スキップしてメイン コンテンツに移動

鹿島 vs 名古屋~平常運転で新エース始動~

名古屋(H)1-0鹿島(A)/豊田スタジアム/2023.8.13
得点者(名):野上結貴

まずは、23節 鹿島戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます。
サマーブレイク後、優勝に向け、まずは守備の引き締めから・・・ってな監督からの指導が入ったのか、入っていないのか、いや入っているにちがいない、公式戦3試合連続のクリーンシートで勝利を飾った鹿島戦

試合経過に沿ってレビューしたあと、森島司についても少し書いていきます。

開始から飲水前はセットプレーべた引きから

鹿島戦の名古屋の守備の何が硬いって、セットプレーからは絶対やらせないマンと化した名古屋でしたね。

そらそうしますよ、なんせ今季鹿島の得点は、セットプレーとクロスから20点、優磨と関川と植田で14点。これは完全な想像なんですが、横からのハイボールに顔面ド迫力ヘディングで決めたに違いない。怖い怖い。

クロスからのヘディングゴールの復権を狙っている鹿島の好きにはさせられないと、“現代サッカーの雄”名古屋も対抗します。「ヘディングでゴールさせなければ勝てるやろ」と言わんばかりに、開始15分までの自陣CKやFKのセットプレー時は、FP10人で守る人海戦術に出ます。「普通は1~3人カウンター要員を攻め残りさせると思うんですけど・・・」試合開始から健太監督の強い意志を感じずにはいれない、終盤の様な序盤です。

案の定、セカンドボールは鹿島のもの。そして、飲水まではシュート数も3-7で鹿島ペースですorz・・・とはいえ、鹿島はブロックを広げる意図の濃い戦略ミドルシュートが多く、ユンカーのヘディングなど名古屋も鋭いカウンターを差し込みつつだったので、決定機的には五分の印象の序盤戦でした。


森下を中継点としたサイドチェンジ

29、32、36、39分と森下を目がけたサイドチェンジを起点に攻撃します。前節の森下のゴールもそうでしたが、WBを起点にインナーラップ→低いクロス→フィニッシュという再現性のある攻撃で、36分の野上の先制ゴールを当然のごとく獲得しました。すばらしい。

一方の鹿島の攻めはというと、先ほど横からのハイボールのヘディングが怖いと言いましたが、基本的にビルドアップのバリエーションが多く、どこからでも攻め込める強敵でした。

遅攻になると3-1-6的な形で、ピトゥカが下りて、両SBが上がり、SHが絞るという形になります。ワイドレーンはSBと決まっていて、それ以外の前6人は誰かが交互にワイドや降りて顔を出す感じです。

この陣形から、中央では、優磨/樋口が下りて受ける形や、海舟/ピトゥカがワンツーなどを使いながら前進する形。サイドでは、一発ロングボールを優磨/垣田に蹴ってセカンド回収もできる形、DH・CBを経由しながらSBが受ける形、GK早川から一つ飛ばしたボール・・・とビルドアップの出口は多彩でした。(超余談ですが、海舟は典型的な”10年後に名古屋来る顔”っすね。)

鹿島のビルドアップの多様さ、および、鹿島の後ろ3枚が持っているときにハイプレスをかけない名古屋の戦略により、必然的にかなりポゼッション率差も出ました。

ただ、この鹿島の遅攻の陣形だと名古屋のターンになった場合に、442の守備陣形にもどすSBの移動距離がかなり長くなります。

それを名古屋は森下へのサイドチェンジという形で鹿島の幅の狭さをうまく広げ、守備のズレをチャネルラン/クロスと伝搬させながら、フィニッシュにつなげていきました。

名古屋の速攻時には、316の急所であるSB裏を狙った同サイドの縦パス、遅攻時には442を広げるサイドチェンジを多くするような使い分けが見えたと思います。

左WB森下と右SB安西のミスマッチも大いににあったので、HT後鹿島は安西を逆サイドに回し、右SBに須貝を投入しました。最終的に、名古屋の5バックに合わせた3-1-6の布陣が守備面でやや遅れを生み、仇になった形ですかね。ただし、この交代が終盤の鹿島の左サイドからのクロス祭りとつながりますが(汗

中央突破と左からのクロスと

後半開始から鹿島は、手数をかけやり直しもしながら、しっかりボールを回し、中央への楔のフリックやレイオフのワンタッチを絡めて攻めていきます。消耗させながら圧力をかけ続けるって狙いですね。名古屋は、じっくりブロックを作って守る時間が長くなり、暑さも起因して耐える傾向を強くします。

また、後半飲水後の鹿島は、得意のクロス攻撃を色濃くし、左から安西/藤井智也がファーを目がけたクロスをしつこく上げてきます。名古屋も、前田/酒井で右から攻めようとしましたが、押し返しには至らない印象でした。こんなに簡単にクロスって上がる???ってほどの集中砲火でしたが、最後はやらせない集中力で逃げ切ることができました。後半のレビューが毎回淡泊すぎるw

鹿島は、試合経過に合わせて攻撃ルートを変えつつ、それを高レベルで実行できる練度が凄いなと思いました。岩政監督が試合後インタビューで言っていた”できていた部分”はそこらへんを指すのかな?と思いました。岩政監督は敵将ながら見てて絵になるアピール抗議。

森島司への偏愛について

攻撃の選手なので、目立った場面が少なかったことは満足できない部分もあるかもしれませんが、初戦でこの異物感の無さがすごいことなんですよね。

長谷川監督のことなので、サブから順に序列を上げないとスタメンじゃないのかな?とも思ってました。しかし、しれっとスタメンを飾り、周りを動かす力というかサッカーIQの高さの一端を感じることができる試合だったと思います。それは、かつてのE1で「森島のチームだ!」と感じた印象からはまだまだでしたが。周りとのコンビネーションがあってくれば「これ以上計算の立つ選手は居ないっ」て推してます。

3、20、39、47、61、66分にサイドで縦関係でのパスレシーブがあるのですが、難しいプレーなのでうまくいく場合いかない場合があるにせよ、ぜひ続けて欲しいと思いました。(藤井とのホットライン開通へ!

また、紳士たれという名古屋の雰囲気に合わせ髪色を濃くしたり(してない?)、「初めての逆サイド出張は45分になってからと、流動的なポジションチェンジは控えているのかな?」と思わせる健気さが顔面以上にかわいいですwあと、”下りて受けない縛り”を忠実に守ってんじゃないの?と思わせるところも愛くるしい。さらに、前田投入後はしれっと逆サイドに回っても普通にこなすところも、かわちい。これから徐々に攻撃で得意なプレーも出していって欲しいですね。

この試合は戦略上ありませんでしたが、ハイプレスの時に違いを感じそうです。(スキッベ仕込み)あと、守備の貢献でチーム的には”永井のプレー時間を5分伸ばすの術”を得た感じですかねw

新エースが、入れ込みすぎて相手の足を思いっきり蹴っ飛ばすなど無く、チームプレーに徹し平常運転で初戦を終えたことを喜びたいと思います。

さいごに

ビルドアップの出口の多様さでは相手に軍配が上がるのですが、なんやかんやで最終的な崩しの局面でどうやってゴールを取るのか?の再現性では名古屋に分があるって感じで、結果名古屋の勝ち...ってのが、新潟戦、鹿島戦と続いていますね。(強さの根拠)あと1/3のシーズン、このまま突き進みましょう!



トップページのブックマークをお願いします。
更新情報をツイートします

↓クリックすると
↓みなさんのグランパスブログが見れます
にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスへ
にほんブログ村

 

 

コメント

このブログの人気の投稿

私的サッカー用語集

正しい意味か分かりませんが、ブログ内で使っているサッカー用語の説明です。訂正あればお願いします。 偽サイドバック (追記2018/10/7) 攻撃のビルドアップ時にサイドバックが、ボランチの位置に入ること。サリーダ・ラボルピアーナのメカニズムでボランチがCBの間に入った時に、ボランチの位置でSBがボールを受ける。この時、SHやウイングがサイドライン際で幅を取りパスコースを作る。SBは、ボランチの位置からハーフスペースを駆け上がり(インナーラップ)、そのSHからリターンパスをもらう・・・などの攻撃につなげることが出来る。ネガティブトランジションでは、中央に絞っているためにカウンターを受けにくくなる。 サリーダ・ラボルピアーナ (追記2018/10/2) 4バックにおける攻撃のビルドアップおいて、CBの間にボランチが下がって、SBを前に押し上げるメカニズム。2トップの相手に対し2CB+1ボランチの3人で数的優位を保つことでビルドアップを安定させる。2017年は、小林がCBの間に下りる形が強直化しており、効果的ではない場合もあった。一方、2018年W杯中断後は、ネットが主にCB間に下りる役割をしているが、小林が下りる場合や、CBとSBの間に下りる場合や、下りない場合を織り交ぜてビルドアップすることで柔軟性が出ている。また、玉田と小林がそれぞれハーフスペースに入り、相手の第1プレッシャーラインを通過する受け手として機能している。そのため、ビルドアップ時のボールロストが減っている一因になっている。 パッキング・レート (追記18/09/29) パスやドリブルで相手選手を何人通過することが出来たかという指標。同じく、相手DFを何人通過したかという指標はIMPECTという。 footbllistaのコラム で紹介されていた。勝敗との相関係数の高い指標だそうだ。 サッカーが陣取りゲームである以上、もっとも本質を突いた指標だと思った。さらに言うと、敵陣に押し込んでポゼッションしても、相手選手を通過出来なければ、陣地を取ったことにならないことにも気づかされた。重要なのは、ボールの前に何人相手選手がいるかで、0人であればそれはゴールを意味する。”ポゼッション”や”縦に速い攻撃”や”ハイラインハイプレス”などのゲームモデルは手段であり...

プレビュー)FC東京 vs 名古屋~グラ勝利への道は高萩攻略~

ALC圏と降格圏違えど瀬戸際のFC東京と名古屋 次節対戦するFC東京は8試合勝ちが無く、直近5試合で1得点しか挙げられていません。しかし、前節の清水戦の内容は悪くありませんでした。また、ACL圏まで勝ち点2差の5位まで順位が下がっていますが、まだまだALC出場を狙って必死なはずです。手負いの獅子を相手にするのは常に難しいものです。一方、名古屋も消化試合が2試合少ないものの、2連敗中で降格圏まで勝ち点1差の15位です。負けられない次節の見どころをお伝えします。 まずは、次節対戦するFC東京の前節(vs清水)のダイジェストから。 〈見どころ〉 両チームとも前節のスタメンを前提としています。 FC東京は、直近5試合で1得点しか挙げられておらず、勝ちが欲しいためにリスクを取って攻撃に重心を置くことが予想されます。その攻撃の中心にいるのは高萩です。スタートポジションは左ボランチですが、フリーマンとして広く動き、右ハーフスペースへの侵入なども目立っていました。戦術眼の高さを生かして長短のパスを織り交ぜ攻撃のタクトを振っている高萩をどう捕まえるかが名古屋の守備のポイントになります。逆に、ボランチのポジションを捨てて攻撃をするので、空いたスペースをうまく使うことが、名古屋の攻撃のポイントになるでしょう。高萩に決定的な仕事をさせず、空いたスペースで守備のずれを作り得点することで、勝利に結び付けたいものです。 FC東京の得点が少ないことは、守備の仕方とも関連しています。守備時にSHが自陣深くまで戻るため、カウンター時の駒が少ない、もしくは、スピードが上がりません。ディエゴ・オリベイラのお尻を使ったキープでタメを作らせないことがカウンター阻止のため重要になります。 FC東京の得点が少ないことの、攻撃面の問題は以下の様なものと考えています。まず、ディエゴ・オリベイラがサイドに流れるのを好みます。サイドで、SHやSBとのコンビネーションで崩してきます。室屋、太田の両SBに良質なクローサーがいるので、クロスを上げたいのですが、ターゲットになるオリベイラはサイドに流れているため、中央に人数が足りません。SHの東が切れ込んでくる形が多いですが、クロスに合わせる選手としては迫力不足な部分があります。名古屋としては、この状態を作り出したいので、中央を締めた守備をして、オリ...

レビュー)C大阪 vs 名古屋~和式が洋式に負ける~

名古屋(A)0-3 C大阪(H)/ヤンマースタジアム/2019.7.13 得点者(C大):丸橋、高木、ブルーノメンデス 典型的な和式が洋式に負けた試合。レビューおしまい。。。で済むんじゃないかという試合でした。セレッソ強かった。。。 C大阪の論理的なポジショナルプレーに対し、ハーフスペースで起点を作られ続け、先制を許しました。そして、後半にその修正として、4バック(4-2-3-1)に戻しました。これが湘南戦以前のいつもの和式に戻ってしまい、ネガトラ時の守備バランスが崩れる要因となりました。その結果、”数的不利がやばいカウンター”を喰らいまくり、追加点、ダメ押し点を取られました。 後半に4バックに戻して、SBも高く攻め上がる従来の形に戻した事は、逆転するための戦略として私は残念でした。下記の引用の風間監督の試合後のコメントとは真逆の感想です。 #セレッソ大阪 戦後 風間八宏監督会見 ▶️ https://t.co/vp6dq2yEPE #INSIDEGRAMPUS #grampus pic.twitter.com/06lV8qFTNO — 名古屋グランパス (@nge_official) 2019年7月13日 前半はシステムでやってしまった。それによって、自分たちによるピンチがいつもより多かった。後半は相手と同じような形にしてしっかり押し込もうという考えでやりました。実際に押し込みはしましたが、最終的な部分でロストをしてしまい、失点をしてしまいました。 私は、上記の風間監督のコメントとは別の見方をしていますので、その部分をレビューします。負けたので結果論で「風間監督は間違っている」という話ではなく、試合の流れの別の見方として「こういう見方もできませんか?」というものを述べたいと思います。 まずは、19節 セレッソ戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます セレッソの攻撃の狙い(洋式) 「雨降ってるね」、「ピッチ悪いね」、「左右CBは背低いね」、「1アンカーだね」という試合の特徴を読み取り、「だったら、ハーフスペース(HS)のアンカー脇に縦パス入れていこうね。」、「2トップが流れて入ってもいいし、左右SHが入ってもいいよね。」 「2トップが入った場合は、CBがピン止めされるから名古屋のWBの裏...