スキップしてメイン コンテンツに移動

レビュー)G大阪 vs 名古屋 ~割り切って勝ちにこだわって~

名古屋(H)2-2 G大阪(A)/豊田スタジアム/2019.7.20
得点者(名):前田直輝、宮原和也
得点者(大):アデミウソン、宇佐美

鯖缶(味噌)でビール飲みながらブログを書いております。(鯖缶の"ちょい足し"はワサビが合う。)ロスタイムに同点に追いつかれる悔しいドローとなりました。

今節も悔しい結果となりました。が、"いいとこ成分多め"でレビューを書いていきたいと思います。今にもダークサイドに落ちそうだが...

「まず、観客42975人がいいとこだよね。あと、初スタメン2人もいたし、1人はユースっ子だし。さらに、吉田豊がライバル太田宏介の加入で気を吐いていたし。あと、他チームはガンガン主力を海外/その他に抜かれてるし...。」

そんな中、ある程度割り切った(=ロマンだけを追いかけていない)戦いをG大阪戦では見せていたと思うので、そのあたりをレビューします。


まずは、20節 ガンバ戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます


全体論

名古屋は3-4-3で、守備時5-4-1でプレスラインはセンターライン付近にして、あまり深追いせず、下げすぎもせずという狙い。攻撃時はネットかシミッチが下りて4-3-3から、押し込んて行くと3-2-5というような形でした。

一方、ガンバは3-5-2で、守備時は5-3-2でこちらもプレスラインはセンターライン付近にしてあまり深追いせず、下げすぎもせずという形。攻撃では、遠藤、矢島、倉田、宇佐美(NEW!)がふらふら中間ポジションに入り、両WG(中村、福田)で幅を取りながら進める遅攻と、スピードとテクニックでポイントを作ることが出来る2トップ(アデミウソン、宇佐美)を生かした速攻を混ぜながら攻撃してきました。

お互い、「ミドルサードで取って、早い攻撃をしよう!」という意図ががっぷりよつの形でした。お互いボール保持の安定感があり、ミドルサードで虎視眈々と隙を狙うボール回しが面白い試合でもありました。

ボール支配率は名古屋46%(!)、G大阪54%でした。G大阪の方が「ビルドアップで後ろの方で回しておこう」という、のらりくらり感があったため実質5分5分ですが、名古屋が明確にやり方を変えてきた影響を表す数字だと思います。(割り切りポイント①押し込むにこだわらない)

名古屋のスカッド

両WBに吉田豊、宮原和也、両WGに前田直輝、和泉竜司。これ以上、サイドが手堅い風間スカッドはないと思います。

守備時の5-4-1の時に、両WBは5バックに下りて、初スタメンの藤井陽也と太田宏介をサポートし、両WGは2列目のサイドにおりて、ネットとシミッチの守備強度を補うという守備に手厚い布陣でした。(割り切りポイント②守備力で人選)(実際、前田にかわりシャビエルが入った後、怪し・・・)

試合を通し、プレスラインをミドルサードより後ろに設定しているので、攻撃時に前に出ていく走力的にもこの4人以上の適任はいません。奪ってからの速い攻撃を担っていました。(割り切りポイント③深さ・幅を取った攻撃)

まさか、ネットが受け手として速い攻撃でアシストする所までは予想できませんでしたが、チームの共通理解として「スペースのある状態で速い攻撃をして点を取ろう」という形を表したスタメンだったと思います。

他に良かった所としては、”ハーフスーペースに下りてきた選手がボールを受けると、オートマチックにサイドにはたき、フリーになり前進”という形が沢山見られ、「意外に3-4-3こなれてる!」と驚きました。

ガンバの攻撃と宇佐美

G大阪は、名古屋の5-4ブロックのライン間やブロックの前に、宇佐美、倉田、遠藤、矢島が入り攻撃を組み立てます。名古屋は上手く回されるのをある程度許容して、ブロックのコンパクトさを重視した守備をしていました。

前半は、ライン落ちをする遠藤へのプレッシャーが弱く、攻撃を作られていました。これはブロックを間延びさせないように深追いが禁止されていたのだと思います。(割り切りポイント④深追い禁止)後半は、ジョーと2CHで遠藤を受け渡し、上手く守れていました。

宇佐美は以前のチャンスメーカー的な役割から、プレーメーカー的な役割を多めにした、新たな一面を見せていました。最近は、矢島がアンカーに入り長短のパスで攻撃を司っているので、宇佐美と共にゲームメイクを担い、遠藤からの脱却が加速されるのではないかと思われます。(世代交代がヤット見えてきた感。)

ガンバの攻撃において、ネットの周りに鳥かごが出来ているのを沢山見ました。ネットとSHの間に入られた場合に、ボールホルダーはネットにつっかけていました。規制がからずズルズルDFラインを下げざるおえない場合が散見されたので、今後修正が必要ではないかと思います。(ぼかそうとしていたのか、シミッチとネットの位置は多々入れ替わっていましたが。)特に、終盤に押し上げられなかった原因の一つにネットとシャビエルの間を狙われたことがあったのではないかと。シャビエルが前田に比べ高めにポジショニングしていたなど、ネットだけの問題でもないですけどね。

名古屋の初スタメン

FC東京から新加入の太田宏介とユース上りの藤井陽也が、名古屋でのリーグ戦初スタメンとなりました(祝!)。二人とも今後に期待が膨らむ内容でした。

藤井陽也の第一印象は「落ち着いている」。(←これCBに一番重要)

ラインが乱れてオフサイド取りそこなうとか、裏抜けに対するスピード勝負のカバーリングに遅れてPK取られるとか、ビルドアップでやばい取られ方してカウンター喰らうとか、”風間名古屋あるある”が全くなかったです。これが評価されていいと思っているところです。(当たり前じゃないですよね?)

”アデミウソンに狙われている感”が出た時間帯もありましたが、冷静に対処し大きな破綻はありませんでした。

平均点が高く、CBは経験を重ねる毎にどんどん成長していけるポジションなので期待が高まります。ルヴァンのU21枠も頼んます。

太田宏介は貫禄のプレーで、今後フィットしてきたらどうなるんだろうと、更に期待しています。サイドを駆け上がってチャンス構築に貢献していましたが、まだまだ使われない場面が多かったですし、FKで点取ってから名古屋の一員として認めますw。

試合前は、「太田と吉田のポジションが逆の方がいいんじゃないか」と思っていました。しかし、試合後には、この形が選ばれたのも納得しました。

太田の方が高さがあり、吉田を外から追い越してのサイドライン際からの長いクロスの精度が期待できます。一方、吉田の方がスタミナがあり、ハーフスペースとサイドの出入りのポジショニングにおいて、和泉とのコンビネーションに習熟があります。よって、太田が左CB、吉田が左WBの方がバランスが良いと思い直しました。

おわりに

この試合は、以下の点で割り切って勝ちにこだわっていました。
  • 割り切りポイント①押し込むにこだわらない
  • 割り切りポイント②守備力で人選
  • 割り切りポイント③深さ・幅を取った攻撃
  • 割り切りポイント④深追い禁止
だからこそ勝ち切りたかった。

たぶん、風間監督を批判する人が望む形が多く取り入れられていたと思います。逆に、解任派の人も、”勝てなかった事”と”CHの守備力”と”交代策”以外に指摘する部分があまりなかったのではないかと思います。

だからこそ、終盤に選手交代によるメッセージとしてネットの所に小林裕紀を入れて守り切って欲しかった。

だけど、それをしなかった。8試合勝てていない試合に、それをしなかった。

風間監督やフロントは理念を追求しています。「今必要なのは”ちょい足し”程度の選手の成長や戦略の修正(や補強)である」と、監督やコーチは信じて疑ってないんです。そう思わされる試合でした。



トップページのブックマークをお願いします。
更新情報をツイートします

↓クリックすると
↓みなさんのグランパスブログが見れます
にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスへ
にほんブログ村

コメント

このブログの人気の投稿

レビュー)札幌 vs 名古屋〜八反田の退場後も決定機は作った〜

名古屋(H)1-2札幌(A)/パロマ瑞穂/2018.10.28 得点者(名):ジョー 得点者(札):ジェイ、ジェイ まずは、18節 札幌戦のダイジェストから。 今節のプレビュー記事はこちら。 八反田の退場はあったが、良い時間もあり悔やまれる敗戦 名古屋は、試合を通した出来はそれほど悪くなかったと思います。しかし、試合の入りが悪い癖、集中力が切れるタイミングがある癖、によって敗れてしまいました。得失点差もほとんど差のない両チーム(試合前の得失点差:名古屋ー5、札幌ー2)。順位差ほどの実力差は無いはずなので、悔やまれる敗戦です。 八反田は、元々リンクマンとしての役割を任せることで力を発揮するタイプです。しかし札幌戦では、中盤で玉田や小林がリンクマンの役割をしていたために、パスがなかなか入りませんでした。そのため、裏を取る動きをしていましたが、空走りになる回数が多くなっていました。 久しぶりのスタメンで気が入り過ぎたことも退場の要因になっていたとは思いますが、元々デュエルで勝つタイプではない事と、空走りによる疲弊があったことが重なって、退場は起こった事と思います。この時間までに、もっと試合には入り込めるように意図的に使うような、チームのサポートがあっても良かったのではないかと感じています。(もちろん、2枚目をあのポジションで貰う必要はないと思いますが。) 前半1点目から2点目を取られる間の流れは総じて名古屋ペースでしたし、10人の後半も何度か決定機を作り、1つでも入っていればという展開に持ち込めた事は評価されるべきだと思います。 〈雑感(良いところ)〉 櫛引が2試合連続で、他のスタメンの選手と遜色ない働きだったことは良かったと思う。名古屋はスタメン同等の活躍をしてくれる人数が少ないことが課題だと思っているので、一人でも多くのグループとして機能できる選手が増えることはありがたい。 森保監督が視察に来ていたためか分からないが、前半の前田はいつもにも増してエロいドリブルをしていた。 10人でも何度か決定機を作った。ク ソンユンのビックセーブもあり、ゴールには至らなかった。 〈雑感(今後に期待)〉 札幌は、左右CBの攻撃参加が特徴だが、今日は福森よりも進藤にやられた感じだ。PK取られたり、流れからヘディングシュート打...

アジア大会決勝 U23韓国 vs U21日本 森保監督の苦悩の始まりか?

アジア大会の決勝、U21日本代表は惜しくもU23韓国代表に敗れ銀メダルに終わりました。内容的に悔しい負け方でした。森保監督は、勝つ可能性を最大限引き出したと思いますが、サッカー日本代表を切り盛りするうえで魅力的か否かという点で、今後苦しむのではないかと思いました。 現有戦力でどう韓国に勝つかという日本の戦略について ご存じの通り日本代表は、U23+オーバーエイジ3人というレギュレーションのところを、オリンピックでの成功を主眼に置きU21で臨みました。さらに、U21の中でも海外組は招集せず、オーバーエイジも使いませんでした。決勝を見る限り、韓国との実力差はありました。その中で、もし勝つならこの方法ということで、守備重視のカウンター狙いの戦術になっていたと思います。 ベスト16 、 準々決勝 、 準決勝 と見てきましたが、相手に合わせ戦術を変えている印象で、この試合でも日本の長所を出すというよりは、負けにくい戦い方を選択していたように感じました。 ボールの収まりどころがあれば 日本は韓国をリスペクトしすぎていた部分もあると思います。クリアーのセカンドボールがほとんど韓国側に渡り、試合をより難しいものにしていました。日本のCB陣は比較的ボール扱いがうまい印象だったので、ポジティブトランジションの時にしっかり繋ぐ選択を増やしてほしかったと思います。それを実現するためにも、キープ力のあるカウンターの中継地点になる選手がいれば、今回の戦い方でも勝つ可能性が高まったと思います。(ラフなロングボールを収めろというような酷な要望はしません。)球離れが悪くてもドリブルで仕掛けてファールをもらって時間を作るような選手がいればとか(逆襲されにくいサイドとかで)、上田ともう一人を両サイドに張らせて相手DFに絞らせにくくするとか、キープしてカウンターの上りを待てる時間が欲しかったです。中盤の選手にそういう気持ちを感じなかった事も残念でした。中途半端なことはしないという意思統一はあったのかと思いますが、いわゆるボールを時限爆弾のように扱っている感じに見えました。 森保監督の苦悩のはじまり? この試合の森保監督の采配は、勝つ可能性を最大限高めた戦い方であったという部分では評価されるべきだと思います。ただ、魅力的かと問われると「No」でした。昨今のサッカー日本代...

2024名古屋グランパス 編成の妄想

2024.1.14新体制始動ということで、今年のスカッドについて好きなように妄想を書けるのは今だけなので、久しぶりにブログを更新したいと思います。 今年の編成の感想 今年のスカッドを見て、違和感を感じた。その違和感の正体は、3か4か分からないこと。 以下にミルクボーイ調で4バックなのか3バックなのか考えてみた。 監督が昨年やり方を踏襲すると言っている。3バックで決まり。 フィジカルに長けた上下動できて守備も信頼できる名古屋風WB(相馬、森下、豊)が1人もいない。なら3バックちゃうか。 右SB適任者が、再レンタルも想定される成瀬しかいない。やっぱり3バック。 ただ、獲得したサイド選手(山中、小野、成瀬、山中)はみんなWB未知数。ほな3バックじゃ無いか。 3バック維持するとしても丸山、藤井、中谷の移籍で作り直しは必至。ほな3バックじゃなくてもよいか。 1枚目2枚目過多でDF枚数を減らしたい。ほな3バックじゃ無くてもよいか。 去年、後ろに重たかった。ほな3バックじゃない方がいいか。 福岡、日本代表など4と3を併用するクラブが出てきた。 新体制発表会、長谷川監督「3も4も様子を見ながらやっていきます。」4バックやるって言ってるやんけ! とミルクボーイ調もかなり崩れているが、4バックをやるっぽい。てか、やって欲しい。 どうも、 フォーメーションをシーズン・時間帯を通して使い分けると考えて間違いなさそうだ。 ちなみに4231に当てはめてみたのがこちら。我ながらまんざらでもない。理由は、 エルボーバック(SBの片側を上げ、逆側にCBのできるSBを置く)の4231をベース に妄想しているからだ。 左上がりエルボーバック もう少しエルボーバックを掘り下げよう。一例として、左SBを上げ気味にしたエルボーバック4231を示す。右SBに野上が入ることで、 試合中に3バックにも可変できる というわけだ。 この場合、久保と山中で幅を取り、左WGの森島を内側に絞らせることで、森島、山岸をSTとする3421的にも振舞える。森島がいい感じにライン間で仕事をしたり、下りてきたりが可能になる。この形は森島が活きる。ちょっと守備の怖い(失礼)、トージロー君を前目に残せて活きる。上下動の運動量に不安のある(失礼)、山中の負担も減り活きる。 昨シーズンは後ろに重たいことが課題 としてつきまとった。試合序盤など...

レビュー)浦和 vs 名古屋~崩しの多様性~

名古屋(H)2-0浦和(A)/豊田スタジアム/2019.5.12 得点者(名):マテウス、ジョー 得点者(浦): まずは、11節 浦和戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます 今節のプレビュー記事はこちら。 浦和がタイでのALCを挟み日程的にアレだったこともありますが、名古屋の多彩な組織的攻撃が光った、今年一番のゲームになりました。 前節まで、調子が心配だったジョーも1G1Aの大活躍でしたが、ジョーに頼らずとも点の取れそうな崩しのパターンが多数見られたので、その部分を中心にレビューします。 組織的攻撃の崩し 名古屋は最近の試合では、ビルドアップの出口に困ることはほとんどなくなっています。 シミッチの存在が大きいこともありますが、SH(シャビエル、この試合では出ていないが和泉竜司)やCF(ジョーと長谷川アーリア)が下りてきて交互にビルドアップを助けると共に、これらの選手全員がライン間の中間ポジションで受ける才能があり、ビルドアップの出口となるためです。 そこで、次に大切になっているのがシュートに至る直前の崩し(キーパス)の場面です。 名古屋の崩しの目的地は、ゴールライン手前のハーフスペース(HS)になっています。この部分に侵入するのは基本的にSHとSBで、CFが侵入する回数は少ないです。 次に多用されているのはCF同士のパス交換です。 それぞれの崩しの場面で各ポジションの選手が背負っているタスクと、浦和戦の前半における回数(時間)をご紹介します。 SBの崩しのタスク SBはHSへの裏抜けが第一のタスクとしてあります(前半21、23、26、29、35、44分=6回)。CHやCBからの浮き球を、ダイアゴナルにサイドからHSにランニングして納めます。 一方、サイドのレーンの浮き球への裏抜けは42分の1回しかなく、HSを重要視していることが分かります。 次に、クロスに対してHSでヘディングで合わせて中に折り返すプレーがあります。(前半14、40分=2回)こちらは、宮原和也がジョーへアシストした2点目のようなプレーです。このポジションに高さで勝てるジョーではなく、SBを持ってくることが最近の試合では統一されている気がしています。(吉田豊も宮原和也も走りこんだヘディングは結...