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シーズン序盤戦レビュー~ゴールに直結するKPI~

名古屋の代名詞

クラブ初の開幕6連勝!その間、被ゴール0(OG1)!強過ぎ!

「先制されると勝てる気がしない」、「決定機どころか、シュートすら打たせてもらえない」、「0-0は名古屋のペース」、「試合巧者」、「術中にはまった」、「こんなチームに負けたくない」、「鹿島より鹿島ってる」、「つまらない」などなど、名古屋についてこんな言葉(脚色有り)で語られる日が来るとは、数年前には予想もしませんでした。他サポの皮肉ともとれる賛辞を、ありがたく頂戴するマインドセットが、私の中で完全に確立しましたので、お知らせします。

このように、最強の盾という代名詞が定着した今日この頃ですが、ゴールしないと勝てないわけで、ゴールしているから引き分けてないわけで。

今回はゴールに直結するKPI(目的を達するための中間指標ぐらいの意味で使ってます)、および、そのKPIを頂点としたゲームプランについて、序盤戦(6節まで)の総括的に書いていこうと思います。

ゴールシーンの傾向

まず、軽く今シーズンのゴールをおさらいします。「ウノゼロばかりなのでまとめやすい」という自虐ネタ入れつつ・・・(各動画はゴールシーンの頭出しをしています。数秒づつ見て当ブログにお戻り頂けると幸いです。「ゴールシーンぐらい目を閉じれば浮かんでくるわっ」て方は、次の見出しまで飛ばしてください。)

1節福岡戦では、自陣でのボールカットに連動し、タイミング良く駆け上った相馬勇紀にパスが渡り、さらにWBとHVの間を抜けたマテウスにパスをして、マテウスが個人技を絡めて1点目を取りました。2点目は、サイドを深くえぐった吉田のグラウンダーのクロスを山崎がゴール前でシュートし、こぼれ球をマテウスが決めました。

2節の北海道戦では、前田とマテウスのパス交換でコーナーフラッグ付近に侵入し、その外側を駆け上がった宮原和也にパスが渡り、今度はゴールライン際を横方向に侵入した前田にパスを通し、グラウンダーのクロスにGKの鼻先で相馬が合わせるゴールでした。

3節の柏戦はカウンターで、マテウスがサイドを駆け上がり、そこから上げたクロスに柿谷曜一朗が合わせたヘディングシュートのこぼれ球を、稲垣祥が押し込みました。

4節の神戸戦は吉田がサイドをえぐったところでロストし、相手がクリアしたところ、稲垣がカットしミドルが決まりました。

5節の横浜FC戦のゴールは、敵GKにバックパスをさせ、GKがアンカーに出し、アンカーが1タッチで出したパスを吉田がインターセプトして、そのままサイドを駆け上がり、GKとDFの間に流し込んだクロスに前田が合わせる1点目でした。2点目は自陣でのボール奪取から、柿谷のアウトサイドパスで、相馬が裏を取り、そのままドリブルシュートしたこぼれ球をマテウスが決めました。3点目はマテウスのシュートのこぼれ球に反応した相馬が、GKの頭上を越えるループのクロスを上げ、山崎がヘッドでゴールしました。

6節の鹿島戦では、マテウスのCKのこぼれ球を稲垣が地を這うようなミドルを決めました。


こうして見返してみると、やはり名古屋の攻撃といえばサイド攻撃ですよね。正直、稲垣のミドル以外はすべてサイド攻撃という徹底ぷりw

ゴールに直結するKPI

私が言いたいことは、ただサイド攻撃が強いということではありません。

ここで、さらにサイド攻撃の中身を深めていきます。私はサイド攻撃の中でも、特にゴールに直結するKPI(目的を達するための中間指標ぐらいの意味で使ってます)は、『サイドでゴールに向かってDFとかけっこ』だと思っています。名古屋のストロングポイントであるSHのスピードの優位性を戦略の中心に据えているということです。つまり、ゴールや勝利を目指すにあたり、DFが背走しながら守備するプレーが増えるように、全体の戦略を整えましょう・・・ってことをやっていると思います。


『サイドでゴールに向かってDFとかけっこ』の状態を作るには、DFの裏にスペースが必要です。そのため、名古屋のディフェンス時のプレス位置は、ミドルサードが”いいんです”。ミドルサードでボール奪取できれば、相手DFの背後にスペースがある状態で攻撃に移ることができます。

GKへのバックパスの場合だけ、前からプレスを掛けますが、その場合も近場を切ってGKにロングキックを強いる戦術を今シーズンは取っていると思います。CBが開いてアンカーが降りてきたコースを稲垣が切ってるのよく見ますよね?(神戸戦ではあわやゴールの場面も!)ロングキック後は、DFラインを上げますので、ロングキックからボールを奪うことができれば、また裏を狙うことができます。

さらに言うと、相手に押し込まれてもOKです。今Jリーグでは、攻撃時にSBを上げて、3-2-5的な布陣を取るチームが多いです。3の両脇は名古屋にとっては大好物です。福岡戦でサロモンソンの裏を蹂躙したことも記憶に残っていると思います。このようにディフェンス時に自陣に引くと、名古屋カウンター時に『サイドでゴールに向かってDFとかけっこ』に持ち込みやすいリーグ環境にあります。

このように守備戦術も、攻撃戦術を活かすことに一役買っています。よって、名古屋の好調は戦略の攻守の整合性にも一因がありそうです。(得意の攻守一体ww)

かけっこを実現する選手

『サイドでゴールに向かってDFとかけっこ』を実現できている要因として、相馬がトップフォームであることは言うまでもありません。マテウスはエースとして、そのまま頑張ってください。特筆すべきは、ボール奪取後に相手SBの裏を取ろうとするSHの動き出しの早さです。動き出しの早さでかなり優位に立てています。例えば、福岡戦の1点目、横浜FC戦の2点目です。

チーム全体にも、SHが狙うスペースに早くボールを送る意識が感じられます。

CF、トップ下もこの戦略にマッチした選手がフィットしてくれています。つまり、山崎と柿谷です。2人とも、1タッチ2タッチでボールを正確にサイドに流してくれるので、適任です。このチームでは、オフサイドラインと駆け引きをするのはサイドに立つ選手の仕事です。CF、トップ下にはタイミング良く降りてきて、フリック、レイオフ、スルーパスなどでサイドの奥深くにボールを供給する役割が求められています。横浜FC戦の2点目の柿谷のアウトサイドパスみたいなのですね。(チームの設計上、SHがゴールしやすいのでFWの2人にとっては、難しい環境かもしれませんが、ファミリーはちゃんと見てますよw)

また、ボール奪取後に縦のミドルパス、ロングパスで、攻撃のテンポを上げる必要もあります。その部分は、吉田や米本の貢献が大きいように感じています。(sporteria.jpのパスソナーで確認してみてください。あまり、顕著じゃないけど)柏戦のゴールの起点となった、米本からサイドを駆け上がるマテウスへのワンタッチパスのようなことです。この2人のパスの長さも、KPIを達成するために欠かせません。

今シーズンのSBは、コーナーフラッグ付近まで駆け上がり、そして使われる頻度が高まっています。SHが相手SBを引き付けた裏を取ることもチーム戦術として共有されていると思います。札幌戦のゴールにつながる、コーナーフラッグ付近でキープするマテウスを追い越して、ヒールパスを受けた宮原の動きのようなことです。この役割を、トップフォームに戻った吉田豊と宮原和也が勤め、今の名古屋の戦略を支えています。

守備がフォーカスされやすいチームですが、このように攻撃面でも『サイドでゴールに向かってDFとかけっこ』をKPIとして、それを実現する個々の戦術により、6連勝が達成できたと思います。また、このKPIを実現する選手や戦術がセットで整備されてきたことが、去年との差でなないかと思いました。

横浜FCの前半は不安よな

ここまで、話してくると皆さん不安になっているのは横浜FC戦前半じゃないでしょうか?つまり、相手がボールを放棄して引いて守った場合です。これは、『サイドでゴールに向かってDFとかけっこ』に対抗する分かりやすい対策です。

横浜FCの場合、自分たちの不得意なゲームプランで戦うという点であまり怖さがありませんでした。しかし、FC東京などの場合は、そうも言ってられません。優勝を目指すなら、ボール保持でも得点を奪えることが課題になることは言うまでもありません。

とはいえ、0-0上等の名古屋なので、我慢比べには勝てそうな気もします。相手がしびれを切らして攻めてくるのを待つみたいな。交代選手の質やセットプレーを勝ち筋にして、ボール保持は捨てるって戦略も取れそうな気がします。

さいごに

SHのコンディションや稲垣のミドルシュートに助けられている面もある、6連勝。何気に対戦相手は調子を落としているチームばかりですし、油断はできません。

とはいえ、相手の分析やそれに続く準備であったり、勝負強さであったり、変幻自在に勝てる側面も育っていると思います。

期待の膨らむシーズン序盤に欲も出ますよね。でも、6連勝しても首位じゃないんでね。使える選手の輪を広げながら、”こっそり”と好調を維持して欲しいと期待しています。



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