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レビュー)大分 vs 名古屋~安全第一、勝利第二~

名古屋(H)1-1大分(A)/パロマ瑞穂/2019.10.5
得点者(名):赤崎秀平
得点者(大):三平和司

試合からだいぶ経ってしまったので需要があるかわかりませんが、大分戦のレビューです。

シュート数、決定機の数共に名古屋が優勢に進めた試合でした。敵陣深くでジョーがボールを回収して得た決定機をコバユーに止められたり、前田、ジョーの決定機をGK高木のファインセーブにあったり、勝ってもおかしくない試合でした。先制されても追いついたことを前向きにとらえましょう。

何もさせなかった前半の守備の話と、ジョーへの放り込み以外の部分の攻撃について綴ります。

両チームのスタメンはこちら。


ダイジェストはこちら。(コバユー!)




何もさせなかった前半の守備

名古屋はボール非保持時は中央に絞った4-3-3。大分は基本布陣の3-4-2-1から、ボール保持時はボランチを一人下げ、WBが上がることで4-1-4-1的な形になります。(ミシャ式みたいのです。)


大分は、GKも含めた深い位置での自陣ビルドアップを繰り返しながら、相手をおびき寄せて、食い付いたところを縦に速い攻撃をするのが得意です。(疑似カウンターとか言われるやつです。)そのため、最近はどのチームも、比較的低い位置にプレスラインを引いてくることが、これまた定番となっています。

そのため、今節のスタメンには、スピードのあるオナイウ阿道をサブにして後藤優介を起用し、シャドーには狭いスペースでもプレーできる小塚和季を起用しました。「スペースが無くても攻撃できるよ!」をトレーニングしてきたと思われます。

一方、名古屋は大分の定番対策に則り、プレスラインはセンターラインより少し前の高すぎず、低すぎずという位置で、釣り出されないことを意識していました。

名古屋の守備は、前3枚と中盤3枚で5レーンのうち中央3レーンへの縦パスを制限し、WBを経由した攻撃へ誘導することを優先していました。そして、WBの所で囲い込んでボール奪取することを意図していました。

WBは、大分の攻撃におけるストロングポイントですが、前節の広島戦レビューでも書いた通り、”低い位置でボールを持たせて、一発で裏を取られなければOK”作戦だったと思います。

それぞれのポジション役割はこんな感じだと思います。
  • CF(ジョー)は、アンカーへのパスを切りながらサイドチェンジを阻止。深追いしない。
  • シャドー(前田・シャビエル)は、同レーンへの縦パスを切る。開いた3バックにも寄せるが深追いしない。WBにボールが出たら、スライドして囲い込みバックパスを切る。
  • アンカーのシミッチは、大分アンカーに付くため、トップ下に近い位置へ。サイドにボールが移動したら、3ボランチ中央に戻る。中央で上下動を繰り返す。
  • 左右ボランチ(米本・アーリア)は、大分ビルドアップ時には、同レーンへの縦パスの受け手のスペースを消す。WBにボールが出たら中央3枚はスライドして寄せる。(★ここで取りたい★)SBが前に出て、大分WBに寄せた場合は、SB位置をカバー。
  • SB(太田・吉田)は、大分WBの位置にかかわらず、最終ラインにとどまり、裏を取らせない。中盤のスライドが遅れた場合のみ前に出る。
  • CBは基本、飛び出さない。
フィッカデンティ監督になってから、よりゾーン色が強くなり、ポジションを守る意識が高まっており、「何も起こらない」守備が出来ていました。ボール奪取後に、縦にボールをつけるよりは、しっかりポゼッションするという戦略だったので、トランジションゲームを避け、「何も起こらない」を優先したゲームプランだったと思います。

ビハインドにもかかわらずトランジションゲームを避けたことが垣間見えるインタビューを引用します。


ー失点してからはロングボールが増えました。監督の意図だったのでしょうか?
あの状況となってから、こちらが押し込むたびに相手10人全員がペナルティーエリアに入って守るといってもいいシチュエーションでしたので、どういう指示をするというよりも、クロスを縦に入れるか横から入れるかで空中を使うしかない中で、そういう展開となりました。その中で相手は我々に少しボールを持たせて足元、足元とつないで、ワンツーを使ったり、足元を使ったプレーというのをこちらが選びたくなるような瞬間っていうのを狙って、そこで奪ってカウンターというイメージを持っていたと思いますが、そこで選手が我慢をして、弾き返されるシーンも多くありましたが、うちはジョーが起点となるということもあり、そこをしつこく続けたことは判断として良かったと思います。
引用:https://inside.nagoya-grampus.jp/inside/detail/?sid=1077&cid=102

フィッカデンティ監督のインタビューにもあるように、長い間放り込みを続けたことも、前がかりになってカウンターをされるのを嫌がった、「何も起こらない」を優先する一環であったという事でした。 安全のためなら、何でもする…末恐ろしい。

「空中を使うしかない」の言葉には…(白目)

左右特徴を分けた攻撃

シュート数21-8と攻めたものの、全体的にはジョーへの放り込みやアーリークロスが多く、何か物足りない…

とは思いつつも、広島戦からは改善されていた攻撃。左右で特徴を分けて攻撃をしていたと思います。

右サイドは、しっかりショートパスを繋ぎ、ポジションのローテーションもして、という風間監督時代に近い香りがしました。シャビエルが下りてきて、ボールをキープしている間に、米本が前線に侵入するとか、吉田がオーバーラップして米本がカバーするとか。

オーバーロードの右サイドに対して、左サイドは、アイソレーションサイドでした。太田や前田がロングスプリントして、サイドライン付近でボールを収め起点を作ります。風間監督時代のように両SBが最初から上がっているという事がないため、スペースがありました。クロスの質や孤立しやすい点など課題も多いですが、スペースもありますし、前田直輝に一人で何とかしてもらいましょう!

ビルドアップでは、”アンカー落ち”をしないため、SBのスタートポジションが低く、片側のサイドはロングスプリントした後にクロスを出す選手が欲しいということで、太田が起用されていると思います。

左サイドは、守備のリスク回避に重きを置いたサイドという事になるかもしれません。

4-3-2-1(クリスマスツリー)は、”パスコースが少ない”、”角度がつけにくい”-広島戦で感じた第一印象です。しかし、マッシモ2戦目では、攻撃の部分も少し見えてきました。右サイドのコンビネーションによる崩しは今後期待していきたいと思います。

残留争い

安全第一、勝利第二。しかし、勝ち点1の試合を続けては残留が厳しくなります。

どこかで勝ち点3を取りに聞くチャンスをうかがっている。そんな感じでしょうか?「引き受けた8節を、1つのゲームと考えそれに勝てばよい。」そんなことを考えていそうな、末恐ろしさ、器の大きさをマッシモに感じるのは私だけでしょうか?(そう思いたい。)


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