スキップしてメイン コンテンツに移動

レビュー:名古屋vs川崎 ~主導権は必然に~

名古屋(A)2-1川崎(H)/等々力陸上球技場/2023.4.15
得点者(名):ユンカー、マテウス
得点者(川):宮代大聖

まずは、8節 川崎戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます

十うん年ぶりのアウェイ川崎勝利とからしいですが、それよりも前節の浦和戦に続き、川崎相手に互角以上の戦いができるようになったことが嬉しくないですか?やっと優勝争い、ACL争いをリアリティ持って狙えるチームになったというか・・・

そして浦和戦に続き川崎戦も、主導権の行き来する好ゲームになりました。主導権としては・・・
前半開始は名古屋、
33分のWG入れ替えから川崎、
後半開始は名古屋、
失点後は川崎、
その後交代につれ試合は硬直
・・・みたいな感じに推移したと思ってます。その流れを中心にレビューします。


主導権を取れたスタメン配置

名古屋は浦和戦からかな、地味に守備陣形を変えていて、フォーメーションでいうと3421から3412にしています。つまり、従来は、ユンカーが頂点にいて、アンカーを消しながらCBの片方にプレスをするのが多かったんですが、浦和戦では岩尾にユンカーを、川崎戦では橘田にマテウスを、というようにアンカー番を固定して、その両脇のシャドーが頑張って守備に動く形にしています。

つまり、浦和戦は岩尾に自由を与えたくない&ユンカーの守備を軽減させたいという意図がありました。しかし、川崎戦はというと、そのままユンカーが中央でアンカーを見るわけではありませんでした。これには攻守に意図があったと思います。川崎をリスペクトして対策を打ったんですね。なんか名古屋は勝手にライバル視しているというか、他チームより川崎戦で対策打ってる印象ありません?

守備の意図は、このアンカー周りの守備が大変なので、マテウスに頑張ってもらおうというものです。CF家長、IH小塚、IH脇坂、SB山根など多彩なメンバーが入れ替わり下りてくることで複数のビルドアップのルートが安定してあることが川崎の強みだと思います。そこを何とかしたい。だけど、これはほとんど効果無かった気がしてます。川崎に押し込まれるところまでは持っていかれてたので。

名古屋の守備は、基本的にゾーンながら人についていく要素が強いです。アンカーの橘田の移動範囲も広いため、その分大変です。だから、中央マテウス。人についていくという意味では、偽SBにもなる山根を抑えるために永井が左というのも、いつものポジションですが効いていました。

一方の攻撃の意図は、ユンカーにSB登里とCB高井の間を攻めさせようというものです。この試合、高卒新人初スタメンさんの左CB高井とマッチアップさせようというのもありますが、左の幅取り役は左SB登里なので、そのためSB登里とCB高井の間が空くので、その間をユンカーに狙わせようということですね。

長谷川監督としては、もう一人の高卒新人初スタメンさんの永長が慣れたポジションである右WGに入るのを読んでいて、それに伴い、右の幅取り役が永長となると、左WGは宮代となり、宮代はゴール前に入っていってほしいので、左SBの登里が幅取り役になる。だからCB高井とSB登里の間にユンカーを立たせて奪取後のボールの逃げ場所にしようということです。

川崎側のスタメンの意図としては、ゼロトップ的に家長を使って、永長をWGにすることでネガトラ時のカウンタープレス強度を上げ、右から攻めて、左WGの宮代をフィニッシャーとして内に立たせようという意図でした。

この右から攻める密集でボールを奪取して、高井と登里の間で先制点を奪えたので、ちょっとこれは長谷川監督の読み切り勝ちなんじゃないか!!と思ったものです。

とはいえ、高卒新人さん2人ともそつなく初先発を終えるところに川崎さんの末恐ろしさを感じます。


川崎のポジションチェンジ

33分ごろから、川崎は前線3枚の配置を宮代ー家長ー永長から、永長ー宮代ー家長に変更しました。このポジションチェンジにより川崎が盛り返します。

一つには攻撃時の登里の立ち位置を低くすることで、ユンカーへのプレスバックできるようにしたこと。そして、押し込んだ密集でのショートパスのロストが多かったことへの対策として、いつものコンビに戻したことによる距離感の最適化などだと思います。(知らんけど

ただ、マテウスのパルプンテによって2点差に。川崎さんには悪いですが、今シーズン”初理不尽”なので・・・そんないい思いばっかりしている訳じゃないんで・・・タイミングが悪かったと思ってください。マテウスは、ミドルシュートといい、CKといい、完全にキックの精度がもどってきました!あとは、「ドリブルで3人に囲まれるまでパスしない」みたいなこだわりだけ何とかっorz(吐血


後半開始の名古屋の攻勢

後半開始に家長を左、永長を右にまた戻します。そして、また名古屋の優勢な時間になりました。理由は不明。

ただ、川崎は後半に入って、WGとSBを縦に並べてコートを広く使い、名古屋のシャドーの負荷を上げることおよび、中に差し込みやすくすることを狙ってきました。その代償と言っては何ですが、アンカー脇が空き、そこにそもそも試合開始からそこにいたユンカーと永井が、アンカー脇で躍動するという・・・そんな感じかな?って思ってます。


鬼木怒りの4枚替え未遂

”鬼木怒りの4枚替え未遂”により、お尻に火のついた川崎イレブンは、ゴリゴリ縦パスを通して、密集でぐちゃっとなったこぼれ球を宮代が決め、息を吹き返します。(鬼木監督ってきっと無茶苦茶怖いんだね。)どうせなら、川崎らしいきれいな崩しで失点させて欲しかったです。しかし、縦パスをいれ、レイオフやフリックできる近さに選手がいることは、川崎らしく、その大切さを教訓としたいと思います。クリーンにパス回らなくても、チャレンジパスしてカウンタープレスすればいいんだよってね。

この試合、川崎側では宮代と大南が印象に残りました。宮代は、ダイナミックなボレーなどシュートの当て感がよく、引き出す動きもしていたので、ゴール以外にも大型ストライカー感が出てました。大南は、速くて高いCBってイメージだったんですが、攻撃への貢献も良くて、ロングボールも出せていて、開幕直後に見たビルドアップのノッキング場所という印象よりもかなりチームにフィットした印象を持ちました。川崎を引っ張っていく存在に代替わりしていくんでしょうねー。

交代による試合の硬直化

交代でFW山田新が入ることで、サイドでの直線的な突破からのクロスが攻め手になったり、大南からのロングボールの収まりどころとなりました。前半短いパスに偏りすぎだったものが、長短のバランスが改善され、川崎に形勢が傾きます。パスの距離やリズムの変調をする選手の減少も川崎のピークの頃より落ちているところなのかもしれないなーと思いました。(大きなお世話

先ほど述べたWGとSBの縦関係による負荷も考慮し、名古屋は酒井と長澤を投入し3412から3322に変更しIHがSBに迎撃しやすくします。

すると、川崎は、433から3322に変更し、WBを高く上げ、CBもより幅を取るようになります。つまり、より外側に人を多くかけます。

すると、後半開始からビルドアップがUの字を書きがちだったものが、さらにUの字を書くようになり、クロスやハイボールやセットプレーが攻撃のメインになってきます。それはそれで怖かったが、「らしくないな」とも。「いや、ここでダミアンやジェジェウがいるといないは大違いなんだ!きっと!」とも思いました。(ほんと大きなお世話

すると、名古屋は閉じこもっていればOK的な雰囲気になり、ゲーム終了に。


さいごに

全員好調で、幸せで怖い。




トップページのブックマークをお願いします。
更新情報をツイートします

↓クリックすると
↓みなさんのグランパスブログが見れます
にほんブログ村 サッカーブログ 名古屋グランパスへ
にほんブログ村

 

 

コメント

このブログの人気の投稿

私的サッカー用語集

正しい意味か分かりませんが、ブログ内で使っているサッカー用語の説明です。訂正あればお願いします。 偽サイドバック (追記2018/10/7) 攻撃のビルドアップ時にサイドバックが、ボランチの位置に入ること。サリーダ・ラボルピアーナのメカニズムでボランチがCBの間に入った時に、ボランチの位置でSBがボールを受ける。この時、SHやウイングがサイドライン際で幅を取りパスコースを作る。SBは、ボランチの位置からハーフスペースを駆け上がり(インナーラップ)、そのSHからリターンパスをもらう・・・などの攻撃につなげることが出来る。ネガティブトランジションでは、中央に絞っているためにカウンターを受けにくくなる。 サリーダ・ラボルピアーナ (追記2018/10/2) 4バックにおける攻撃のビルドアップおいて、CBの間にボランチが下がって、SBを前に押し上げるメカニズム。2トップの相手に対し2CB+1ボランチの3人で数的優位を保つことでビルドアップを安定させる。2017年は、小林がCBの間に下りる形が強直化しており、効果的ではない場合もあった。一方、2018年W杯中断後は、ネットが主にCB間に下りる役割をしているが、小林が下りる場合や、CBとSBの間に下りる場合や、下りない場合を織り交ぜてビルドアップすることで柔軟性が出ている。また、玉田と小林がそれぞれハーフスペースに入り、相手の第1プレッシャーラインを通過する受け手として機能している。そのため、ビルドアップ時のボールロストが減っている一因になっている。 パッキング・レート (追記18/09/29) パスやドリブルで相手選手を何人通過することが出来たかという指標。同じく、相手DFを何人通過したかという指標はIMPECTという。 footbllistaのコラム で紹介されていた。勝敗との相関係数の高い指標だそうだ。 サッカーが陣取りゲームである以上、もっとも本質を突いた指標だと思った。さらに言うと、敵陣に押し込んでポゼッションしても、相手選手を通過出来なければ、陣地を取ったことにならないことにも気づかされた。重要なのは、ボールの前に何人相手選手がいるかで、0人であればそれはゴールを意味する。”ポゼッション”や”縦に速い攻撃”や”ハイラインハイプレス”などのゲームモデルは手段であり...

2024名古屋グランパス 編成の妄想

2024.1.14新体制始動ということで、今年のスカッドについて好きなように妄想を書けるのは今だけなので、久しぶりにブログを更新したいと思います。 今年の編成の感想 今年のスカッドを見て、違和感を感じた。その違和感の正体は、3か4か分からないこと。 以下にミルクボーイ調で4バックなのか3バックなのか考えてみた。 監督が昨年やり方を踏襲すると言っている。3バックで決まり。 フィジカルに長けた上下動できて守備も信頼できる名古屋風WB(相馬、森下、豊)が1人もいない。なら3バックちゃうか。 右SB適任者が、再レンタルも想定される成瀬しかいない。やっぱり3バック。 ただ、獲得したサイド選手(山中、小野、成瀬、山中)はみんなWB未知数。ほな3バックじゃ無いか。 3バック維持するとしても丸山、藤井、中谷の移籍で作り直しは必至。ほな3バックじゃなくてもよいか。 1枚目2枚目過多でDF枚数を減らしたい。ほな3バックじゃ無くてもよいか。 去年、後ろに重たかった。ほな3バックじゃない方がいいか。 福岡、日本代表など4と3を併用するクラブが出てきた。 新体制発表会、長谷川監督「3も4も様子を見ながらやっていきます。」4バックやるって言ってるやんけ! とミルクボーイ調もかなり崩れているが、4バックをやるっぽい。てか、やって欲しい。 どうも、 フォーメーションをシーズン・時間帯を通して使い分けると考えて間違いなさそうだ。 ちなみに4231に当てはめてみたのがこちら。我ながらまんざらでもない。理由は、 エルボーバック(SBの片側を上げ、逆側にCBのできるSBを置く)の4231をベース に妄想しているからだ。 左上がりエルボーバック もう少しエルボーバックを掘り下げよう。一例として、左SBを上げ気味にしたエルボーバック4231を示す。右SBに野上が入ることで、 試合中に3バックにも可変できる というわけだ。 この場合、久保と山中で幅を取り、左WGの森島を内側に絞らせることで、森島、山岸をSTとする3421的にも振舞える。森島がいい感じにライン間で仕事をしたり、下りてきたりが可能になる。この形は森島が活きる。ちょっと守備の怖い(失礼)、トージロー君を前目に残せて活きる。上下動の運動量に不安のある(失礼)、山中の負担も減り活きる。 昨シーズンは後ろに重たいことが課題 としてつきまとった。試合序盤など...

プレビュー)FC東京 vs 名古屋~グラ勝利への道は高萩攻略~

ALC圏と降格圏違えど瀬戸際のFC東京と名古屋 次節対戦するFC東京は8試合勝ちが無く、直近5試合で1得点しか挙げられていません。しかし、前節の清水戦の内容は悪くありませんでした。また、ACL圏まで勝ち点2差の5位まで順位が下がっていますが、まだまだALC出場を狙って必死なはずです。手負いの獅子を相手にするのは常に難しいものです。一方、名古屋も消化試合が2試合少ないものの、2連敗中で降格圏まで勝ち点1差の15位です。負けられない次節の見どころをお伝えします。 まずは、次節対戦するFC東京の前節(vs清水)のダイジェストから。 〈見どころ〉 両チームとも前節のスタメンを前提としています。 FC東京は、直近5試合で1得点しか挙げられておらず、勝ちが欲しいためにリスクを取って攻撃に重心を置くことが予想されます。その攻撃の中心にいるのは高萩です。スタートポジションは左ボランチですが、フリーマンとして広く動き、右ハーフスペースへの侵入なども目立っていました。戦術眼の高さを生かして長短のパスを織り交ぜ攻撃のタクトを振っている高萩をどう捕まえるかが名古屋の守備のポイントになります。逆に、ボランチのポジションを捨てて攻撃をするので、空いたスペースをうまく使うことが、名古屋の攻撃のポイントになるでしょう。高萩に決定的な仕事をさせず、空いたスペースで守備のずれを作り得点することで、勝利に結び付けたいものです。 FC東京の得点が少ないことは、守備の仕方とも関連しています。守備時にSHが自陣深くまで戻るため、カウンター時の駒が少ない、もしくは、スピードが上がりません。ディエゴ・オリベイラのお尻を使ったキープでタメを作らせないことがカウンター阻止のため重要になります。 FC東京の得点が少ないことの、攻撃面の問題は以下の様なものと考えています。まず、ディエゴ・オリベイラがサイドに流れるのを好みます。サイドで、SHやSBとのコンビネーションで崩してきます。室屋、太田の両SBに良質なクローサーがいるので、クロスを上げたいのですが、ターゲットになるオリベイラはサイドに流れているため、中央に人数が足りません。SHの東が切れ込んでくる形が多いですが、クロスに合わせる選手としては迫力不足な部分があります。名古屋としては、この状態を作り出したいので、中央を締めた守備をして、オリ...

レビュー)C大阪 vs 名古屋~和式が洋式に負ける~

名古屋(A)0-3 C大阪(H)/ヤンマースタジアム/2019.7.13 得点者(C大):丸橋、高木、ブルーノメンデス 典型的な和式が洋式に負けた試合。レビューおしまい。。。で済むんじゃないかという試合でした。セレッソ強かった。。。 C大阪の論理的なポジショナルプレーに対し、ハーフスペースで起点を作られ続け、先制を許しました。そして、後半にその修正として、4バック(4-2-3-1)に戻しました。これが湘南戦以前のいつもの和式に戻ってしまい、ネガトラ時の守備バランスが崩れる要因となりました。その結果、”数的不利がやばいカウンター”を喰らいまくり、追加点、ダメ押し点を取られました。 後半に4バックに戻して、SBも高く攻め上がる従来の形に戻した事は、逆転するための戦略として私は残念でした。下記の引用の風間監督の試合後のコメントとは真逆の感想です。 #セレッソ大阪 戦後 風間八宏監督会見 ▶️ https://t.co/vp6dq2yEPE #INSIDEGRAMPUS #grampus pic.twitter.com/06lV8qFTNO — 名古屋グランパス (@nge_official) 2019年7月13日 前半はシステムでやってしまった。それによって、自分たちによるピンチがいつもより多かった。後半は相手と同じような形にしてしっかり押し込もうという考えでやりました。実際に押し込みはしましたが、最終的な部分でロストをしてしまい、失点をしてしまいました。 私は、上記の風間監督のコメントとは別の見方をしていますので、その部分をレビューします。負けたので結果論で「風間監督は間違っている」という話ではなく、試合の流れの別の見方として「こういう見方もできませんか?」というものを述べたいと思います。 まずは、19節 セレッソ戦のダイジェストから。0秒でスタメン出ます セレッソの攻撃の狙い(洋式) 「雨降ってるね」、「ピッチ悪いね」、「左右CBは背低いね」、「1アンカーだね」という試合の特徴を読み取り、「だったら、ハーフスペース(HS)のアンカー脇に縦パス入れていこうね。」、「2トップが流れて入ってもいいし、左右SHが入ってもいいよね。」 「2トップが入った場合は、CBがピン止めされるから名古屋のWBの裏...