、吉尾が二人いるように見えたり...この辺りは名古屋対策として守備の可変フォーメーションを取っているようでした。

仙台は名古屋がミドルゾーンでボール保持しているときは4-1-4-1でした。

しかし、名古屋の”ひとりでできるもん”前田直輝がサイドでボールを持つなどして、オフェンシブサードに侵入する際は、WGの関口が最終ラインまで戻って5バックを形成していました。(ちなみに、逆WGの道渕も数は少ないですが同じ動きがありました。)
名古屋は今節、スカウティングから右サイドの攻撃を多くしていたと思われますが、その上をいく戦略で、WGに上下動のできるベテランの関口を置きサイドを封鎖してきました。

仙台は、トランジション合戦のミドルサードでは、中盤を5枚と厚くすると共に、押し込まれたディフェンシブサードでは、5バックにしてスペースを埋めていました。つまり、”おいしいとこ取り”が出来ていました。

普通であれば、前の人数が少なくなりカウンターが弱まるはずでした。例えば、この試合、仙台のSBは、ほとんど上がってきていません。それを補ったのが長沢駿で、今節はスーパーなボールの収まりで、マイナスの面が出ることなく終わったのも名古屋にとっては痛手でした。

ミドルゾーンでのトランジション

この試合、ボールホルダーが3人に囲まれてロストという絵を何度も見ました。

仙台が守備時に3センターにしていたこともありますが、ボールホルダーに対し2~3人で挟み込んで絡め取るという意識は非常に高かったと思います。(下図はボールの2つある架空の状態です。イメージとして。)特に、ハーフスペースで間受に入ったSHに対するプレスはきつかったと思いました。デュエルで負けたというよりも数的優位に負けた印象。

前述のとおり、FWが下りてくるとシマオマテがついてきますし、SHが受けると3人で囲まれますし。なかなか前に進めないわけです。逆に、シミッチには1人ついておけばって感じでした。

前4人の間受けをボールの奪い所として明確に焦点が絞れていたので、仙台のチーム力が最大に活かされたのだと思いました。

対抗して名古屋は、DF陣が仙台のMFを引っ張り出そうと工夫しているように見えました。丸山祐市が珍しくビルドアップ時にロストする場面があったのですが、相手のブロックを間延びさせようと引き付けたことのあらわれだったと思います。サイドに流れて起点となったり、ロングボールを入れたり、ビルドアップに変化をつける工夫が見られました。


おわりに

最近は、期待が膨らみすぎている面もあり、残念な気持ちになっていましたが、試合を見返してみると70分までは5分の試合で、決定機も等しくあり、決してどん底の試合ではありませんでした。

大きな展開のきれいな崩し後のゴラッソも見られました。(難しいゴールしか入らないという贅沢)相変わらず前田直輝はチャンスを量産していました。(入れて)和泉竜司は、中心になってゲームを作ろうという気概が見えました。(あとは入れて)決定機で決めきれば結果はわかりませんでした...が、結論としては、本当にきれいに名古屋対策されちゃいました。

風間監督なので、対策されやすいのは2年半で慣れてきた感あります。しかし今節の、”結構できてる感”の中での対策負けは、まだまだ成長しないといけないことを改めて浮き彫りにしてくれました。更に高みを目指せということですな。

代表中断後は、U-20とトゥーロンで伊藤洋輝と菅原由勢と相馬勇紀が一皮むけて、ジョーとネットが戻って、トップフォームではない選手も復調し、風間監督の改造が入って、強い名古屋が戻ってくることに期待したいと思います。


最後に一言、仙台さんには不公平のないよう、他チームにも同じレベルの対策をお願いします...


トップページのブックマークをお願いします。
更新情報をツイートします


↓クリックすると
↓みなさんのグランパスブログが見れます
にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスへ
にほんブログ村

コメント

このブログの人気の投稿

2024名古屋グランパス 編成の妄想

2024.1.14新体制始動ということで、今年のスカッドについて好きなように妄想を書けるのは今だけなので、久しぶりにブログを更新したいと思います。 今年の編成の感想 今年のスカッドを見て、違和感を感じた。その違和感の正体は、3か4か分からないこと。 以下にミルクボーイ調で4バックなのか3バックなのか考えてみた。 監督が昨年やり方を踏襲すると言っている。3バックで決まり。 フィジカルに長けた上下動できて守備も信頼できる名古屋風WB(相馬、森下、豊)が1人もいない。なら3バックちゃうか。 右SB適任者が、再レンタルも想定される成瀬しかいない。やっぱり3バック。 ただ、獲得したサイド選手(山中、小野、成瀬、山中)はみんなWB未知数。ほな3バックじゃ無いか。 3バック維持するとしても丸山、藤井、中谷の移籍で作り直しは必至。ほな3バックじゃなくてもよいか。 1枚目2枚目過多でDF枚数を減らしたい。ほな3バックじゃ無くてもよいか。 去年、後ろに重たかった。ほな3バックじゃない方がいいか。 福岡、日本代表など4と3を併用するクラブが出てきた。 新体制発表会、長谷川監督「3も4も様子を見ながらやっていきます。」4バックやるって言ってるやんけ! とミルクボーイ調もかなり崩れているが、4バックをやるっぽい。てか、やって欲しい。 どうも、 フォーメーションをシーズン・時間帯を通して使い分けると考えて間違いなさそうだ。 ちなみに4231に当てはめてみたのがこちら。我ながらまんざらでもない。理由は、 エルボーバック(SBの片側を上げ、逆側にCBのできるSBを置く)の4231をベース に妄想しているからだ。 左上がりエルボーバック もう少しエルボーバックを掘り下げよう。一例として、左SBを上げ気味にしたエルボーバック4231を示す。右SBに野上が入ることで、 試合中に3バックにも可変できる というわけだ。 この場合、久保と山中で幅を取り、左WGの森島を内側に絞らせることで、森島、山岸をSTとする3421的にも振舞える。森島がいい感じにライン間で仕事をしたり、下りてきたりが可能になる。この形は森島が活きる。ちょっと守備の怖い(失礼)、トージロー君を前目に残せて活きる。上下動の運動量に不安のある(失礼)、山中の負担も減り活きる。 昨シーズンは後ろに重たいことが課題 としてつきまとった。試合序盤など...

プレビュー)鹿島 vs 名古屋~ゲームメイカー内田篤人~

まずは、次節対戦する鹿島の前節(vs磐田)のダイジェストから。 鹿島のお勉強のため、磐田戦(5節)、札幌戦(4節)、川崎戦(2節)を見ました。世代交代もスムーズに手堅いチームが出来上がってます。 守備はプレスラインをセンターサークル付近にした4-4-2で、コンパクトなブロックを作る形です。FW2枚はサイドに誘導する程度で、MFのラインにボールが入った瞬間に詰めてきます。逆サイドにいる選手は捨てて、スライドを頑張るやつです。 攻撃は縦に速い攻撃を志向しています。”放り込みに見えて伊藤翔の動き出しの方が早いために収まっちゃうやつ”やカウンターや疑似カウンターなどで手数をかけずにボールを進めます。相手の守備陣形が整ったら、レオシルバを中心に遅攻に移ります。 ゲームメイカー内田篤人 皆さん内田篤人のプレースタイルってどんな印象でしょうか?攻撃的で、コンビネーションを使いながらオーバーラップしてクロスを上げる印象ありませんか?今はそのようなプレーは一試合2~3回程度です。 逆サイドが安西という事もありますが、それほど上がりません。また、ポジショニングも含めた対人守備で、ほぼ1対1で負けません。守備力も高く、だいぶ印象変わってます。さらに、ロングボールを主体にゲームメイクをする選手になっているため、ハイラインの名古屋にとっては要注意人物なのです!! ロングボールの球種が多い! 内田は正確なキックで展開を変えるロングボールを出すことで、ゲームメイクしていきます。チーム全体としてロングボールの後は手数をかけず、フィニッシュを狙います。そんな形を4つ紹介します。 逆サイド敵ブロックの外に陣取った安部や安西にワンステップでストレート系のロングボールを入れて攻撃のスイッチを入れる。 ペナ内DF背後に浮き球の逆回転系のボールを入れる。伊藤翔が背中からくるボールをトラップしてゴールというのが川崎戦でありました。 同サイドのレアンドロやセルジーニョが相手SBの背後に走り、そこに内田がカーブしたロングボールを入れます。その後は迷わず1対1勝負です。 レアンドロがSB-CB間に斜め走りするなどしてスペースがある場合には、アーリークロスがDF-GK間に入ってきます。正確でGKは絶対出れないやつです。 このように、内田の入れたボー...

プレビュー3)C大阪 vs 名古屋~名古屋らしい守備を考える~

まずは、次節対戦するC大阪の前節(vs鹿島)のダイジェストから。 延期された28節のC大阪戦。過去に書いた プレビュー記事1 、 プレビュー記事2 はこちら。順延前、3-4-2-1だったセレッソのフォーメーションは、4-4-2になっています。 〈見どころ〉 両チームとも前節のスタメンを前提としています。 C大阪は、ALC決勝のため前節大幅にターンオーバーした鹿島に惜敗。今季得点が少ないセレッソだが、2回ポストに当てるなど、決定機も作っていた。(鹿島は、GK、CB、ボランチ以外にだけスタメン級を使ってそれ以外はターンオーバーしていた。それでも、全員がハードワークして、鹿島らしい戦いができていた。育成、メンタリティを含め見習いたい部分が沢山ある。) 丸橋・高木のいる左サイドからの攻撃が強烈だった。 C大阪は、後方でビルドアップしているところに相手が食い付いてくると、ソウザや山口からコーナーフラッグに向けたロングボールを蹴り、両ワイドの高木と水沼に通す攻撃をしてくる。ボールの出どころへのケアと名古屋SBの裏のスペースのケアが大事になる。 名古屋は、前節の神戸戦、櫛引を右SBに置いていたが出場停止。 名古屋は、神戸戦から中2日。 名古屋は、鳥栖が長崎に勝ったことでJ1参入プレーオフ圏内の16位に。 名古屋らしい守備について 名古屋は、守備の緩慢さが指摘されている。ただし、風間監督は”相手のフォーメーションとのミスマッチの修正を必要があった”という認識だった。セレッソが4-4-2の場合、名古屋は4-4-2の方が人に付きやすいが、どうなるか。 名古屋は、名古屋らしい守備を考えないといけないと思う。 例えば、風間監督はハードワークを求めていないわけではない。しかし、名古屋の抱える選手の特性がハードワークに向いていないので、インターセプトを狙う読みの良さなどで対抗する必要がある。因みにインターセプト数は5位。タックル数は18位。 あと、これまでの試合で勝っている試合でも、ハードワークで勝ったというより、シュートブロックとランゲラックのセーブのおかげで勝っている。シュートは打たせても、コースは限定しないといけない(イニエスタのループは諦める。流石にもう少し寄せる必要はあるが。)。 相手のカウンターにはしっかりディレイをしなければならな...

プレビュ)広島 vs 名古屋~広島のカウンター回避策を逆手に取って~

まずは、次節対戦する広島の前節(vsFC東京)のダイジェストから。 惜しくも0-1でFC東京に敗れた広島。しかし、城福監督は敗戦の弁で「FC東京のカウンター対策ができていた」という趣旨の事を言っていました。 このカウンター対策の中身をどうとらえたか、および、それを名古屋がどう生かすのかを中心にプレビューをしていきます。 広島のカウンター回避策 FC東京戦の広島は、非常に手堅い試合運びをしていました。 FC東京の攻撃で一番恐れていたのは、ミドルサードでのプレスからボールを奪われ、DFラインの裏でポイントを作られ、ゴールに迫られるというショートカウンターだと思います。 このカウンター対策として、前半の広島はボール奪取後に、FC東京に再奪回されないことを主眼に置いた戦略を取ってきたと見ています。そのために、ポジトラ後の自らのカウンター機会を縦に攻めるのではなく、早いタイミングでサイドチェンジを入れていました。 ポジトラ後は、敵の密集がいるためロストするとカウンターを受けてしまします(一番危ないやつ)。それを回避するために、サイドチェンジをしていたと思います。通常、自陣でのポジトラ後のサイドチェンジは、カットされると危ないカウンターに直結するので、あまりやりません。 それが可能になる条件として、①見方も用意していないような早いタイミングで繰り出すこと、②FC東京が攻撃時ボールサイドに寄っていること、③広島が5バックなため確実に逆サイドに人がいること、3条件があったため実現していました。 前半に、CHの川辺や松本から、逆サイドの左WB柏、左CB佐々木へ通していたので確認してみてください。強すぎてタッチを割る場合があったり、柏と佐々木の間にめちゃアバウトに入れる場合があったり、、、が見て取れると思います。 以上が、私の考える広島のカウンター回避策の一つです。 広島カウンター回避策を逆手に 名古屋相手に同様の戦略を取ってくるかはわかりませんが、名古屋もボールサイドに寄る所、ネガトラ時に即時奪回を狙うところなどFC東京と共通する部分があります。 さらに、広島リードの場面には「何も起こらない試合」(=所謂、塩漬け)にするために実行される可能性が高いのではないかと思います。(監督が成功と思ってい...