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レビュー)G大阪 vs 名古屋~532は完成形?~

名古屋(H)2-0 G大阪(A)/豊田スタジアム/2021.4.22
得点者(名):山崎凌吾、相馬勇紀

地球上で最も知的なスポーツ”サッカー”を愛する皆さんこんばんは。当ブログでは、硬派に戦略論を中心とした内容をお送りしています。そのため、読みにくかったり、ついてこれない部分も多いかと思います。それでもお読みいただけるサッカークラスタの皆さんには感謝です。

鳥栖戦を引きずることなく連敗しなかった名古屋を称えることよりも、”ガッツポーズ”が話題になるSNS上とは一線を画し、本ブログでは戦術的にG大阪戦のレビューを書いていきます。

まずは、11節 G大阪戦のダイジェストから。0秒で”ガッツポーズお姉さん”出ます!!(流行りものには乗るタイプ)

いつもは、スタメン発表に頭出ししていますが、試合よりこちらを振り返りたい人が多いと思うのでww。スタメンをおさらいしたい方、「山崎のゴール見たいよー」って方は少し戻ってご覧ください。

ガンバ戦はチームの調子の差が如実に出て、完勝できました。今シーズンの勝ちパターン通りのサッカーができた名古屋に対し、点を取るために”ちぐはぐ感”が出てしまったG大阪。G大阪のちぐはぐ感と対比しつつレビューします。

ちぐはぐ?

G大阪は、パトリックとレアンドロペレイラを2トップに据えてきました。

「ふむふむ、名古屋の苦手な高さで嫌がらせだな。」

ペレイラは3/7試合しか先発していませんが、名古屋の苦手とする高さを使ってくると予想していたので、スタメン入りは想定した通り。一方の名古屋も木本・米本・山崎が名前を連ね、高さ対策を意識したスタメン。試合開始直後は、両チーム共にDFラインからFWへのロングボールを主体としてセーフティーな試合の入り方をしていました。

その状況から、それぞれ狙い通りのチャンスを作りました。G大阪はパトリックに入ったロングボールの落としを小野瀬康介がシュート。名古屋はバックラインのクリアを山崎が相馬に流し、カットインからシュート。

すると、10分辺りからG大阪の様子が変わってきます。

「あれ、サンバのリズムでボール保持に変わったぞ?」

山本悠樹がSB-CB間に落ち、昌子・三浦の両CBとゆっくりビルドアップ。小野瀬・福田湧矢の両SBを上げ、名古屋SHをピン止めし、CFのパトリックは深さを取ります。それ以外の選手、つまり、宇佐美、倉田、ペレイラ、井手口、は交互に名古屋のCH周囲に入ってくることで中央に数的優位を作り、ショートパスを中心に組み立てます。小野瀬・福田は、名古屋SHがCHのサポートに行けないように高過ぎず、低過ぎず、幅を取って構えます。

「あれ、なんか美味しい展開だぞ?」

ガンバのボール保持時に、中央でのショートパスを名古屋がカットして、両SHの前のスペースに速い攻撃でボールを回し、何度となくガンバDFを背走させながら、名古屋SHが前を向いて走りっこの状態に持ち込みます。この状態は、名古屋の最も得意とする攻撃パターンです。今シーズン序盤戦レビューで詳しく書いたものです。

結果、相馬が無双状態に入って、1G1Aの活躍で試合を決めてくれました。

一方、相馬とマッチアップした小野瀬は、前節SHで出場し、今節は中3日でSBとして起用されていました。しかし、持ち味を発揮したとは言い難く、後半15分で交代しました。SBが定まらないG大阪の苦しい台所事情もあったと思いますが、名古屋にとっては好都合のミスマッチでした。

相馬の左サイドと比較して、マテウスの右サイドはボールをDFの裏に出しても収まらない場面が多く見られました。マテウスが足元で受けたかったのか?動き出しが遅かったのか?はたまた出し手のボールが強すぎたのか?いずれにせよ、スペースはあったので、右サイドも効果的に使えるとさらに良くなるな!と感じました。


532は完成形?

名古屋にとって、もはや定番。リード後の守備固めに入ります。この試合の後半は、ガンバの方がギアを上げて圧力をかけるような展開にならなかったので、名古屋は交代をせず時間を進めました。とはいえ、後半15~30分のあたりに、交代で入ったチアゴアウベスを中心として攻勢をかけられていました。そのため、後半30分以降に、斎藤、長澤、中谷を順に入れて532にしました。

しかし、実際は中をやらせたくなったにもかかわらず、途中交代で入ったチアゴアウベスを中心としたショートパスで中で崩されかけていました。サポ的にはもう少し何とか…と思いますが、枠内シュートを打たれてないですし、現状で完成形なんだと思います。斎藤のトーキックのシュートなど、チャンスも作れていますしね。

この試合の532を見ていると、低い位置でゾーンを形成しつつも、列を降りた相手選手を捕まえに行く姿勢は、442の時よりも増しているように見えました。CBを1人入れたことで、丸山・成瀬・吉田・長澤・米本などが後ろに気を取られることなく、前の選手に激しくプレスにいく姿勢が見れました。532と布陣は守備的ながら、意識としてはよりアグレッシブな守備へのシフトチェンジという認識なんじゃないかと思いました。

今年は、SBのタスク軽減やターンオーバーにより、終盤になっても疲労による強度が落ちていないため、試合を見返してみると結構安心して見れますよ。(結果知ってるからかもしれんけど)


おわりに

ガンバとしては、得点力不足に悩む中、元来得意とする”サンバのリズムでショートパス”に活路を見出そう、名古屋のウィークポイントの高さも使おう、という狙いだったと思います。しかし、高さで困らせるには至らず、戦略を攻撃に振りすぎて、名古屋の攻撃の長所を出させてしまう展開になりました。

名古屋としては、”ひたすらパトリックにハイボール”ってのが嫌でした。しかし、サイド深く切れ込んでクロスもほとんどなかったですし、パワープレーの時間帯にはパトリックはすでに交代していました。戦前の予想に反して高さで苦労することにはなりませんでした。

なぜですかね?チームとしてやりたい形にこだわったようにも見えず、ガンバは昨年同様つかみどころの分かりにくいチームだなと。調子が上がってくる前でよかった。


ガッツポーズお姉さんで盛り上がれる平和に感謝。勝ったことで、力み無く川崎2連戦に望むことができますね。1勝すれば勝ち点で並びます。期待しましょう。


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