スキップしてメイン コンテンツに移動

レビュー)大分 vs 名古屋~名古屋の守備は気合も配置も~

名古屋(A)3-0大分(H)/昭和電工ドーム大分/2020.4.11
得点者(名):山崎凌吾、OG、柿谷曜一朗

8連続クリーンシートよりも心に残る、『鉄壁よりも上の表現があれば使いたい・・・』という、最上級の誉め言葉を実況様からいただいた、今節。

名古屋の守備と言えば、切り替えの早さ・プレスバック・シュートブロックといった気合ディフェンスとして語られることが多いですよね。もちろん、そういう面もあるのですが、今節は選手の配置的な工夫があったので、そこをレビューします。

まずは、9節 大分戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます

立ち上がりのポジションチェンジ

名古屋は立ち上がり9分には、右SHのマテウスと左SHの齋藤学のポジションを入れ替え、さらに、16分にはSTの前田直輝と右SHの齋藤のポジションを入れ替えました。(第2形態)

このポジションチェンジについては、試合前から決めていたんじゃないかと考えています。最初の布陣は相手の出方を見る間の暫定のポジションだったんじゃないかと。

なぜかというと、このポジションチェンジをした後には、名古屋守備時のサイドのレーンの守備は右成瀬と左マテウスに固定されていたからです。44のポジションを少し反時計回りに回したイメージです。それに伴い、木本ー丸山ー吉田は少しづつ右にずれて、3421の大分に対して守備時のシステムのかみ合わせが良くなっていました。(下図)
このポジションチェンジにより、WB的な守備力が2列目の中で最も高いマテウスを左サイドレーンに回し、狙われていた右SBの成瀬はサイドレーンの守備に専念させました。大分が3421で来るのは試合前から分かっていたので、試合前からこの形に決めていたと考える方が妥当な気がします。

このポジションチェンジによる守備面の安定が、序盤の大分ペースを奪い返す一因となりました。

脇道にそれますが、攻撃面では、中・外・裏のバランスが大幅に改善して盛り返すことに寄与していました。中では左右ハーフスペースに齋藤とマテウスが顔を出し、外では前田が1対1を仕掛け、裏では開けておいた羽田の裏に山崎への浮き球が通りました。米本が長い縦パスをチャレンジしていて、1人で得点力不足を解消する雰囲気を醸していました。好感度No.1。パスカットされて逆襲されても、怒る気にはなれませんw。DAZNのボールタッチ平均ポジションでも226的な位置になっており攻撃的に戦った前半でした。

ちなみに、序盤1分に羽田のゆったりとしたプレーに対して、山崎のプレスから高い位置でボールを奪取する場面がありました。序盤のポジションチェンジについて、試合中に思いついたと考えるならば、羽田の所にスピードのあるマテウスを充てようという意図とも取れるかもしれません。

真相を探るというよりは、「そういう考え方も面白いかもね」ぐらいの心持ちでお読み頂けると幸いです。


交代によるシステムチェンジ

後半20分からCFの山崎に変えて稲垣祥を投入しました(第3形態)。米本・長澤・稲垣のハードワーカー3センターか!とマッシモの狂気を感じながら見ていました・・・。しかし、実際のところは稲垣が右SHに近い動きをして、大分のメイン攻撃ルートになっていた、下田、香川、小林成豪らの左サイドを「運動量で制圧してね」ってタスクだっと思います。

この交代によって守備時の形は、3センター系の4141や433と言うよりは、ミドルサードでは451、ディフェンシブサードでは541となったと思います。つまり、アンカーおかず、米本・長澤・稲垣はフラットな形でした。たぶん。この時、マテウスが上下動してシステムチェンジします。稲垣は、プレスラインの位置にかかわらず右の前目の運動量を一手に担う役割でした。

最後は、マテウスに変えて中谷進之介を入れて532に(カタカタ最終形態)。3回の配置の変更を入れながら、前人未到の8ゲーム連続クリーンシートを達成しました。それにしても、最近のマッシモの交代による手当ての早さは尋常じゃない!すべてお見通しなのか!

おまけですが、狂気の守備シフトながら、成瀬のパスカットからショートカウンターを発動し、柿谷の名古屋初ゴールが生まれました。柿谷おめでとう!、成瀬はマッシモにとって攻撃のスパイス!あの時間でも攻めていいんだね!


まとめ

守備システムを次々と変更しながら、ハードワークだけではなく戦略的にも『鉄壁よりも上の表現があれば使いたい・・・』ゲーム運びで快勝を収めました。

改めて、守備でも戦略のキーマンになっているマテウス。今節は、2得点に絡みましたが、多少攻撃の出来が悪くても外せない理由のわかる大分戦でした。

今節のゴールは、マテウスの個人技、セットプレー、前がかり時のショートカウンターなので、攻撃面の宿題は次節以降に持ち越しですね。次は攻撃でレビューの書きたくなるような試合だといいな。おしまい。



トップページのブックマークをお願いします。
更新情報をツイートします

↓クリックすると
↓みなさんのグランパスブログが見れます
にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスへ
にほんブログ村

 

コメント

このブログの人気の投稿

2024名古屋グランパス 編成の妄想

2024.1.14新体制始動ということで、今年のスカッドについて好きなように妄想を書けるのは今だけなので、久しぶりにブログを更新したいと思います。 今年の編成の感想 今年のスカッドを見て、違和感を感じた。その違和感の正体は、3か4か分からないこと。 以下にミルクボーイ調で4バックなのか3バックなのか考えてみた。 監督が昨年やり方を踏襲すると言っている。3バックで決まり。 フィジカルに長けた上下動できて守備も信頼できる名古屋風WB(相馬、森下、豊)が1人もいない。なら3バックちゃうか。 右SB適任者が、再レンタルも想定される成瀬しかいない。やっぱり3バック。 ただ、獲得したサイド選手(山中、小野、成瀬、山中)はみんなWB未知数。ほな3バックじゃ無いか。 3バック維持するとしても丸山、藤井、中谷の移籍で作り直しは必至。ほな3バックじゃなくてもよいか。 1枚目2枚目過多でDF枚数を減らしたい。ほな3バックじゃ無くてもよいか。 去年、後ろに重たかった。ほな3バックじゃない方がいいか。 福岡、日本代表など4と3を併用するクラブが出てきた。 新体制発表会、長谷川監督「3も4も様子を見ながらやっていきます。」4バックやるって言ってるやんけ! とミルクボーイ調もかなり崩れているが、4バックをやるっぽい。てか、やって欲しい。 どうも、 フォーメーションをシーズン・時間帯を通して使い分けると考えて間違いなさそうだ。 ちなみに4231に当てはめてみたのがこちら。我ながらまんざらでもない。理由は、 エルボーバック(SBの片側を上げ、逆側にCBのできるSBを置く)の4231をベース に妄想しているからだ。 左上がりエルボーバック もう少しエルボーバックを掘り下げよう。一例として、左SBを上げ気味にしたエルボーバック4231を示す。右SBに野上が入ることで、 試合中に3バックにも可変できる というわけだ。 この場合、久保と山中で幅を取り、左WGの森島を内側に絞らせることで、森島、山岸をSTとする3421的にも振舞える。森島がいい感じにライン間で仕事をしたり、下りてきたりが可能になる。この形は森島が活きる。ちょっと守備の怖い(失礼)、トージロー君を前目に残せて活きる。上下動の運動量に不安のある(失礼)、山中の負担も減り活きる。 昨シーズンは後ろに重たいことが課題 としてつきまとった。試合序盤など

鹿島 vs 名古屋~平常運転で新エース始動~

名古屋(H)1-0鹿島(A)/豊田スタジアム/2023.8.13 得点者(名):野上結貴 まずは、23節 鹿島戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます。 サマーブレイク後、優勝に向け、まずは守備の引き締めから・・・ってな監督からの指導が入ったのか、入っていないのか、いや入っているにちがいない、 公式戦3試合連続のクリーンシートで勝利を飾った鹿島戦 。 試合経過に沿ってレビューしたあと、森島司についても少し書いていきます。 開始から飲水前はセットプレーべた引きから 鹿島戦の名古屋の守備の何が硬いって、 セットプレーからは絶対やらせないマンと化した名古屋 でしたね。 そらそうしますよ、なんせ今季鹿島の得点は、 セットプレーとクロスから20点、優磨と関川と植田で14点 。これは完全な想像なんですが、横からのハイボールに顔面ド迫力ヘディングで決めたに違いない。怖い怖い。 クロスからのヘディングゴールの復権を狙っている鹿島の好きにはさせられないと、“現代サッカーの雄”名古屋も対抗します。「ヘディングでゴールさせなければ勝てるやろ」と言わんばかりに、開始15分までの自陣CKやFKのセットプレー時は、FP10人で守る人海戦術に出ます。「普通は1~3人カウンター要員を攻め残りさせると思うんですけど・・・」試合開始から健太監督の強い意志を感じずにはいれない、終盤の様な序盤です。 案の定、セカンドボールは鹿島のもの。そして、飲水まではシュート数も3-7で鹿島ペースですorz・・・とはいえ、鹿島はブロックを広げる意図の濃い戦略ミドルシュートが多く、ユンカーのヘディングなど名古屋も鋭いカウンターを差し込みつつだったので、決定機的には五分の印象の序盤戦でした。 森下を中継点としたサイドチェンジ 29、32、36、39分と 森下を目がけたサイドチェンジを起点に攻撃します。 前節の森下のゴールもそうでしたが、WBを起点にインナーラップ→低いクロス→フィニッシュという再現性のある攻撃で、36分の野上の先制ゴールを当然のごとく獲得しました。すばらしい。 一方の鹿島の攻めはというと、先ほど横からのハイボールのヘディングが怖いと言いましたが、基本的にビルドアップのバリエーションが多く、どこからでも攻め込める強敵でした。 遅攻になると3-1-6 的な形で、ピトゥカが下りて、両SBが上がり、SHが絞ると

レビュー:名古屋vs京都 ~ユンカーのヘディング嫌い~

名古屋(H)1-0京都(A)/豊田スタジアム/2023.2.25 得点者(名):永井謙佑 お久しぶりです。ブログ書くたびに、お久しぶりっていってますが・・・思えば、前回は 2022のシーズンレビュー だったんで、5か月ぶりです!! 新シーズンになっても相変わらず、試合内容が渋い・・・監督は、シーズン初戦の横浜FC戦後にも、しっかりビルドアップする意識はある的な発言をしているけれども、正直2戦目の”ホーム”京都戦も何が変わったのか、素人にはわからないレベル・・・ とはいえ、 祝!450勝! まずはこれを祝わなければですね! 鹿島、横浜FM、浦和に次ぐ史上4クラブ目の快挙 です。守備的だの、保持率が低いだの、うだうだ言っているのが贅沢に思える、450勝4番目の甘美な響き(恍惚) さらに、 開幕2連勝 、 昨シーズンからの連勝を4に伸ばし 絶好調です!まー、4連続1点差ですけどね!!今年は平均得点1.2、平均失点0.9、得失点差10ぐらいを目指してACLを狙うのがいいと思っているので、これ以上ないスタートです。 それではぼちぼち、試合のレビュースタートです。 基本情報 両チームのスタメンは以下の通り。 名古屋は初戦体調不良だった米本拓司が入り、現状ベスメンと思われる。 ⚽️スターティング11⚽️ 🏆明治安田生命 #J1 第2節 🆚 #京都サンガ 🏟豊田スタジアム 🕓16:00 KICK OFF ▶️ https://t.co/Gj8gMlBzOd No.6 #米本拓司 選手 #grampus 復帰後初スタメン #さあ行こうぜ名古屋 🔥 pic.twitter.com/m4VE4jYYUB — 名古屋グランパス / Nagoya Grampus (@nge_official) February 25, 2023   京都は、初戦の鹿島戦から5人変え、433から343に。ミラーゲームにして、「前線からハイプレスかけて強度でまさるぜ!キョウトだけに」という意図と、逆に名古屋がハイプレスできても「一美とパトリックで、ひっくり返すぜ!」という意図が見え見えの布陣に。 【第2節vs名古屋】 🟣本日のスターティングメンバ―発表🟣 あなたのDAZN加入と視聴でクラブが強くなる🔥 今日もともに戦おう! https://t.co/HD5FVCQcNr #京都サンガF

私的サッカー用語集

正しい意味か分かりませんが、ブログ内で使っているサッカー用語の説明です。訂正あればお願いします。 偽サイドバック (追記2018/10/7) 攻撃のビルドアップ時にサイドバックが、ボランチの位置に入ること。サリーダ・ラボルピアーナのメカニズムでボランチがCBの間に入った時に、ボランチの位置でSBがボールを受ける。この時、SHやウイングがサイドライン際で幅を取りパスコースを作る。SBは、ボランチの位置からハーフスペースを駆け上がり(インナーラップ)、そのSHからリターンパスをもらう・・・などの攻撃につなげることが出来る。ネガティブトランジションでは、中央に絞っているためにカウンターを受けにくくなる。 サリーダ・ラボルピアーナ (追記2018/10/2) 4バックにおける攻撃のビルドアップおいて、CBの間にボランチが下がって、SBを前に押し上げるメカニズム。2トップの相手に対し2CB+1ボランチの3人で数的優位を保つことでビルドアップを安定させる。2017年は、小林がCBの間に下りる形が強直化しており、効果的ではない場合もあった。一方、2018年W杯中断後は、ネットが主にCB間に下りる役割をしているが、小林が下りる場合や、CBとSBの間に下りる場合や、下りない場合を織り交ぜてビルドアップすることで柔軟性が出ている。また、玉田と小林がそれぞれハーフスペースに入り、相手の第1プレッシャーラインを通過する受け手として機能している。そのため、ビルドアップ時のボールロストが減っている一因になっている。 パッキング・レート (追記18/09/29) パスやドリブルで相手選手を何人通過することが出来たかという指標。同じく、相手DFを何人通過したかという指標はIMPECTという。 footbllistaのコラム で紹介されていた。勝敗との相関係数の高い指標だそうだ。 サッカーが陣取りゲームである以上、もっとも本質を突いた指標だと思った。さらに言うと、敵陣に押し込んでポゼッションしても、相手選手を通過出来なければ、陣地を取ったことにならないことにも気づかされた。重要なのは、ボールの前に何人相手選手がいるかで、0人であればそれはゴールを意味する。”ポゼッション”や”縦に速い攻撃”や”ハイラインハイプレス”などのゲームモデルは手段であり