スキップしてメイン コンテンツに移動

レビュー)大分 vs 名古屋~ハメたのはどっちだ?~

名古屋(A)1-1大分(H)/昭和電工ドーム大分/2019.6.15
得点者(名):宮原和也
得点者(大):オナイウ阿道

まずは、15節 大分戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます




絵にかいたような大分お得意の疑似カウンターから失点し、絵に描いたように名古屋が後半攻めまくるものの、1点止まりでドローとなった上位対決。(既視感がハンパない)

両チーム共に自分たちの普段のゲームプランで戦ったように見えたこの試合、ハメたのはどちらだったのかという事を通して、この試合を振り返りたいと思います。

また、後半では名古屋の攻撃の課題ー平たく言えば点が入らないーについて、中断明けのこの試合で見えたものをお伝えします。

ハメたのはどっちだ?

まず、簡単に今シーズンの大分の戦い方を紹介します。

攻撃は疑似カウンターが特徴的です。疑似カウンターを簡単に言うと、「GKを含めて自陣ポゼッションをしながら、相手を食い付かせ、敵のファーストプレスを外してズレが出来たところを芋づる式に使い、ズレが修正される前に速い攻撃でフィニッシュまでもっていく」ものです。

そのために、GK高木を含めビルドアップに定評のある守備陣と、オナイウや藤本のようなスピードのあるFWを組み合わせた布陣になっています。

守備は、疑似カウンター発動がしやすいように、5-3-2で引いて守ることを基本とします。

このような戦い方の大分対策はJリーグ各チームで進んでおり、”引いて守って速い攻撃をさせない作戦”を取られると苦戦する傾向がありました・・・が、もちろん風間監督がそんなことしてくるわけもありません・・・正直、かみ合わせが悪い。


大分の自陣ポゼッションに対し、名古屋は何の躊躇もなく、前からプレスをかけてハメに行きます・・・「これが俺たちの戦いだ!」と言わんばかりに、真っ向から相手のやり方に合わせて・・・ですが、実際には相手のやり方と自分たちのやり方のかみ合わせの悪さも考慮しながら、狙い所を絞っている様に見て取れました。

その狙いとは、GK高木にロングボールを蹴らせてそれを回収するというものです。

通常通り名古屋は、前線から1対1の状況を作り守備側ビルドアップで数的優位を与えません。そして、GKにバックパスが出たら、そこにもプレスをかけるのが常なのですが、この試合はやんわり寄せつつカバーシャドウで自分の元マーカーにも渡らないようにしていました。

そして、CB、CH、シャドーのところはマンマークぎみに寄せておいて、近場のパスコースを塞いでおくのです。

近場にパスコースのないGK高木は難しいWBやCFへの長いボールを強いられていました。そのため、WBへ蹴ったときはサイドを割ったり、CFに入れても大きすぎてランゲラックが回収という場面が多く見られました。

名古屋にとっては、①GKからのロングボールは最後尾のため自陣ゴールから遠い、②フィールドプレイヤーに長いボールを蹴られるよりは安全性が高い、③GKのフィードにかなりの正確性が要求される、④ロングボールであれば、名古屋DFが寄せる時間が稼げるという判断が働いたのではないかと推測します。(ちなみに、高木がフィードに定評があるという事は知っています。)

つまり、名古屋はいつも通り戦いつつ、「前目でボール奪取できればいいけど、それが出来なくてもGKに長いボールを蹴らせてそこで回収できれば、ずっと自分たちの攻撃ターンだよね」というゲームプランで戦っていたと思います。

このように噛み合わせの悪さを逆手に取って、ハメていたのは名古屋の方であると見ています。

残念ながら、絵に描いたようにWBでズレを作られたところから疑似カウンターを発動され、オナイウ阿道に先制点を取られてしまいました。しかし、その1回。

その後、ボールを握り続け猛攻を仕掛けるも、ドローに終わりました。

試合としては、あと”仕留める”だけだった。というのが私の見立てです。皆さんはどう思われたでしょうか。ブログ後半は、”仕留める”について。

名古屋の攻撃の課題

平たく言うと点が入らないことです。それはジョーが帰ってきても本質的な課題は解決していないと思っています。

その課題とは2つ。ゴール前の楔の使い方とシュートの意識と威力です。(普通w)

この試合も、多くのチャンスを作り、特にニアゾーンの攻略(過去の記事を参照ください)については形が出来上がっており、この試合でも同点ゴールに結びつきました。

SBがニアゾーンからのグラウンダーのクロスに飛び込むという形は、継続的に見せて続けており、ゴールにつながったことは、宮原和也だけでなくチームにとっても非常にポジティブな出来事でした。

ニアゾーンの使い方は良い一方、ゴール前の真ん中の使い方に課題があると感じています。

ゴール前の真ん中に楔を入れる時に、ほぼワンタッチで落とすことが読まれているのです。そのために、そのボールをカットされ、その守備の矢印そのままにカウンターに移行される場面が散見されました。(大分のプレーモデルでは、最も危険なプレー)

ジョーがDFを背負っても納められるのはわかるのですが、長い目で見て心配です。ロビンやケネディのように、腰などにダメージが蓄積し、徐々にパフォーマンスが落ちていくのが懸念されます。

敵DFに真後ろから当たられるとダメージも大きいので、半身で受けるような場面を増やしたいところです。半身であれば、ジョーならスピードで抜け出すこともできますし、反転シュートもできます。

アーリアとのコンビネーションが良い時には、お互い半身で斜めの位置を取りパス交換することで中央でも前進することが出来ていました。この辺が研究されてきているところだと思いますが、中央で足元への楔のパスは今後工夫のいる点だと思います。

もう一つの攻撃の課題は、シュートの意識と威力です。(語彙力無くてはずい。)

現状の名古屋のやり方では、CFアーリアは外せないと思っています。前からプレスをかけに行くことに対して、プレスのタイミングやポジションのバランスを取る役目として重要な役目を担っているためです。

しかし、その反面、アーリアにはシュートの意識と威力に物足りなさを感じます。

この試合では、スターターはアーリアで試合を落ち着かせ、選手交代でシュートの意識と威力が高い順に、前田直輝、赤崎秀平、金井貢史が投入して、シュートの意識と威力の部分の強化を図ったと感じています。特に、金井は、溢れ出る「シュートを打ちたい」って気持ち&冷静にミートできるという部分での起用ではないかと。

これまでの試合でも、パンチ力最強のマテウスを起用したりと、シュートの意識と威力はここ数試合引き続いた課題だったと思うのですが、中断期間に出した答えは選手交代で後半に仕留めようというものだったのではないかと推測します。

しばらく続いている課題に対し、荒療治ではなくソフトに長期的に解決していこうという風間采配に逆に面食らいましたw(この二年半で風間に染まっている自分に気付く)

名古屋の攻撃はそれほど悪い状態ではないと思います。昔は、ロングボール禁止、サイドライン付近からのクロス禁止、ミドルシュート禁止の時期がありますが、それらはすべて解禁されています。

これらの見せ球を使いつつ、決め球の”ニアゾーンにスルーパスを入れ、マイナスのグラウンダーの折り返しをシュートする”というも再現性良く繰り出せています。”折り返しのスピードが速すぎて誰も反応できない案件”がラストピースな気もしますし、宮原和也のゴールの様な継続してやってること(中谷進之介のオーバーラップ、CHのミドル、セットプレーでのトリックプレーなど)がハマってプラトーを抜けてケチャどば期が来るような気もします。

おわりに


ジョー、ランゲラック、米本拓司(※勝手な推測)らがトップフォームではないながら、ある程度できているという自信の現れ、2年半の蓄積が風間采配も少しづつ変えているのかもしれません。

(※勝手な推測)米本拓司は、タックル後に倒れたあと、立ち上がるのが遅くなっている気がします。コンディション悪くなければいいのですが・・・無理して怪我も心配・・・


底は抜けたと信じて、ルヴァンの仙台戦、その後の清水戦と応援しましょう!


トップページのブックマークをお願いします。
更新情報をツイートします

↓クリックすると
↓みなさんのグランパスブログが見れます
にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスへ
にほんブログ村

コメント

このブログの人気の投稿

どうでもいいお知らせ

iPhoneに起きた謎の現象 自分のPCやタブレットでは、当ブログ内の色々なリンクに飛ぶことができるのに、自分のiPhoneではリンクに飛ぶことができないという現象が、1週間前ぐらいから起きていました。 調べてみると、safariのJavaを切ると治ることが分かりました。 自分のブログを振り返りJavaを沢山使っているものといえば・・・Googleアドセンス・・・ 広告なし始めました 自動広告でお任せにしていたので、自分が閲覧するのにもイライラしていました。また、約2年100エントリーほど書いたのに8000円程度(涙)の収益ににしかなっていませんでした。以上のことを鑑みて、広告表示をOFFにしました。 ご覧になっていた皆様は、ブログの醜さを助長するような煩わしさを広告に感じておられたと思います。謹んでお詫びします。 ブログのPVが100倍ぐらいになるまで精進できたら、その時に広告掲載を再度考えたいと思いますww これからもよろしくお願いします。

鹿島 vs 名古屋~平常運転で新エース始動~

名古屋(H)1-0鹿島(A)/豊田スタジアム/2023.8.13 得点者(名):野上結貴 まずは、23節 鹿島戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます。 サマーブレイク後、優勝に向け、まずは守備の引き締めから・・・ってな監督からの指導が入ったのか、入っていないのか、いや入っているにちがいない、 公式戦3試合連続のクリーンシートで勝利を飾った鹿島戦 。 試合経過に沿ってレビューしたあと、森島司についても少し書いていきます。 開始から飲水前はセットプレーべた引きから 鹿島戦の名古屋の守備の何が硬いって、 セットプレーからは絶対やらせないマンと化した名古屋 でしたね。 そらそうしますよ、なんせ今季鹿島の得点は、 セットプレーとクロスから20点、優磨と関川と植田で14点 。これは完全な想像なんですが、横からのハイボールに顔面ド迫力ヘディングで決めたに違いない。怖い怖い。 クロスからのヘディングゴールの復権を狙っている鹿島の好きにはさせられないと、“現代サッカーの雄”名古屋も対抗します。「ヘディングでゴールさせなければ勝てるやろ」と言わんばかりに、開始15分までの自陣CKやFKのセットプレー時は、FP10人で守る人海戦術に出ます。「普通は1~3人カウンター要員を攻め残りさせると思うんですけど・・・」試合開始から健太監督の強い意志を感じずにはいれない、終盤の様な序盤です。 案の定、セカンドボールは鹿島のもの。そして、飲水まではシュート数も3-7で鹿島ペースですorz・・・とはいえ、鹿島はブロックを広げる意図の濃い戦略ミドルシュートが多く、ユンカーのヘディングなど名古屋も鋭いカウンターを差し込みつつだったので、決定機的には五分の印象の序盤戦でした。 森下を中継点としたサイドチェンジ 29、32、36、39分と 森下を目がけたサイドチェンジを起点に攻撃します。 前節の森下のゴールもそうでしたが、WBを起点にインナーラップ→低いクロス→フィニッシュという再現性のある攻撃で、36分の野上の先制ゴールを当然のごとく獲得しました。すばらしい。 一方の鹿島の攻めはというと、先ほど横からのハイボールのヘディングが怖いと言いましたが、基本的にビルドアップのバリエーションが多く、どこからでも攻め込める強敵でした。 遅攻になると3-1-6 的な形で、ピトゥカが下りて、両SBが上がり、SHが絞ると...

相馬と太田

現在、横浜FC戦のハーフタイムです。 書きかけの相馬と太田についての文章があったのですが、前半飲水タイムに相馬とシャビエルと阿部の位置関係を変えてしまったので、このハーフタイムにブログを更新することにしました。 おそらく、志知とシャビエルの位置関係で、志知にパスが入っただけで、ビルドアップの出口になっていたので、相馬を志知のいるサイドに回しました。しかし、相馬は太田との縦関係の方が輝いていました。例えば5分に、下の図の1つ目のプレーがありました。太田と相馬の縦関係は飲水タイムまでで終わってしまったので、ハーフタイム中に更新します。 以下、書き掛けていた内容です。 ーーーーーーーーーーーーーー 相馬が復活する どうも最近の相馬は迷いが見えます。推測ですが、プレーの選択を最後まで変えられる選手が良い選手(久保建英とか斎藤光毅とか)という考え方に影響を受けているんじゃないかと思います。相馬は向上心の塊みたいな選手なので、新しい自分にチャレンジしているのかもしれません。 確かに、プレーの選択を最後まで変えられる選手は素晴らしいのですが、そのためには頭脳だけではなく、ボールの持ち方・晒し方などの技術の部分も多分に必要であり、一朝一夕にはいきません。たとえば、ドリブルのタッチ数とか。 相馬の良さは、最後までプレーの選択を変えられることよりも、相手より先にプレーを決めて爆発的なスピードで寄せ付けない事だと思うのです。鹿島戦ではそんな雰囲気が少し出ていたように思うのですが、いかがでしょうか? あと、太田宏介と縦関係のコンビが相馬の良さが出そうな気がしています。 図は攻撃時、太田が外、相馬が内に陣取り、丸山のパスをワンタッチでSB裏のHSに流し込むシーンです(記憶では湘南戦辺りであったシーン)。敵が寄せてきても正確にボールが出せる太田ならではのプレーだと思います。 丸山からのグラウンダーのパスをワンタッチでHSに流す太田(作図tacticalista) あと、DFラインの裏へ浮き球の止まるボールを蹴るようなパターンも良さそうです。こちらもキックの正確性が高い太田ならではのプレーだと思います。 DFラインの裏へ浮き球のパスを出す太田(作図tacticalista) 相馬とSBとのコンビネーションにおいて...

レビュー)柏 vs 名古屋~変幻自在の伊東純也シフト~

名古屋(A)-柏(H)/三協フロンテア/2018.10.19 得点者(名):前田 まずは、30節 柏戦のダイジェストから。 今節のプレビュー記事はこちら。 変幻自在の伊東純也シフトでクリーンシート 3-4-3で臨んだ柏戦。前半の前半は一方的な柏ペースでしたが、伊東純也への守備を工夫しながら試合を進め、結局クリーンシートで勝利することが出来ました。 前半の後半は、3バックにネットが下がって4バック気味にビルドアップすることで、カウンターを受けても4人で残っている状態を作りました。櫛引があらかじめ名古屋の左サイドに張ることで、スペースを消していました。後半に入ると青木に代えて和泉を入れ、和泉と櫛引で挟むように守備をしていました。そのため、スペースのない伊東はポジションをどんどん真ん中に移していきました。終盤には、相馬を入れスピード勝負に負けないようにしていました。 次々にフレッシュな選手をいれ、スペースを消し、カバーすることで伊東純也対策をすることが出来ました。3バックの必死のシュートブロック、ランゲラックのスーパーセーブ、ブラジルトリオの守備意識の高さなど、守備の再建でもぎ取った4試合ぶりの勝利でした。 〈雑感(良いところ)〉 櫛引のカバーリングや、連続的なチェイシングなど闘志の見えるプレーを見せてくれました。 小林裕紀はリンクマンとして、広範囲に顔を出し裁くことで攻撃にリズムを与えていました。守備でも精力的な姿勢が見えました。 相馬勇紀がSUBに戻ってきました。途中出場ながら攻撃ではタッチ数が多く、サイドの1対1の場面が多くみられ、守備では素早い戻りで伊東純也を封じ、クローザーの役割を果たしました。スーパーサブの復帰は心強いです。 ネットは名古屋加入後一番ぐらいの守備意識の高さだったと思います。 懸案だった左サイドの守備に対し、アシンメトリーな3バックとすることで、櫛引がスペースを消し、伊東純也を見ることで解決していた。 前半、ネットがCB間に下りて4バック気味にビルドアップしていた際、前線には両ワイド+3トップの5人が並んだ中盤を省略した形を取ることで、流れを取り返していた。試合中にやり方をいろいろ変えることが出来ていたので、苦境に強いグランパスが今後も期待できそう。 桐畑のナイスセーブもあり1点に終わったが...