スキップしてメイン コンテンツに移動

レビュー)川崎 vs 名古屋~川崎へのリスペクトを込めて反省点~

川崎(H)1-1名古屋(A)/等々力/2019.5.17
得点者(名):マテウス
得点者(川):レアンドロダミアン

現地観戦

めちゃめちゃ楽しかったです。良いところを出し合う好ゲーム。若干、名古屋の方がチャンス数が多かったので勝ちたかったですが、引き分けは妥当な結果でした。

アウェー自由席寄りのバックスタンドに座ったんですが、水色の人ばっかりなのは想像通り。私もステルス調査のために水色の私服を着ていったのですが(魂は売ってません)、グランパスのチャンスやピンチの場面で思わず、「あっ」「うっ」ってなってたので、周りの人からして見れば、完全に変な人だったと思います。普通に、どちらでもない色の服にすればよかった・・・(後悔)。

「シャビエル、やべーな」みたいな会話はたくさん聞けて、”にまにま”してるのも変な人に拍車をかけていたと思います。

チャント

川崎の応援は、ゴール裏(正確には斜め裏)のチャントが、手拍子やマフラータオルによってゴール裏からバックスタンドにかけてずっと続いていて、一体感あるなーと思いました。

一方、名古屋のゴール裏は、声量・声のそろい具合・連続性が凄くて、めちゃめちゃカッコよくて、誇らしく思いました。「うっ!・・・うっ!・・・」のチャントには、まわりの川崎サポもザワついていました。(いい意味で。)

戦評

それではレビューに移りたいと思います。

まずは、12節 川崎戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます



お互いに即時奪回を狙うチーム同士なので、中盤でバチバチと潰し合う場面が多いながらも、お互いに匠なビルドアップから押し込む場面を作り、お互いにアイデアと技術を尽くした決定的な崩しも見られるという好ゲームでした。

そんな中、お互いにサブ的な戦略であるロングボールから一点づつ取り合っての引き分けは、お互いのサッカーの完成度の高さ故の結末であった気がします。

パターン的な同じことが繰り返される場面が少なく、多様な局面が見られたので、レビューを書くのに、正直困っているというか、ポイントを絞りにくい感じです。そんな状態なので、気づいたことを何点かトピックスでお伝えします。



川崎左サイドの攻撃

比較的、川崎の左サイドの攻撃で押し込まれる場面が多かった序盤だと思っています。その要因としては、以下のような形がありました(前半12、14分など)。
場面は、名古屋の左サイドでオーバーロードして攻撃している場面から始まります。ボールを奪った川崎は素早く密集からボールを逃がし、中村憲剛へ。長谷川竜也は、スプリントしてサイドを駆け上がり宮原和也と1対1になれる状況に(図①)。しかし、憲剛は、サイドバックの登里へパス(②)。登里は、対面のシャビエルが逆サイドにいたため、フリーで全速ドリブル(③)。

この場面では、ハセタツへのパスも出せたのですが、そこには宮原和也がいるので、スピードが落とされる可能性があります。一方、後方ながら登里にはマーカーが居ないので確実にドリブルで持ち上がることができ、しかも、登里がフリーなため名古屋DFラインは下がらざるおえません。そのため確実に名古屋陣まで押し込む展開が作れていました。

これは前回の浦和戦レビューで紹介した通り、SHが攻撃時には幅方向のどこにいても良い設計をしていることを想定したボールの動かし方だと思います。

以降、この形を嫌がって、シャビエルのプレーエリアが右よりに狭まった印象を受けました。

今後も、これやられそうな気がします。憲剛の戦術眼依存だったら、他のチームにはやられないけど・・・

前半のハセタツと宮原和也のマッチアップは、ちょうど目の前だったこともあり非常に見ごたえがありました。間近でみたハセタツの止める蹴るドリブるの上手さは、今シーズン4試合しか先発していない選手のものとは思えない驚きがありました。それをしっかり防いだ宮原和也の守備力も流石でした。

シミッチの癖

川崎は守備時4-4-2で、憲剛と知念慶が2トップになります。この2人の守備力は、J屈指なのではないでしょうか?

この試合でもシミッチ封じのため、タイトに守備をしてきました。左足を切るのがシミッチ対策の常套手段になってきており、この試合でもそうでした。

すると、シミッチは嫌がって、左足を切られないように徐々に左側にビルドアップ時の立ち位置をずらしていくのですが、とうとうこの試合ではサイドラインぎりぎりの所まで行っていました。(サイドにいるため、ダブルタッチを使ってサイドを駆け上がるというあまり見ないプレーも出ていました。)

中央にいる方が広角に縦パスを供給できるので、本来、この形は好ましくありません。数試合に渡り徐々にビルドアップ時のポジションが左サイドにズレていっている気がしているので、中央にいるためのメカニズムを何か考えた方が良い様な。。。(シミッチ飛ばして、丸山からHSに縦パスとか。)

カバーシャドウの無効化

名古屋は守備時4-2-4で、前線4人が相手のビルドアップ隊に寄せ、SHはカバーシャドウでSBへのパスコースを切り(図①)、中央に縦パスが入ったところを2CHの所で狩るというのが基本的な守り方になっています。

しかし、この試合は、カバーシャドウが試合の最初の方で無効化されてしまいました。具体的には、一度CHに入れてワンタッチでSBにパスするというものです(②)。なんてことない、一般的なカバーシャドウの無効化手段なのですが、タイミングよくCHが入らないと名古屋CHの網にかかってしまうので、そこは川崎のうまさがあります。
以降、シャビエルとマテウスの2人が、カバーシャドウではなく、敵SBを見える位置に置く守備に変えました。やもえず。名古屋の前プレを弱められた形になりました。

マテウスはカバーシャドウがカバーシャドウになっておらず、相手選手の間に立てていない場面が多く(=誰も見れていない状態)、川崎レベルの相手と対戦する場合には成長が必要な部分かなと感じました。

マテウスについて、攻撃では攻め急ぐ感じというか、一発狙いが多いというか。チームのリズムに合っていない感じがしました。あと前半に脇腹の治療を受けたとか。この3つ辺りが後半早めに交代になった理由でしょうか。

この日も唯一の得点を奪い、絶対にチームに必要な選手だと思うので、さらなる成長に期待したいと思います。

チームの構造的に、スペースのない場面で勝負しないといけないことが多いです。しかし、スペースがある場面の方が活きる選手だと思います。さしあたっては、攻め残り要員をシャビエルからマテウスに変えるなんてのは、どうでしょうか?

直接フリーキックにも期待しています。また、ミドルシュート要員もシミッチや米本拓司が担っていますが、マテウスどうでしょうか?

ジェジェウ

名古屋戦で先発3試合目とか。「何で、もう少し温めておいてくれなかったんだ!(怒)」と思う、噂通りの反則級でした。

スピード、高さ、対人の駆け引き、カバー、ビルドアップなどセンターバックに必要な全てを持っている選手でした。

ビルドアップにおいて、ドリブルしながら、同サイド幅取り役であるSB馬渡の方に「出すよ出すよ」と見せかけつつHSに縦パスを出す姿に、守備だけではなく攻撃でもスゲーと思いました。

となると、今まで出ていなかった理由が全く見当たらない。今シーズン、シミッチと双璧をなす当り外国人枠になりそうです。

ジョーは、アシストの場面こそエアバトルに勝っていましたが、終盤は谷口の方に流れてプレーしていました。(そこから二つのヘディングシュートを打っています。)言いたいのは、それぐらいの選手でした。


〈雑感(なぜだろう?)〉

  • しばらく組織的攻撃局面が続くと2列目の中央で、結局、中村憲剛やシャビエルがフリーでボールを受けて、そこからボールを配られる場面が両チーム共に沢山あった。あれ、何でだろう?
  • 後半ラスト10分、負傷してあんなに痛がっているダミアンに対し、パントを入れるチョンソンリョン。スタジアムで見ているときは、「何故」と思ったけど、考えてみればチームメイトは打撲ってわかってて「痛いのは頑張れってことなのね。」と、あとで納得した。


反省点多めのレビューになってしまいました(汗)。名古屋も良いところ沢山あったのですが、「”川崎ぐらいの相手じゃないとなかなか粗が出ないレベルになってきた”ということで、今書かせていただきました。」ということで許して下さい(汗)。


トップページのブックマークをお願いします。
更新情報をツイートします

↓クリックすると
↓みなさんのグランパスブログが見れます
にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスへ
にほんブログ村

コメント

このブログの人気の投稿

レビュー)浦和 vs 名古屋~崩しの多様性~

名古屋(H)2-0浦和(A)/豊田スタジアム/2019.5.12 得点者(名):マテウス、ジョー 得点者(浦): まずは、11節 浦和戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます 今節のプレビュー記事はこちら。 浦和がタイでのALCを挟み日程的にアレだったこともありますが、名古屋の多彩な組織的攻撃が光った、今年一番のゲームになりました。 前節まで、調子が心配だったジョーも1G1Aの大活躍でしたが、ジョーに頼らずとも点の取れそうな崩しのパターンが多数見られたので、その部分を中心にレビューします。 組織的攻撃の崩し 名古屋は最近の試合では、ビルドアップの出口に困ることはほとんどなくなっています。 シミッチの存在が大きいこともありますが、SH(シャビエル、この試合では出ていないが和泉竜司)やCF(ジョーと長谷川アーリア)が下りてきて交互にビルドアップを助けると共に、これらの選手全員がライン間の中間ポジションで受ける才能があり、ビルドアップの出口となるためです。 そこで、次に大切になっているのがシュートに至る直前の崩し(キーパス)の場面です。 名古屋の崩しの目的地は、ゴールライン手前のハーフスペース(HS)になっています。この部分に侵入するのは基本的にSHとSBで、CFが侵入する回数は少ないです。 次に多用されているのはCF同士のパス交換です。 それぞれの崩しの場面で各ポジションの選手が背負っているタスクと、浦和戦の前半における回数(時間)をご紹介します。 SBの崩しのタスク SBはHSへの裏抜けが第一のタスクとしてあります(前半21、23、26、29、35、44分=6回)。CHやCBからの浮き球を、ダイアゴナルにサイドからHSにランニングして納めます。 一方、サイドのレーンの浮き球への裏抜けは42分の1回しかなく、HSを重要視していることが分かります。 次に、クロスに対してHSでヘディングで合わせて中に折り返すプレーがあります。(前半14、40分=2回)こちらは、宮原和也がジョーへアシストした2点目のようなプレーです。このポジションに高さで勝てるジョーではなく、SBを持ってくることが最近の試合では統一されている気がしています。(吉田豊も宮原和也も走りこんだヘディングは結...

相馬と太田

現在、横浜FC戦のハーフタイムです。 書きかけの相馬と太田についての文章があったのですが、前半飲水タイムに相馬とシャビエルと阿部の位置関係を変えてしまったので、このハーフタイムにブログを更新することにしました。 おそらく、志知とシャビエルの位置関係で、志知にパスが入っただけで、ビルドアップの出口になっていたので、相馬を志知のいるサイドに回しました。しかし、相馬は太田との縦関係の方が輝いていました。例えば5分に、下の図の1つ目のプレーがありました。太田と相馬の縦関係は飲水タイムまでで終わってしまったので、ハーフタイム中に更新します。 以下、書き掛けていた内容です。 ーーーーーーーーーーーーーー 相馬が復活する どうも最近の相馬は迷いが見えます。推測ですが、プレーの選択を最後まで変えられる選手が良い選手(久保建英とか斎藤光毅とか)という考え方に影響を受けているんじゃないかと思います。相馬は向上心の塊みたいな選手なので、新しい自分にチャレンジしているのかもしれません。 確かに、プレーの選択を最後まで変えられる選手は素晴らしいのですが、そのためには頭脳だけではなく、ボールの持ち方・晒し方などの技術の部分も多分に必要であり、一朝一夕にはいきません。たとえば、ドリブルのタッチ数とか。 相馬の良さは、最後までプレーの選択を変えられることよりも、相手より先にプレーを決めて爆発的なスピードで寄せ付けない事だと思うのです。鹿島戦ではそんな雰囲気が少し出ていたように思うのですが、いかがでしょうか? あと、太田宏介と縦関係のコンビが相馬の良さが出そうな気がしています。 図は攻撃時、太田が外、相馬が内に陣取り、丸山のパスをワンタッチでSB裏のHSに流し込むシーンです(記憶では湘南戦辺りであったシーン)。敵が寄せてきても正確にボールが出せる太田ならではのプレーだと思います。 丸山からのグラウンダーのパスをワンタッチでHSに流す太田(作図tacticalista) あと、DFラインの裏へ浮き球の止まるボールを蹴るようなパターンも良さそうです。こちらもキックの正確性が高い太田ならではのプレーだと思います。 DFラインの裏へ浮き球のパスを出す太田(作図tacticalista) 相馬とSBとのコンビネーションにおいて...

フィッカデンティ監督への期待

契約更新( ゚Д゚) フィッカデンティ監督との契約が更新されました。 #マッシモフィッカデンティ 監督と、 #2020シーズン の契約を更新しました🤝 #grampus — 名古屋グランパス⚽️ (@nge_official) December 20, 2019 心づもりは出来ていたとはいえ、前任者のサッカーに魅了されていたので、ちょっとサプライズ人事に期待していた面もあり、正直残念。 風間サッカーおよび名古屋のスカッドは魅力的な反面、リスクテイクしすぎていて、わかりやすい穴がありました。 その穴をフィッカデンティ監督の戦術および大森SDの補強が上手く補ってくれるはず・・・じゃないと意味がない。「やらなきゃ意味ないよ」(これ18年か!) ってことで、埋めてくれるはずの3つの『穴』という切り口で2019の振り返りがてら、綴っていきます。 穴① 前線の守備力 穴② CHの機動力 穴③ しとめる 3つの穴は相互に関係していて、シーズン通してこの穴に対する対策も今シーズン見て取れました。そして、残課題として残っています。ここを克服して「来シーズンはACLだ!」。(来年は宣言しないのかな?) 穴① 前線の守備力 ここでの前線とは、FWとSHを含めた4人とします。 攻撃面で、ジョーとシャビエルを使いたい(さらにはCHにネットも・・・)。けれども、併用すると前からのパスコースの限定やプレスがかからない・・・そこで編み出されたのが開幕当初の守備時4-2-4です。詳しくは、フットボリスタの記事を参照してください↓。 https://www.footballista.jp/column/62860 前プレ要員を4人並べたこの戦術では、ジョーやシャビエルの守備のアラが見えませんでした(遠い記憶では)。この戦術は、即時奪回が前提であり、即時奪回が出来なくなるにつれて機能しなくなっていきました。つまり、インテンシティの低下と研究されることによって、機能しなくなりました。面白いけど、持続的にシーズン通してできる戦術ではありませんでした。(⇒穴②に続く。)ダニルソンがいれば、できたかもしれんが。 続いて、アーリアのセカンドトップ起用です。これは、今年のヒット作!!ジョーの守備軽減のために奔走するアーリアは今年最...

2024名古屋グランパス 編成の妄想

2024.1.14新体制始動ということで、今年のスカッドについて好きなように妄想を書けるのは今だけなので、久しぶりにブログを更新したいと思います。 今年の編成の感想 今年のスカッドを見て、違和感を感じた。その違和感の正体は、3か4か分からないこと。 以下にミルクボーイ調で4バックなのか3バックなのか考えてみた。 監督が昨年やり方を踏襲すると言っている。3バックで決まり。 フィジカルに長けた上下動できて守備も信頼できる名古屋風WB(相馬、森下、豊)が1人もいない。なら3バックちゃうか。 右SB適任者が、再レンタルも想定される成瀬しかいない。やっぱり3バック。 ただ、獲得したサイド選手(山中、小野、成瀬、山中)はみんなWB未知数。ほな3バックじゃ無いか。 3バック維持するとしても丸山、藤井、中谷の移籍で作り直しは必至。ほな3バックじゃなくてもよいか。 1枚目2枚目過多でDF枚数を減らしたい。ほな3バックじゃ無くてもよいか。 去年、後ろに重たかった。ほな3バックじゃない方がいいか。 福岡、日本代表など4と3を併用するクラブが出てきた。 新体制発表会、長谷川監督「3も4も様子を見ながらやっていきます。」4バックやるって言ってるやんけ! とミルクボーイ調もかなり崩れているが、4バックをやるっぽい。てか、やって欲しい。 どうも、 フォーメーションをシーズン・時間帯を通して使い分けると考えて間違いなさそうだ。 ちなみに4231に当てはめてみたのがこちら。我ながらまんざらでもない。理由は、 エルボーバック(SBの片側を上げ、逆側にCBのできるSBを置く)の4231をベース に妄想しているからだ。 左上がりエルボーバック もう少しエルボーバックを掘り下げよう。一例として、左SBを上げ気味にしたエルボーバック4231を示す。右SBに野上が入ることで、 試合中に3バックにも可変できる というわけだ。 この場合、久保と山中で幅を取り、左WGの森島を内側に絞らせることで、森島、山岸をSTとする3421的にも振舞える。森島がいい感じにライン間で仕事をしたり、下りてきたりが可能になる。この形は森島が活きる。ちょっと守備の怖い(失礼)、トージロー君を前目に残せて活きる。上下動の運動量に不安のある(失礼)、山中の負担も減り活きる。 昨シーズンは後ろに重たいことが課題 としてつきまとった。試合序盤など...