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レビュー)浦和 vs 名古屋~崩しの多様性~

名古屋(H)2-0浦和(A)/豊田スタジアム/2019.5.12
得点者(名):マテウス、ジョー
得点者(浦):

まずは、11節 浦和戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます


今節のプレビュー記事はこちら。


浦和がタイでのALCを挟み日程的にアレだったこともありますが、名古屋の多彩な組織的攻撃が光った、今年一番のゲームになりました。

前節まで、調子が心配だったジョーも1G1Aの大活躍でしたが、ジョーに頼らずとも点の取れそうな崩しのパターンが多数見られたので、その部分を中心にレビューします。

組織的攻撃の崩し

名古屋は最近の試合では、ビルドアップの出口に困ることはほとんどなくなっています。

シミッチの存在が大きいこともありますが、SH(シャビエル、この試合では出ていないが和泉竜司)やCF(ジョーと長谷川アーリア)が下りてきて交互にビルドアップを助けると共に、これらの選手全員がライン間の中間ポジションで受ける才能があり、ビルドアップの出口となるためです。

そこで、次に大切になっているのがシュートに至る直前の崩し(キーパス)の場面です。

名古屋の崩しの目的地は、ゴールライン手前のハーフスペース(HS)になっています。この部分に侵入するのは基本的にSHとSBで、CFが侵入する回数は少ないです。

次に多用されているのはCF同士のパス交換です。

それぞれの崩しの場面で各ポジションの選手が背負っているタスクと、浦和戦の前半における回数(時間)をご紹介します。

SBの崩しのタスク

SBはHSへの裏抜けが第一のタスクとしてあります(前半21、23、26、29、35、44分=6回)。CHやCBからの浮き球を、ダイアゴナルにサイドからHSにランニングして納めます。

一方、サイドのレーンの浮き球への裏抜けは42分の1回しかなく、HSを重要視していることが分かります。

次に、クロスに対してHSでヘディングで合わせて中に折り返すプレーがあります。(前半14、40分=2回)こちらは、宮原和也がジョーへアシストした2点目のようなプレーです。このポジションに高さで勝てるジョーではなく、SBを持ってくることが最近の試合では統一されている気がしています。(吉田豊も宮原和也も走りこんだヘディングは結構強い。)

その他のタスクとしては、シュート性のグラウンダーのクロスにダイアゴナルにゴール前に飛び込む事(前半15分=1回)などは決め事になっていると思います。

崩しの場面では、SBはSHと同レーンには立たないなども徹底されています。

SHの崩しのタスク

SHは基本、幅方向は基本的にどこにいても良いことになっています。(その代わりにCFとCHとCBはあまりペナ幅から出ない。)また、ビルドアップに参加するためHSを縦に上下します。(和泉竜司と違い、マテウスはフィニッシュに絡む事を重視され、下がってはダメな設定だった。)プレーメイクする役割も多くになっています。

その中で、SHに求められる崩しのタスクとしてはSBと同じくHSへの裏抜けが最も多かったです。(前半22、27、43、45分=4回)

また、前田直樹、シャビエルのカットインやマテウスや相馬勇紀のサイドの突破といった個人のスピード、ドリブルスキルを活かした崩しをトライすることも求められています。

CFの崩しのタスク

CFはなるべくペナ幅から出ずに、ビルドアップを助けるために上下動はOKというプレーエリアでした。また、CF2人は常にいい距離で斜めの位置関係を保つことが徹底されていました。

斜めの位置を保つことで、楔のパスの落としを受けることや、壁パスのようなボールの動きを促します。CFの崩しとしてはこの斜めのパス交換が最も多く見られました。(前半15、27、30、33、47分=5回)形としては、アーリアからジョーの落としをマテウスがゴールした1点目のような形です。

少し下がった位置で受け、HSのSBやSHに向けてスルーパスを出すことも他のチームに比べ多い役割になっています。このあたりでCFとSH/SBの役割が逆転しているところは、折り返し時にCFがゴール前にいる好循環も生んでいます。


以上のように、崩しのメカニズムはかなり成熟しています。

これに加えて、1試合に数回CBやCHがHSへ侵入する形も見られますので、本当にどこからでも崩せるチームになっています。

〈雑感(良いところ)〉

  • セットプレー時にシミッチとジョーが「今度は俺がスクリーンするよ」みたいに交互にスクリーン役とターゲット役を助け合ってやっているところが微笑ましい。
  • 最近の試合では、前線4人(和泉竜司、ジョー、長谷川アーリア、シャビエル)がみんな間受けを狙う「誰がシュート打つねん」傾向があって、そこにきてのパンチ力・マテウス起用だったと思っている。守備でもかなり忠実に走っていたし、スプリント回数も多かったし、フィットしていて良かった。4~6節の途中出場に比べ、11節(今節)のフィット感は格段に違った。チームとしてはシャビエルとマテウスの2トップみたいな雰囲気さえある。
  • 3センターで間を閉めてきた浦和だが、普通にその間に入ってボールを受ける名古屋。サイドチェンジの揺さぶりが無くても良いぐらいの出来栄え。
  • 守備にはあえて一言も言及しない。(ぐらい何もなかった)

次節は、金Jの川崎戦。会社休んで現地なので、ほんとに楽しみです(露骨な自慢)。去年、ネットが中村憲剛に封じられたのを、今年は、アーリアが大島にやり返す!みたいな展開を秘かに期待しています。


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しかし、得点をなかなか奪えない今年の浦和。1試合当たりのゴール数も0.8点です。ACLではシュート数0で引き分けという試合もありました。

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〈アタックモメンタム〉 湘南、負けなくて良かった。名古屋、勝ちたかった。
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〈守備〉 引用:https://www.sofascore.com/team/football/nagoya-grampus-eight/3136 左が湘南で、右が名古屋。上からデュエル、空中戦、タックル、インターセプト。

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