スキップしてメイン コンテンツに移動

シーズンレビュー2)来年も継続して欲しい戦術~攻撃編2~

前回のシーズンレビューに続き、来年も継続して欲しい戦術~攻撃編2~をお送りします。

来年も継続して欲しい戦術④小林裕紀を中心としたショートパスを主体とした丁寧なビルドアップ

小林裕紀は、優勝した川崎のバンディエラに続きタッチ数が2位でした。


また、パス本数では川崎の日本代表に次ぐ2位でした。


このスタッツを見ても、CHを経由したショートパスを主体とした攻撃を標ぼうしており、その中心には小林裕紀がいたことが分かります。

小林裕紀はポジション柄なところもありますが、走行距離でも名古屋の中でトップレベルです(DAZNのスタッツより)。プレーエリアも広く”本当にお疲れ様です”と感謝したくなります。

小林裕紀には賛否両論あるようですが、ビルドアップ時に広範囲に顔を出してパスを受け、高い成功率でパスを出し、プレスの裏をかくロングボールを供給し、機をみてハーフペースに飛び出しており、貢献度は高いです。

周りの選手との組み合わせで、攻守に負荷が偏っている印象があるので、その部分の解消は来年に向けての課題と言えます。


賛否両論?!名古屋のポゼッション


データをもう一つ。1試合平均の走行距離ランキングとスプリント数ランキングです。比較として川崎、マリノス、J1平均を持ってきました。

〈走行距離〉
  • 名古屋 113km(8位)
  • 川崎  107km(18位)
  • 横浜FM 115km(2位)
  • J1平均 112km
〈スプリント数〉
  • 名古屋 141回(18位)
  • 川崎  148回(15位)
  • 横浜FM 175回(3位)
  • J1平均 158回
引用:J.LEAGUE.jp

名古屋が川崎を目指しているかは別として、走行距離やスプリント数が少なくとも羨ましい攻撃が出来ることは確かなようです。CBのドリブルでの持ち上がりの場面では、スピードを落とした方が正確なプレーができるために、スピードを上げすぎないことが求められます。川崎は、スピードを上げずに崩すことを、ポジショニングと技術で実現していると言えます。

こねくり回しと揶揄されるのは、最終的なゴールへの道筋がイメージできていない事に起因していると思います。

押し込んだ後の形として、前回紹介した前田直樹の右からのカットインのほかに、クロスで大外の選手を狙ったり、幅を取った後のハーフスペースへのオーバーラップ(いわゆるNSK=なぜそこに金井)などがあり、それらを再現性良く繰り出すようにデザインすることが、必要だと思います。


来年も継続して欲しい戦術⑤~なぜそこに金井集~

ポゼッション後のフィニッシュの形として、”なぜそこに金井”なプレーを集めてみました。金井貢史本人も言っているように、必然性があるプレーなので、”そこ”を見極めるポジショニングやタイミングを見ているとより楽しくなります。


右サイドでポゼッションしながら、最後は逆サイドをオーバーラップした金井貢史のゴール。これこそ”敵陣ポゼッションをする理由”と言えるゴール。(下の鹿島戦の動画3:20~)


この鹿島戦。金井はPKを献上しながらも、またもハーフスペースに侵入し2点目。後から入っていくタイミングが秀逸。(上の鹿島戦の動画4:30~)

金井貢史が3回パスを出しながら、スルスルと前に侵入し、ゴール。ワンタッチ・ツータッチのパスワークが美しい。(下の鳥栖戦の動画2:03~)



シャビエルが下がって受けたことでDFを引っ張り出し、空いたスペースでNSK。これぞ真骨頂(下の磐田戦の動画1:05~)


NSKスルーパスVer.。ジョーが下りてパスを受け、変わって金井貢史がハーフスペースに絞り、縦パスを受け、同時に青木亮太がサイドにディフェンダーを引っ張り、ダイアゴナルに走りこんだ前田直樹へスルーパス。鉄壁の川崎相手でもこれが出れば得点できるという見本。(下の川崎戦の動画4:13~)

NSI=なぜそこに和泉

金井貢史だけでなく、シーズン終盤に左CBに入った和泉竜司もアンダーラップで駆け上がりチャンスを作っていました。ゴールにはなりませんでしたが、サイドでポゼッションしてがら空きになったハーフスーペースを突いています。(下の清水戦の動画1:58~)



敵陣ポゼッションの最終目的としてのNSKをまとめて見ました。ポゼッションは金井貢史に限らず、オーバーラップの時間を作ります。上手く入れ替わりながらゴール前に侵入することで、来年はゴールにつながるポゼッションに期待です。

ストーブリーグ中も更新しますので、
トップページのブックマークをお願いします。


↓クリックすると
↓みなさんのグランパスブログが見れます
にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスへ
にほんブログ村

コメント

このブログの人気の投稿

アジア大会決勝 U23韓国 vs U21日本 森保監督の苦悩の始まりか?

アジア大会の決勝、U21日本代表は惜しくもU23韓国代表に敗れ銀メダルに終わりました。内容的に悔しい負け方でした。森保監督は、勝つ可能性を最大限引き出したと思いますが、サッカー日本代表を切り盛りするうえで魅力的か否かという点で、今後苦しむのではないかと思いました。 現有戦力でどう韓国に勝つかという日本の戦略について ご存じの通り日本代表は、U23+オーバーエイジ3人というレギュレーションのところを、オリンピックでの成功を主眼に置きU21で臨みました。さらに、U21の中でも海外組は招集せず、オーバーエイジも使いませんでした。決勝を見る限り、韓国との実力差はありました。その中で、もし勝つならこの方法ということで、守備重視のカウンター狙いの戦術になっていたと思います。 ベスト16 、 準々決勝 、 準決勝 と見てきましたが、相手に合わせ戦術を変えている印象で、この試合でも日本の長所を出すというよりは、負けにくい戦い方を選択していたように感じました。 ボールの収まりどころがあれば 日本は韓国をリスペクトしすぎていた部分もあると思います。クリアーのセカンドボールがほとんど韓国側に渡り、試合をより難しいものにしていました。日本のCB陣は比較的ボール扱いがうまい印象だったので、ポジティブトランジションの時にしっかり繋ぐ選択を増やしてほしかったと思います。それを実現するためにも、キープ力のあるカウンターの中継地点になる選手がいれば、今回の戦い方でも勝つ可能性が高まったと思います。(ラフなロングボールを収めろというような酷な要望はしません。)球離れが悪くてもドリブルで仕掛けてファールをもらって時間を作るような選手がいればとか(逆襲されにくいサイドとかで)、上田ともう一人を両サイドに張らせて相手DFに絞らせにくくするとか、キープしてカウンターの上りを待てる時間が欲しかったです。中盤の選手にそういう気持ちを感じなかった事も残念でした。中途半端なことはしないという意思統一はあったのかと思いますが、いわゆるボールを時限爆弾のように扱っている感じに見えました。 森保監督の苦悩のはじまり? この試合の森保監督の采配は、勝つ可能性を最大限高めた戦い方であったという部分では評価されるべきだと思います。ただ、魅力的かと問われると「No」でした。昨今のサッカー日本代...

レビュー)浦和 vs 名古屋~浦和の名古屋対策とボコボコの理由~

名古屋(H)6-2浦和(A)/豊田スタジアム/2020.8.8 得点者(名):前田直輝x4、シミッチ、シャビエル 得点者(浦):レオナルドx2 前田直輝の0.5オルンガを含む6得点で快勝した9節浦和戦。 快勝の理由が分かれば、今後につながると思って試合を見返したのですが…ごめんなさい。理由はよくわかんない。しいて言えば、「気持ち」…というレビュワーの端くれなら言ってはならない言葉を発しつつ、スタートです。 試合の大勢が決まる3-0のところまでを、あっさりレビューします。 基本情報 浦和の名古屋対策 ボコボコの理由? 基本情報 浦和は、西川、SB、レオナルド以外をきっちりとターンオーバーする傾向があります。結果として敗因の一つであった気がするので、後ほど。 <名古屋戦スターティングメンバー> GK 西川 DF 橋岡、鈴木(大)、トーマス、山中 MF 武富、柴戸、青木、汰木 FW レオナルド、杉本 SUB 福島、槙野、岩武、長澤、関根、武藤、伊藤(涼) #urawareds #浦和レッズ #wearereds #Jリーグ #サッカー pic.twitter.com/2YSoRG9WpT — 浦和レッズオフィシャル (@REDSOFFICIAL) August 8, 2020 一方の名古屋は、負傷者を除くベストメンバー(=鉄板の監督の哲学)。個人的には丸山祐市の勤続疲労が不安。サブにはルヴァンで結果を出したメンバーが並び、期待が持てます。 明治安田生命 #J1 第9節「vs #浦和レッズ 」(@豊田スタジアム 18:00 KICK OFF ) #grampus スターティング11⚽️ #おうちでDAZN観戦 ご準備は ▶️ https://t.co/rIOJ5UBNhV クラブ毎に数値化される #DAZN 視聴実績が #grampus の経営強化に繋がります💪 それぞれの #MyHomeStadium で共に🤜🤛 #grampus — 名古屋グランパス / Nagoya Grampus (@nge_official) August 8, 2020 ダイジェストはこちら。皆さん何度も見返しているかもしれませんが、もう一度ご覧になる場合は山中に注目して見てください。 ...

2024名古屋グランパス 編成の妄想

2024.1.14新体制始動ということで、今年のスカッドについて好きなように妄想を書けるのは今だけなので、久しぶりにブログを更新したいと思います。 今年の編成の感想 今年のスカッドを見て、違和感を感じた。その違和感の正体は、3か4か分からないこと。 以下にミルクボーイ調で4バックなのか3バックなのか考えてみた。 監督が昨年やり方を踏襲すると言っている。3バックで決まり。 フィジカルに長けた上下動できて守備も信頼できる名古屋風WB(相馬、森下、豊)が1人もいない。なら3バックちゃうか。 右SB適任者が、再レンタルも想定される成瀬しかいない。やっぱり3バック。 ただ、獲得したサイド選手(山中、小野、成瀬、山中)はみんなWB未知数。ほな3バックじゃ無いか。 3バック維持するとしても丸山、藤井、中谷の移籍で作り直しは必至。ほな3バックじゃなくてもよいか。 1枚目2枚目過多でDF枚数を減らしたい。ほな3バックじゃ無くてもよいか。 去年、後ろに重たかった。ほな3バックじゃない方がいいか。 福岡、日本代表など4と3を併用するクラブが出てきた。 新体制発表会、長谷川監督「3も4も様子を見ながらやっていきます。」4バックやるって言ってるやんけ! とミルクボーイ調もかなり崩れているが、4バックをやるっぽい。てか、やって欲しい。 どうも、 フォーメーションをシーズン・時間帯を通して使い分けると考えて間違いなさそうだ。 ちなみに4231に当てはめてみたのがこちら。我ながらまんざらでもない。理由は、 エルボーバック(SBの片側を上げ、逆側にCBのできるSBを置く)の4231をベース に妄想しているからだ。 左上がりエルボーバック もう少しエルボーバックを掘り下げよう。一例として、左SBを上げ気味にしたエルボーバック4231を示す。右SBに野上が入ることで、 試合中に3バックにも可変できる というわけだ。 この場合、久保と山中で幅を取り、左WGの森島を内側に絞らせることで、森島、山岸をSTとする3421的にも振舞える。森島がいい感じにライン間で仕事をしたり、下りてきたりが可能になる。この形は森島が活きる。ちょっと守備の怖い(失礼)、トージロー君を前目に残せて活きる。上下動の運動量に不安のある(失礼)、山中の負担も減り活きる。 昨シーズンは後ろに重たいことが課題 としてつきまとった。試合序盤など...

レビュー)浦和 vs 名古屋~崩しの多様性~

名古屋(H)2-0浦和(A)/豊田スタジアム/2019.5.12 得点者(名):マテウス、ジョー 得点者(浦): まずは、11節 浦和戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます 今節のプレビュー記事はこちら。 浦和がタイでのALCを挟み日程的にアレだったこともありますが、名古屋の多彩な組織的攻撃が光った、今年一番のゲームになりました。 前節まで、調子が心配だったジョーも1G1Aの大活躍でしたが、ジョーに頼らずとも点の取れそうな崩しのパターンが多数見られたので、その部分を中心にレビューします。 組織的攻撃の崩し 名古屋は最近の試合では、ビルドアップの出口に困ることはほとんどなくなっています。 シミッチの存在が大きいこともありますが、SH(シャビエル、この試合では出ていないが和泉竜司)やCF(ジョーと長谷川アーリア)が下りてきて交互にビルドアップを助けると共に、これらの選手全員がライン間の中間ポジションで受ける才能があり、ビルドアップの出口となるためです。 そこで、次に大切になっているのがシュートに至る直前の崩し(キーパス)の場面です。 名古屋の崩しの目的地は、ゴールライン手前のハーフスペース(HS)になっています。この部分に侵入するのは基本的にSHとSBで、CFが侵入する回数は少ないです。 次に多用されているのはCF同士のパス交換です。 それぞれの崩しの場面で各ポジションの選手が背負っているタスクと、浦和戦の前半における回数(時間)をご紹介します。 SBの崩しのタスク SBはHSへの裏抜けが第一のタスクとしてあります(前半21、23、26、29、35、44分=6回)。CHやCBからの浮き球を、ダイアゴナルにサイドからHSにランニングして納めます。 一方、サイドのレーンの浮き球への裏抜けは42分の1回しかなく、HSを重要視していることが分かります。 次に、クロスに対してHSでヘディングで合わせて中に折り返すプレーがあります。(前半14、40分=2回)こちらは、宮原和也がジョーへアシストした2点目のようなプレーです。このポジションに高さで勝てるジョーではなく、SBを持ってくることが最近の試合では統一されている気がしています。(吉田豊も宮原和也も走りこんだヘディングは結...